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当ページでは、養子縁組を解消する「離縁」手続きの流れと注意点を解説します。
Contents
養子縁組の解消に必要な手続き
養子縁組を解消するには、「離縁」手続きが必要です。
離縁とは、養子縁組を解消し、養親と養子の法律上の親子関係を断つ手続きを指します。
離縁する際は、住所地の市区町村役所に「養子離縁届」を提出することになりますが、離縁によりさまざまな変化が起きるため、慎重な検討をオススメします。
養子縁組を解消すると起きること
離縁に伴い、下記の変化が生じします。
1.養子の名字が変わる
養子縁組を解消すると、養子の名字は原則、養子縁組前のものに戻ります。
ただし、養子縁組から7年間を経過している場合、離縁から3ヶ月以内に続用届を提出することで、引き続き離縁前の姓を名乗ることができます。
2.養子の戸籍が変わる
養子縁組が成立すると、養子は養親の戸籍に入ることになります。
反対に、養子縁組を解消すれば、養親の戸籍から養子が出て行くことになります。
このとき、養子は養子縁組前の戸籍に戻るか、新たな戸籍を編成するかを選択します。
3.養親の戸籍
養親側の戸籍に大きな変化はありませんが、養子が出て行った事が記録されます。
養子縁組解消の手続と流れ
養子縁組を解消するには、次の方法が考えられます。
- 協議離縁
- 調停離縁
- 審判離縁
- 裁判離縁
- 死後離縁
1.協議離縁
協議離縁とは、養親・養子との話し合いにより、離縁を決める方法をいいます。
養子の年齢が15歳以上の場合は養子本人、15歳未満の場合は法定代理人と養親との間で話し合いが行われます。
2.調停離縁(離縁調停)
調停離縁(離縁調停)とは、養親・養子間での話し合いがまとまらない、または話し合い自体ができない場合に、家庭裁判所に離縁調停を申立て、調停委員を介して解決を目指す方法をいいます。
複数の調停を経て、お互いの同意が得られると調停調書が作成され、この謄本を市区町村役所に提出することで離縁が成立します。
調停成立の日から10日以内に離縁届を提出しなくてはならないので、忘れず、早めに行いましょう。
3.審判離縁(離縁審判)
審判離縁とは、離縁調停が成立しない場合に、家庭裁判所が行う審判により離縁を認める方法をいいます。
裁判所に審判成立後、審判所の交付から2週間以内に相手方が異を唱えなければ、審判が確定します。
この場合、家庭裁判所にて確定証明書を受け取り、これらの書類を市区町村役所に提出することで離縁成立となります。
4.裁判離縁(離縁裁判)
裁判離縁(離縁裁判)とは、調停が不成立となった場合に提訴されるもので、離縁について、家庭裁判所が終局的な判断を行う方法をいいます。
離縁裁判による離縁を目指すには、下記の離縁理由に該当しなければならない点に注意しましょう。
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- その他、縁組を継続しがたい重大な事由
家庭裁判所が、離縁を妥当だと判断した場合、離縁を認める判決が下されます。
この判決から2週間は「控訴期間」であり、当事者双方が異を唱えることができますが、何事もなく期間を過ぎれば判決が確定します。
この場合、家庭裁判所で確定証明書を受け取り、これらの書類を市区町村役所に提出して離縁成立です。
5.死後離縁
死後離縁とは、養親または養子のいずれかが亡くなった後、生存する他方により血縁関係を終了させる方法を言います。
死後離縁を行うには、家庭裁判所の許可(許可審判)を得る必要があり、申立人の本籍地、または住所地の市区町村役所に養子離縁の届出を行う必要があります。
死後離縁が成立すると、養親に限らず、養親の親族との関係も終了し、親族に対する扶養義務もなくなります。
特別養子縁組解消の流れ
特別養子縁組の場合、原則、離縁は認められません。
ただし、要件を満たした場合に限り、離縁が認められることになります。
(1) 特別養子縁組の離縁が認められる条件
下記をいずれも満たした場合、特別養子縁組の離縁が認められます。
- 養親による虐待、悪意の遺棄その他 養子の利益を著しく害する事由があること
- 実父母が相当の看護をすることができること
(2) 請求できる人
特別養子縁組の離縁を請求できるのは、養子、実父母、検察官に限られ、養親から申し立てることができない点に注意しましょう。
離縁の注意点
離縁を検討する際は、下記に注意しましょう。
- 正しい手続きをとる
- 相続関係に注意
1. 正しい手続きをとる
離縁手続きを行う場合、必ず正しい手続きをとりましょう。
要件を満たさないにも関わらず、必要書類等の内容を偽って手続きを行った場合、文書偽造罪や公正証書原本不実記載罪が成立するおそれがあります。
また、自分のみならず、周囲の人生を左右する手続きでもありますので、損害が発生した場合には賠償義務を負う可能性もあります。
2. 相続関係に注意
離縁が成立した場合、養親・養子間の親子関係は終了するため、いずれかが亡くなった場合の相続手続に関与することはできません。
しかし、死後離縁の場合には、相続放棄手続きを行わない限り、相続することになります。
死後離縁については、相続開始後の手続きであり、被相続人の死亡時には相続人に含まれるためです。
養子縁組の解消手続と流れ、注意点まとめ
当ページでは、養子縁組を解消する「離縁」手続の流れ、注意点を解説しました。