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当ページでは、公文書偽造に該当する要件と罰則、私文書偽造との違いを解説します。
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文書偽造とは
文書偽造とは、公文書、私文書の偽造に関し、刑法上に定められるものをいいます。
具体的には、権限のないまま他人名義の文書を作成する、真正に成立した文書に変更を加える等の行為が違反に該当し、罰則規定が適用される可能性があります。
偽造と変造の違い
文章偽造罪は「偽造」「変造」に分類され、対象文書の内容により区別されます。
偽造とは、作成権限のない人が、無断で他人名義を使用して作成することを指します。
変造とは、真正に成立した文書に何の権限もない人が変更を加え、新たな証明力を作り出すことをいいます。
金額部分に0を足す等、かさ増しするのは変造ですが、文書の一部を削除する等の場合には、毀棄(刑法上の文書毀棄罪)となる可能性があります。
文書の種類
文書は、「公文書」「私文書」に区別することができ、文書偽造の対象がいずれに該当するかによって「公文書偽造」「私文書偽造」として取扱われます。
(1)公文書とは
公文書は、公務所もしくは公務員の印章、署名、記名を使用した文書や図画を指します。
戸籍書類、運転免許証等がこれに該当します。
(2)私文書とは
私文書とは、公文書以外の文書をいい、公務所もしくは公務員でない他人の印章、署名を使用して作成する、権利、義務、事実証明に関する文書、図画を指します。
個人間で作成する契約書、申請書類、処方箋等がこれに該当します。
文書偽造と詐欺の違い
文書偽造と詐欺の違いは、「被害者が文章の内容を理解していたか」にあります。
また、自分と同姓同名の他人の名前を無断で使用して文書を作成した場合、一定要件に該当すると文書偽造罪に該当することがあります。
公文書偽造罪の要件
下記の要件に該当する場合、公文書偽造罪が成立します。
- 行使の目的で
- 公務所もしくは公務員の印章や署名を利用し
- 公務所もしくは公務員の作成すべき文書等を
- 偽造・変造したこと
引用:刑法第154条「詔書偽造等」、155条「公文書偽造等」、156条「虚偽公文書作成等」|e-Gov法令検索
公文書偽造罪の種類
公文書偽造罪は、次の種類に分けられます。
- 詔書偽造等
- 公文書偽造等
- 虚偽公文書作成等
- 公正証書原本不実記載等
- 偽造公務文書行使等
1.詔書偽造等
詔書偽造等とは、公文書のうち、天王名義で作成された文書についての偽造・変造を対象とするものです。
2.公文書偽造等
公文書偽造等は、「有印公文書偽造罪・有印公文書変造罪」と、「無印公文書偽造罪・無印公文書変造罪」に区別されます。
2-1.有印公文書偽造罪・有印公文書変造罪
有印公文書偽造罪・有印公文書変造罪の要件は下記の通りです。
- 行使の目的をもって
- 公務所・公務員の印象・署名を使い
- 公文書・公図画を偽造・変造すること
上記2項については、偽造した公務所・公務員の印章・署名を使用した場合も含まれます。
印象には、私印、職印いずれも含み、署名には、自書、記名双方が含まれます。
2-2.無印公文書偽造罪・無印公文書変造罪
無印公文書偽造罪・無印公文書変造罪とは、有印公文書以外の公文書・公図画が対象で、印象や署名を使用せず、偽造・変造を行った場合に該当する可能性があります。
3.虚偽公文書作成等
虚偽公文書作成等とは、文書の作成権限をもつ公務員が、職務上、虚偽の文書・図画を作成・変造した場合が対象となります。
公務員の補助者に作成権限がある場合、当該補助者が罰則対象になることもあります。
4.公正証書原本不実記載等
公正証書原本不実記載等とは、公正証書の作成についての規定です。
公正証書を作成する際、公証人に虚偽の申立を行い、登記簿、戸籍書類、その他公正証書の原本に事実と異なる記載をさせた場合が対象となります。
該当条項 | 罰則 ()は項数 |
---|---|
詔書偽造等 (刑法第154条) | 無期または3年以上の懲役 |
公文書偽造等 (刑法第155条) | (1)(2)1年以上10年以下の懲役 (3)3年以下の懲役または20万円以下の罰金 |
虚偽公文書作成等 (刑法第156条) | 155条の例による |
公正証書原本不実記載等 (刑法第157条) | (1)5年以下の懲役または50万円以下の罰金 (2)1年以下の懲役または20万円以下の罰金 |
公文書偽造が発覚する場合
公文書偽造罪の発覚は、文書の偽造段階、偽造文書を使用した段階のいずれかとなるでしょう。
上記のほか、警察に発見される場合も考えられますが、この場合、別件の捜査から発覚する場合が多いのではないかと推察します。
公文書偽造罪の時効
公文書偽造罪の時効は、下記の通りです。
該当条項 | 時効 |
---|---|
詔書偽造等 (刑法第154条) | 15年 |
公文書偽造等 (刑法第155条) | (1)(2)7年 (3)3年 |
虚偽公文書作成等 (刑法第156条) | 155条の例による |
公正証書原本不実記載等 (刑法第157条) | (1)5年 (2)3年 |
文書偽造の予防策
文書偽造を防ぐには、下記の方法が考えられます。
- 割印をする
- 改ざん防止機能を活用する
割印をする
割印とは、契約書を複数部ずらして重ね、互いにまたがるように押印する方法です。
契約書の場合、当事者が保管する各文書を重ねて押印することにより、契約後の改ざんを防止することができます。
また、文書が複数枚にわたる場合、前後のページにまたがるように押印することを「契印」といい、前後の文書との連続性を証明する機能があります。
改ざん防止機能を活用する
契約書を作成する場合、改ざん防止機能の備わった用紙を使うのも有効です。
プリンタによる複写時には「COPY」と透かし文字が浮き上がるため、特に原本を守る目的での使用がオススメです。
電子契約の場合、タイムスタンプや電子署名を行う等、電子帳簿保存方法に沿った作成が求められます。
公文書の場合、自分自身で防ぐことは難しいかもしれませんが、作成前後の確認を徹底し、保管方法を工夫しましょう。
公文書偽造の要件、私文書偽造との違い、注意点まとめ
当ページでは、公文書偽造の要件、私文書偽造との違い、注意点を解説しました。