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所有者不明土地・管理不全土地管理人の役割、選任手続を解説

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当ページでは、所有者不明土地管理制度と管理不全土地管理制度の概要と管理人の選任手続を解説します。

筆者プロフィール

榊原 沙奈さかきばら さな(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。

所有者不明土地管理制度とは

所有者不明土地管理制度とは、所有者のわからない不動産について、裁判所が選任した管理人が管理する制度です。

当制度最大の特徴は、管理の対象は「不動産のみ」というところです。

所有者不明土地管理人とは

所有者不明土地管理人は、対象不動産の管理・処分権限を与えられます。

例えば、不動産を不法占拠されている場合、明け渡し請求や損害賠償請求を主体的に行うことができ、裁判所から許可を得れば不動産の売却や処分(取壊しなど)を行うこともできます。

所有者不明土地管理人の選任手続

所有者不明土地管理人の選任手続は、次の流れで行われます。

  1. 申立て
  2. 異議申立期間の公告
  3. 管理人選任、管理命令
  4. 職務終了(管理命令の取消し)

1.申立て

所有者不明土地管理人の選任申立てができるのは、(1)利害関係人、(2)地方自治体の長等に限られます。

利害関係人とは、「不動産の利用・取得を希望する人」「不明共有者以外の共有者」等が該当し、その土地が適切に管理されていないことで不利益を被るおそれのある隣地所有者などまで含みます。

申立て先は、対象不動産の所在地を管轄する地方裁判所で、管理費用確保のため、申立人は予納金を支払う必要があります。

予納金は事例ごとに異なります。
同じ不在者のための制度である「不在者財産管理制度」「相続財産管理制度」の予納金は20万円から100万円なので、同額程度ではないかと思われます。

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2.異議申立期間の公告

申立てが行われると、裁判所は「申立ての内容」「異議申立てができること」を公告します。

期間は1か月以上で、この期間内に異議がなければ次の行程に移ります。

3.管理人選任、管理命令

裁判所が所有者不明土地管理人が必要だと認めると、管理人の選任と管理命令が発せられます。

管理人は弁護士、司法書士、土地家屋調査士等の士業者から選ばれることが多く、選任された管理人は不動産登記簿に登記されます。

4.職務の終了(管理命令の取消し)

管理人は、その職務を全うし、または、管理の継続が不要となった場合に職務を終了します。

管理不全土地管理制度とは

管理不全土地管理制度は、所有者による適切な管理が行われないことにより、近隣に危険を及ぼし、または、及ぼすおそれがある不動産につき、裁判所が選任した管理人が所有者に代わって管理する制度です。

管理不全土地管理人とは

管理不全土地管理人は、「管理行為」に必要な権限を持ちます。

例えば、劣化した外壁の補修工事や害虫駆除、裁判所の許可・所有者の同意を得れば売却することも可能ですが、裁判等における当事者は常に「所有者」です。

本来は所有者がするべき管理行為がされていないため、応急措置のために選任されるのが管理人なんですね。

管理対象

管理不全土地管理制度において、管理対象になるのは土地・建物だけでなく、これらの中にある所有者の動産、管理人が得た金銭等の財産、建物の場合には敷地利用権まで及びます。

土地上にある建物まで管理するには、「土地管理命令」「建物管理命令」のいずれも申立てる必要があります。

所有者不明土地管理人と異なるのは、土地・建物の処分時に所有者の同意が必要なことです。

対象不動産に関する訴訟が提起された場合も、原告または被告になるのは所有者となります。

管理不全土地管理人の選任手続

管理不全土地管理人さの選任申立てができるのは、「利害関係人」です。

選任手続の流れは次の通りです。

  1. 申立て
  2. 所有者の陳述聴取
  3. 管理人の選任、管理命令
  4. 職務終了(管理命令の取消し)

1.申立て

申立ては、不動産所在地を管轄する地方裁判所に行います。

管理費用のために予納金の納付を求められるのは、所有者不明土地管理人の選任手続と同様です。

2.所有者の陳述聴取

管理不全土地管理制度では、異議申立期間の公告を行わない代わりに、所有者の陳述聴取を行います。

ただし、急迫の事情がある場合等は割愛されるプロセスです。

3.管理人の選任、管理命令

裁判所が管理不全土地管理人の必要性を認めると管理人が選任され、所有者に対し、管理命令が告知されます。

対象が共有状態でも、管理単位は持分ではなく土地・建物全体となります。

管理不全土地管理人は不動産登記簿への登記がされません。

4.職務終了(管理命令の取消し)

管理不全土地管理人は、その職務を全うしたとき、または管理の継続が不相当な状態となれば、管理命令を取消されることになります。

管理・売却等で管理人が金銭を受け取った場合、必要に応じて供託や公告を行います。

所有者不明土地・管理不全土地管理人の役割、選任手続まとめ

当ページでは、所有者不明土地管理制度と管理不全土地管理制度の概要、管理人の役割や選任手続を解説しました。

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