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当ページでは、会社都合退職と自己都合退職の違い、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′) / 榊原行政書士事務所 代表行政書士 / 3級FP技能士 / やぎ座のO型 / 趣味は写真を撮ること、神社をめぐること
会社都合退職と自己都合退職の違い
退職は、会社都合退職と自己都合退職に分類されます。
(1)会社都合退職
会社都合退職とは、解雇や退職勧奨等、会社側の都合により雇用契約が終了することをいいます。
厚生労働省が公表する「特定受給資格者 及び 特定理由離職者の範囲と判断基準」では、下記の理由による離職者を「特定受給資格者」として取り扱う旨が記載されています。
- 倒産(破産、民事再生、会社更正等の格倒産手続の申立て または 手形取引の停止等)に伴う離職
- 事業所において大量雇用変動(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされた
- 事業所の廃止に伴う離職
- 事業所の移転により、通勤が困難となった
- 解雇による離職
- 労働契約の締結時に明示された労働条件が事実と著しく相違した
- 賃金額の3分の1を超える額が支払期日まで支払われなかった月が引き続き2か月以上となったこと または 離職の直前6か月間に3か月あったこと等
- 賃金がそれまでと比べて85&未満に低下した
- 離職の直前6か月間において、3か月連続で45時間、1か月で100時間 または 2か月から6か月平均で月80時間を超える時間外労働があった または 危険もしくは健康障害が生ずるおそれがある旨を行政機関に指摘されたにもかかわらず、事業主がこれらを防止するために必要な措置を講じなかった
- 事業主が労働者の職種転換等に際し、職業生活の継続に必要な配慮を行わなかった
- 有期労働契約の更新により、3年以上引き続き雇用されるに至った場合、当該労働契約が更新されなかった
- 有期労働契約の締結に際し、当該契約が更新されると明示されたにもかかわらず更新されなかった
- 上司、同僚等から故意の排斥 または 著しい冷遇、もしくは嫌がらせを受けた
- 事業主から直接(間接含む)退職するよう勧奨を受けた
- 使用者の責めに帰すべき事由により3か月以上休業した
- 事業所の業務が法令に違反したなど
出典:「特定受給資格者及び特定理由退職者の範囲と判断基準」を一部編集して表記
(2)自己都合退職
自己都合退職とは、結婚、育児、介護等の家庭の事情のほか、転職等、労働者の都合により労働契約の解除を申し出る場合をいいます。
会社都合退職、自己都合退職のメリット・注意点
両者にはそれぞれ、メリットと注意点があります。
会社都合退職 | 自己都合退職 | |
---|---|---|
メリット | 失業手当の受給開始が早い 退職金の金額が増える可能性がある | 再就職への影響が低い |
注意点 | 再就職時、選考で不利になる可能性がある | 失業手当の待機期間が長くなる 退職金の金額が低くなる可能性がある |
会社都合退職のメリット
会社都合退職の場合、下記のメリットがあります。
- 失業手当の受給開始が早い
- 退職金の金額が増える可能性がある
1.失業手当の受給開始が早い
会社都合退職の場合、自己都合退職と比較すると、失業手当の受給時期が早まります。
また、一定要件に該当する離職者は「特定理由退職者」として会社都合退職と同様の取扱いを受けられます。
失業手当の受給まで、会社都合退職の場合でも1か月前後はかかるため、はやめに手続を行いましょう。
2.退職金の金額が増える可能性がある
会社都合退職の場合、自己都合退職よりも退職金が増える可能性があります。
ただし、懲戒解雇や労働者の責に帰する事由による解雇の場合、退職金自体もらえない可能性がある点に注意しましょう。
自己都合退職のメリット
自己都合退職の場合、転職時の履歴書上に「一身上の都合」と記載するのみで構いません。
いっぽう、会社都合退職の場合、離職理由により転職活動において不利な場合があります。
就労態度に問題がある、業績不振等を理由とした解雇の場合、採用面接において困る場面も。
自己都合退職でも会社都合退職として取り扱われる可能性がある
下記に該当する場合、自己都合退職であっても会社都合退職として取り扱われる可能性があります。
- 事業所の移転により、通勤が困難となった場合
- 労働契約の内容と実際の労働条件が著しく相違した場合
- 給与支払日を過ぎても支払われなかった場合
- 離職の直前6か月間において、継続する3か月以上の期間において、残業時間が月45時間以上だった場合
- 上司から直接 または 間接的に退職勧奨等を受けた場合など
自己都合退職の注意点
自己都合退職を見当する場合、下記のポイントを抑えましょう。
- 就業規則
- 退職までのスケジュール
- 年次有給休暇の日数
- 退職金の有無、支給要件
- 保険、年金など
1.就業規則
自己都合退職をする場合、会社の規則に従い、申告する必要があります。
いつ、誰に、退職の意思表示をするのか、退職届等の様式について確認しましょう。
有期雇用契約の場合、満了日、満了前の契約解除の取扱等も確認しましょう。
2.退職までのスケジュール
民法において、雇用期間を定めていない場合の退職について、退職の申入れは退職を希望する日から2週間前までに行えば良いとされます(参照:民法第627条|e-Gov法令検索)
ただし、実務上は退職希望日の1か月から2か月前に申し入れを行うことをオススメします。
各社独自の規定を置いている場合もあるため、あらかじめ確認し、後任者への引継ぎ等を行いましょう。
3.年次有給休暇の日数
年次有給休暇が残っている場合、退職前に消化することになりますが、あまり直近の申入れになると消化しきれない可能性があります。
退職希望日が明確な場合、これらも踏まえたスケジュール管理を行いましょう。
4.退職金の有無、支給要件
就業規則を確認し、退職金の有無、支給要件を確認しましょう。
支給される場合、退職所得の受給に関する申告書を提出する必要があるため、担当者までご確認ください。
「自己都合退職だからもらえない」と決めつけるのは勿体ないですよ!
5.保険、年金など
一定の場合を除き、退職後の健康保険、国民年金加入手続等を検討する必要があります。
転職先が決まっていて、1日も空白なく再就職する際は不要です。
退職後、どのような手続が必要になるかを事前に確認し、年金手帳の所在を確認しましょう。
自己都合退職を強要された場合の対処法
実際には会社都合退職であるにもかかわらず、自己都合退職を促された場合、下記の措置をとりましょう。
- 断固拒否
- 弁護士等に相談
1.断固拒否
会社から退職届、退職同意書等への署名を求められた場合、応じる必要はありません。
ただし、会社が定める手続において、退職届を提出しなければならない場合、会社都合退職であることを明記してもらいましょう。
会社都合退職であることがわかる通知書等でも構いません。
2.弁護士等に相談
会社の求めに応じなければ退職させない等の申入れがあり、手続が滞るような場合には、会社の求めに応じず、弁護士 または 特定社労士等の専門家までご相談ください。
社労士単独で労働審判を起こすことはできませんが、力になってくれます。
失業給付金の手続
会社都合退職、自己都合退職、いずれの場合も会社から「雇用保険被保険者離職票」を受け取りましょう。この際、実際の退職理由と内容に相違がないかを確認してください。
失業給付金の手続は、住所地を管轄するハローワークにて行います。
会社都合退職と自己都合退職の違い、注意点まとめ
当ページでは、会社都合退職と自己都合退職の違い、注意点を解説しました。