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失業手当の受給要件と給付期間、注意点を解説

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当ページでは、失業手当の受給要件と必要な手続、メリット・注意点を解説します。

Contents

失業手当とは

失業手当とは、何らかの事情により失業した人に対し、一定の手続を行うことで受けられる公的な給付を指します。

失業保険の正式名は「基本手当」、根拠となる制度は「雇用保険」です。

一般受給資格者の受給要件

失業手当を受けるには、下記の要件を満たす必要があります。

  1. 離職日以前の2年間において、被保険者期間が通算12か月以上
  2. 受給資格の決定を受け、失業認定を受けること
  3. 失業認定にあたり、求職活動を行っていること

1.離職日以前の2年間において、被保険者期間が通算12か月以上

離職の日以前において、雇用保険への加入期間が通算12か月以上あることが求められます。

あくまでも「通算」ですので、必ずしも連続した加入期間が求められるわけではありません。

2.受給資格の決定を受け、失業認定を受けること

基本手当(失業手当)を受給するには、離職後、申請者の住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)にて、求職の申込を行う必要があります。

このとき、離職票を提出して受給資格の決定を受けます。

受給資格の決定後、ハローワークの所長が失業認定日を決め、雇用保険受給資格者証を交付します。

3.失業認定にあたり、求職活動を行っていること

受給資格の決定後、指定される失業認定日にハローワークへ出頭し、「失業認定申告書」「受給資格者証」を提出したうえで、職業紹介を求める必要があります。

これに対し、ハローワークの長が認定対象期間の各日について失業認定を行い、認定した日数分の基本手当を支給します。

要するに、一定の求職活動を行っているのに就職できない状態を「失業」とみなし、給付を行うわけですね。

求職活動の確認

求職活動は、前後の認定期間中において、原則2回以上行う必要があります。

ただし、一定条件に該当する人は、1回以上の求職活動実績で足りる緩和措置がとられることもあります。

特定理由離職者の場合

自己都合退職の場合でも、次の事情がある場合は特定理由離職者に該当します。

  1. 体力低下など、身体、精神上の理由による離職
  2. 介護等、家庭の事情による離職
  3. 企業側の事情による離職
  4. 一定の有期雇用労働者

有期雇用労働者が特定理由離職者に該当する場合

有期雇用契約が満了した際、下記に該当する場合は特定理由離職者に該当します。

  1. 雇用期間が3年未満
  2. 更新の有無が明示されていない、または、明示されたが更新の確約はない
  3. 本人に更新の意思があるにもかかわらず更新されなかった

特定理由離職者の受給要件

特定理由離職者の受給要件は、下記の通りです。

  1. 離職日以前の1年間のおいて、雇用保険加入実績が6か月以上あること
  2. 休職の申込を行っているが、就職できない失業状態にあること

特定受給資格者の場合

企業の倒産、解雇等による離職、一方的な言及やパワハラ等が原因で離職した場合、特定受給資格者に該当する可能性があります。

特定受給資格者の受給要件

特定受給資格者の受給要件は下記の通りです。

  1. 離職日以前の1年間において、雇用保険への加入実績が6か月以上あること
  2. 求職の申込を行っているが、就職できない失業状態にあること

一般受給資格者の給付日数

失業手当の受給期間は、原則、離職日の翌日から1年間です。

給付申請は、離職の翌日から行うことができますが、実際には、7日間の待機期間経過後にカウントが始まります。

自己都合退職の場合、待機期間が長くなる場合があります。
また、申請が遅れてしまうと給付日数が少なくなる可能性がありますので、早めに手続を行いましょう。

自己都合退職の給付日数

自己都合退職(一般の受給資格者)の場合、雇用保険の加入期間に応じた下表の失業手当を受給することができます。

加入期間が1年未満の場合は給付が受けられない点に注意しましょう。

特定受給資格者及び一部の特定理由離職者の給付日数

特定受給資格者に該当する場合、受給者の年齢、雇用保険の加入期間に対応する下表の日数分が給付されます。

被保険者だった期間
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満120日180日210日240日
35歳以上45歳未満150日240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日
出典:基本手当の所定給付日数をもとに作成

特定受給資格者および一部の特定理由離職者以外の離職者の場合、下表の通りです。

被保険者だった期間
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分全年齢90日90日120日150日
出典:基本手当の所定給付日数をもとに作成

就職困難者の所定給付日数

障害者など就職困難者に該当する場合、年齢と雇用保険の加入期間に応じ、下表の日数分を受給することができます。

被保険者だった期間
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分45歳未満150日300日
45歳以上60歳未満360日
出典:基本手当の所定給付日数をもとに作成

基本手当の給付金額

基本手当(失業手当)の給付金額は、離職者について、離職前の賃金日額に基づき、1日あたりの「基本手当日額」を算定し、給付日数に基づいて支給されます。

基本手当日額の上限と下限

令和6年(2024年)8月1日決定の基本手当日額の下限値と上限値は下記の通りです。

※1 離職時の年齢が65歳以上で高年齢求職者給付金を受給する場合も、同表を適用
※2 y=0.8w-0.3{(w-5,200/7,590)}w
※3 y=0.8w-0.35{(w-5,200/6,290)}w, y=0.05w+4,596のいずれか低い方の金額

(1)離職時の年齢が29歳以下

賃金日額(w円)給付率基本手当日額(y円)
2,869円以上5,200円未満80%2,295円~4,159円
5,200円以上12,790円以下
12,790円超14,130円以下
14,130円(上限額)超
80%~50%
50%
4,160円~6,395円 (※2)
6,395円~7,065円
7,065円(上限額)
出典:雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和6年8月1日から~をもとに作成

(2)離職時の年齢が30~44歳

賃金日額(w円)給付率基本手当日額(y円)
2,869円以上5,200円未満80%2,295円~4,159円
5,200円以上12,790円以下
12,790円超15,690円以下
15,690円(上限額)超
80%~50%
50%
4,160円~6,395円 (※2)
6,395円~7,845円
7,845円(上限額)
出典:雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和6年8月1日から~をもとに作成

(3)離職時の年齢が45~59歳

賃金日額(w円)給付率基本手当日額(y円)
2,869円以上5,200円未満80%2,295円~4,159円
5,200円以上12,790円以下
12,790円超17,270円以下
17,270円(上限額)超
80%~50%
50%
4,160円~6,395円 (※2)
6,395円~8,635円
8,635円(上限額)
出典:雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和6年8月1日から~をもとに作成

(4)離職時の年齢が60~64歳

賃金日額(w円)給付率基本手当日額(y円)
2,869円以上5,200円未満80%2,295円~4,159円
5,200円以上11,490円以下
11,490円超16,490円以下
16,490円(上限額)超
80%~50%
50%
4,160円~5,170円 (※3)
5,170円~7,420円
7,420円(上限額)
出典:雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和6年8月1日から~をもとに作成

年齢別の基本手当日額

基本手当日額は、離職時の年齢、賃金日額に基づいた給付率を求め、下記の計算にて算出します。

賃金日額退職前6か月の賃金合計額÷180
基本手当日額賃金日額×給付率
基本手当総額基本手当日額×所定給付日数
1か月に振り込まれる基本手当の額基本手当日額×28日

失業手当を受給するまでの手続

失業手当を受けるには、下記の流れで手続を行います。

  1. 書類を用意
  2. ハローワークに出頭
  3. 雇用保険受給者初回説明会を受講
  4. 失業認定を受ける
  5. 失業手当の受給開始

1.書類を用意

失業手当の受給申請時には、下記の書類を提出する必要があります。

  1. 雇用保険被保険者離職票
  2. マイナンバーカード
  3. 証明写真(縦3.0c,×横2.4cm)
  4. 本人名義の預貯金通帳

2.ハローワークに出頭

失業手当の受給申請先は、申請者の住所地を管轄するハローワークです。

ハローワークにおいて、求職の申込を行い、失業手当の申請を行いましょう。

離職理由につき、使用者と申請者に意見の相違がある場合、ハローワークにその旨を申出ることで、調査、判定を行います。

受付が終了すると、雇用保険受給資格者向けのパンフレットを配布されます。

3.雇用保険受給者初回説明会を受講

指定された日時に開催される雇用保険受給者初回説明会に参加し、雇用保険制度の概要、支給に関する説明を受けましょう。

説明会終了後、雇用保険受給資格者証、失業認定申告書を渡されるので、第1回目の失業認定日に出頭します。

4.失業認定を受ける

雇用保険の受給資格が認められると、4週間に1度、失業認定を受ける必要があります。

失業認定日に管轄のハローワークに出頭し、失業認定申告書と雇用保険受給資格者証を提出します。

失業認定日の前後期間に、ハローワークにて職業相談、職業紹介を受け、求人に応募する等の求職活動を原則2回以上行う必要があります。

給付制限期間が3か月の場合、原則3回以上の求職活動実績が求められます。

5.失業手当の受給開始

原則、失業認定日から5営業日後、指定した金融機関の口座に基本手当(失業手当)が振り込まれます。

失業手当を受給するメリット

失業手当を受給するメリットは、求職中の経済的支援を受けられることです。

失業により経済的に不安定な場合、目先の収入を優先し、満足な就職活動を行えない場合があります。

このような事態を防ぐため、経済的支援を受けながら求職活動を行うことで、より安定的な就業環境を選ぶことが期待できます。

失業手当を受給する際の注意点

失業手当を受けると、雇用保険の加入期間がリセットされます。

1度目の離職時に失業手当を受け取り、再就職した場合、再度の離職時に失業手当を受けられない可能性があります。

ただし、1度目の離職時に失業手当の申請手続を行わなかった場合、2度目の離職について申請を行い、受給することができます。

失業手当受給中の注意点

失業手当の受給中にアルバイトを行う場合、下記の点に注意しましょう。

(1)待機期間中は避ける

失業手当の受給申請に設けられる待機期間中にアルバイトを行った場合、離職状態だと認められない可能性があります。

この場合、待機期間が延び、結果的に給付の開始時期が遅れることとなるため、待機期間中のアルバイトはオススメできません。

(2)週20時間未満にする

失業期間において、週20時間以上の就業を行った場合、雇用保険の加入対象となる場合があります。

雇用保険の対象になると失業手当の受給資格を失いますので、シフト調整に気を付けましょう。

雇用保険の加入対象となるのは
(1)1週間の所定労働時間が20時間以上の場合
(2)31日以上の雇用が見込まれる場合
です。

(3)ハローワークへの申告を行う

失業手当の受給中に収入を得た場合、ハローワークに申告する必要があります。

この申告を怠った場合、不正受給とみなされ、雇用保険における全ての支給が停止され、受けた手当の返還義務を負う可能性があります。

収入の過多に関わらず、何らかの収入を得た場合には申告しましょう。

失業手当受給中の健康保険、年金保険料

健康保険には、下記の選択肢があります。

  1. 任意継続制度の利用
  2. 国民健康保険
  3. 扶養家族になる

1.任意継続制度の利用

任意継続制度とは、離職前に加入していた健康保険組合の保険資格を、引き続き利用する制度です。

任意継続制度を利用するには、下記の要件を満たす必要があります。

  1. 資格喪失日の前日まで、継続して2か月以上の加入していたこと
  2. 資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること

在職中は半額を会社が負担してくれていたため、かなり高く感じる場合もあります。

2.国民健康保険

離職により、加入していた健康保険組合を辞めた場合、申請者の住所地を管轄する市区町村役所において国民健康保険の加入手続を行う選択肢があります。

加入申請には、職場の健康保険組合を辞めたことを証明する書類、マイナンバーカード等が必要です。

国民保険制度では、自己都合以外の失業に対し、保険料が減免される制度が設けられており、申請手続が必要な場合と不要な場合とに区別されます。

離職により所得の現象が見込まれる場合には、市区町村役所までご相談ください。

3.扶養家族になる

離職後、配偶者や家族が加入する保険に、被扶養者として加入する選択肢もあります。

この場合、失業手当が被扶養者要件の範囲内である必要があること、保険者により要件が異なる点には注意しましょう。

年金について

離職により厚生年金保険の支払はなくなりますが、国民年金保険料を支払う必要があります。

経済的に支払が困難な場合、年金事務所まで保険料の免除、納付猶予制度についてご相談ください。

失業手当の受給要件と給付期間、メリット・注意点まとめ

当ページでは、雇用保険の基本手当(失業手当)の受給要件、給付期間、メリットと注意点を解説しました。

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カテゴリー: 人事労務


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榊原沙奈
(さかきばら さな)
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法人設立、事業承継が得意
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