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当ページでは、酒類を販売するのに必要な許可、申請時に満たすべき要件、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
- 榊原沙奈(さかきばら さな)
- 特定行政書士、ヲタク行政書士®
- 令和3年(2021年)榊原行政書士事務所 開業
酒類の販売に必要なもの
酒類を販売するには、「酒類販売業免許」を取得する必要があります。
酒類販売業とは
酒類販売業とは、法律で定められる「酒類」を継続的に販売するものを指し、販売場ごとに酒類販売業免許を受ける必要があります。
法律上の酒類とは、アルコール分1度以上で、飲用に供することができるものをいいます。
飲食店との違い
酒類提供飲食店の場合、ボトル、缶等を開栓し、提供することになります。
この場合、酒類販売業免許ではなく、食品衛生法に基づく「飲食店営業許可」が必要となる点に注意しましょう。
飲食店営業許可の場合、申請先は営業所の所在地を管轄する保健所です。
酒類販売業免許の種類
酒類販売業免許は、「小売業免許」「卸売業免許」に大別され、更に細分化されます。
区分 | 種類 |
---|---|
酒類小売業免許 | (1)一般酒類小売業免許 (2)通信販売酒類小売業免許 (3)特殊酒類小売業免許 |
酒類卸売業免許 | (1)全酒類卸売業免許 (2)ビール卸売業免許 (3)洋酒卸売業免許 (4)輸出酒類卸売業免許 (5)輸入酒類卸売業免許 (6)自己商標酒類卸売業免許 (7)店頭販売酒類卸売業免許 (8)共同組合員間酒類卸売業免許 (9)特殊酒類卸売業免許 |
酒類販売業免許の取得要件
酒類販売業免許を取得するには、下記の要件を全て満たす必要があります。
- 人
- 場所
- 経営基礎
- 需給調整
1.人
酒類販売業免許を取得するには、過去の法令違反、税金の滞納等がないことが求められます。
具体的には、下記の通りです。
- 申請者が酒類の製造免許、販売免許、アルコール事業法の許可取消処分を受けた事がある場合、その日から3年を経過していること
- 申請前2年内において、国税 または 地方税の滞納処分を受けたことがないこと
- 申請者が国税 または 地方税に関する法令に違反し、罰金に処され または 通告処分を受けたことがある場合、それぞれ、その刑の執行を終わり、執行を受けることがなくなった日、その通告を履行した日から3年が経過していること
- 申請者が各法により罰金刑に処されたことがある場合、その執行を終わり、執行を受けることがなくなった日から3年が経過していること
- 申請者が禁錮以上の刑に処され、その執行を終わった日、執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること
上記1.と同じ処分の対象が法人であり、取消原因のあった日以前1年以内に当該法人で業務を執行する役員だった人が申請する場合、その法人が取消処分を受けた日から3年を経過していることが求められます。
法人名義で酒類販売業免許申請を行う場合、役員全員が審査対象になりますので、あらかじめ確認しましょう。
2.場所
酒類販売業免許を取得するには、酒類販売を行おうとしている場所(販売場)が適切であることが求められます。
具体的には、下記を満たす必要があります。
- 申請する販売場が酒類の製造場、販売場、酒場、旅館、料理店等と同一の場所でないこと
- 申請する販売場における営業が、区画割、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性、その他販売を行うにあたり、他の営業主体と明確に区分されていること
賃貸物件で申請する場合、所有者、賃貸人が同一人でない場合には承諾書等が必要な場合があります。
賃貸契約書の目的欄に「酒類販売業」の記載があるのが望ましいです。
また、親族所有物件の全体 または 一部を販売場として利用する場合、承諾書を求められることもありますので、事前に確認しましょう。
3.経営基礎
酒類販売業免許の取得について、申請者が酒類販売業を行うのに必要な資金のほか、知識、経営手腕を求められます。
取得を考えている免許区分により要件は異なりますが、(1)破産手続開始の決定を受け、復権を得ていない場合、(2)経営基礎が薄弱である場合に該当しないことが求められます。
4.需給調整
酒類販売業免許の取得について、酒類の需要、供給の均衡維持を目的とした審査が行われます。
一般酒類小売業免許を取得する場合、あまり考えなくて良い要件ですが、取得する免許区分によっては注意が必要です。
酒類販売業免許 申請手続の流れ
酒類販売業免許申請は、次の流れで行います。
- 申請書類の提出
- 審査
- 免許付与等の通知
- 酒類販売の開始
1.申請書類の提出
酒類販売業免許の申請先は、酒税官(酒類指導官)のいる税務署です。
酒税官とは、申請、審査、相談専門の行政官をいい、すべての税務署に常駐しているわけではありません。事前に確認しましょう。
1-1.必要書類
酒類販売業免許申請に必要な書類は、下記の通りです。
- 酒類販売業免許申請書
- 販売免許申請書次葉
(1)販売上の敷地の状況
(2)建物等の配置図
(3)事業の概要
(4)収支の見込み
(5)所要資金の額および調達方法
(6)「酒類の販売管理の方法」に関する取組計画書 - 役員全員の履歴書(法人の場合)
- 酒類販売業免許の免許要件誓約書
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 現行定款(法人の場合)
- 最終事業年度以前3事業年度の財務諸表
- 都道府県および市区町村が発行する納税証明書
- 土地および建物の登記事項証明書
- 建物賃貸契約書(使用承諾書)(賃貸物件の場合)
- 酒類販売業免許申請書チェック表
- 所要資金を証明するもの(残高証明書等)など
申請区分により必要書類が異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
酒類販売業免許申請は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)での提出可能です。
2.審査
申請書類、内容に問題がなければ、2か月以内に審査が完了します。
卸売業免許の場合、更に時間を要する場合がほとんどなので、早めに確認しましょう。
酒類販売業免許の取得にかかる費用
酒類販売業免許を取得するには、登録免許税を納付する必要があります。
取得する免許の区分により金額は異なるため、下記を参考にしてください。
免許区分 | 登録免許税額 |
---|---|
小売業免許 | 30,000円 |
卸売業免許 | 90,000円 |
酒類小売業免許から酒類卸売業免許に変更する場合 | 60,000円 |
登録免許税は販売場ごとに必要なので、複数店舗についてまとめて申請する際には注意が必要です。
お酒を販売する際に必要なもの、注意点まとめ
当ページでは、酒類を販売する際に満たすべき要件、手続、注意点を解説しました。