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当ページでは、賃金台帳の記載項目、保存期間、注意点を解説します。
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賃金台帳とは
賃金台帳とは、雇用する従業員の給与に関する支払状況を記録する書類をいいます。
労働基準法により、作成と保存が義務づけられる法定三帳簿に含まれ、「賃金台帳」「労働者名簿」「出勤簿」と共に作成と保管義務を負います。
賃金台帳と給与明細の違い
賃金台帳と給与明細の違いは、下表の通りです。
賃金台帳 | 給与明細 | |
---|---|---|
根拠法 | 労働基準法 | 所得税法 |
保存義務 | あり | なし |
保存期間 | 5年間 (当分の間は3年間) | – |
賃金台帳に記載する事項
賃金台帳には、下記の事項を記載しなければなりません。
- 従業員の氏名、性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働の時間数
- 深夜、休日勤務の時間数
- 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
- 賃金の一部を控除した場合、控除項目とその額
1.従業員の氏名、性別
給与の支払対象となったすべての労働者について、氏名、性別を記載します。
正社員、パート・アルバイト、日雇等の区別に関わらず、すべての労働者が対象です。
2.賃金計算期間
賃金計算期間とは、給与計算の対象となる期間を指し、毎月の給与計算に用いる開始日と締め日をいいます。
法律上は「毎月一定の期日に、1か月に1回以上の給与支払」を要件とし、事由に賃金計算期間を設定することができます。
日雇労働者には締め日等の概念がないため、記載は不要です。
3.労働日数
労働日数は、対象の従業員が実際に就業した日数を記載します。
年次有給休暇を取得した場合、労働日数として記載しますが、実労働日数と区別して記載しても構いません。
就業規則等で規定する所定日数と間違えないようにしましょう。
4.労働時間数
労働日数のほか、労働時間数も記載しましょう。
労働時間数には、時間外労働、休日・深夜労働の時間も含み、間違いのないよう記載しましょう。
5.時間外労働の時間数
時間外労働の時間数とは、法定労働時間を超えた場合の勤務時間をいいます。
法定労働時間は、原則、1日8時間・週40時間までですが、一定要件を満たす場合には例外もあります。
自社の規定や関係法令を事前に確認しましょう。
6.深夜、休日勤務の時間数
深夜、休日勤務の時間数には、深夜労働時間に該当する時間帯や法定休日に勤務した時間数を記載します。
深夜労働時間は22時から翌5時をいいます。
管理監督者のほか、一定要件を満たす場合、深夜労働時間のみの記載で足りる場合があります。
7.基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
「基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額」は、基本給と各手当の種別、該当する金額を区別して記載しましょう。
各種手当には、時間材割増賃金(残業代)、通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当、賞与等が該当します。
8.賃金の一部を控除する場合、控除項目とその額
賃金の一部を控除する場合とは、社会保険料、所得税、住民税等を控除する場合が該当します。
控除項目と該当金額を明確に区分して記載しましょう。
賃金台帳の記載対象者
雇用形態に関わらず、全従業員が対象となります。
ただし、雇用期間1か月未満の日雇い労働者の場合、「賃金計算期間」の記入は不要です。
賃金台帳の保存期間
使用者は、賃金台帳に最後の記入をした日から「5年間(当分の間、3年間)」保存しなくてはなりません。
ただし、税法上は源泉徴収簿の保存期間を7年間と設定しているため、賃金台帳と源泉徴収簿を兼ねる場合、7年間は保存しましょう。
賃金台帳の保存方法
賃金台帳の保存は、紙媒体のほか、下記の要件を満たす場合には電子媒体でも認められます。
- 労働基準監督官の検査に際し、すぐに提出ができる
- 必要に応じ、すぐに画面への表示、印刷ができる
- 故意の消去、書換えがされていない
- 長期間の保存に対応できる
賃金台帳の作成・保存についての注意点
賃金台帳の作成、保存を行う際は、下記の点に注意しましょう。
1.事業場ごとに作成、保存する
賃金台帳は、事業場ごとの作成、保存が義務づけられています。
このため、複数の事業場がある場合には、各事業場にて作成と保存を行う必要があります。
2.すべての労働者が対象
賃金台帳の対象者は、正社員、パート・アルバイト、日雇労働者の区別に関わらず、すべての労働者です。
入社1日で辞職した従業員がいる場合も、対象となります。
賃金台帳に関する罰則規定
賃金台帳に関し、違反が認められた場合には、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
罰金の前に是正勧告等が行われるかと思いますので、真摯かつ迅速に対応されることをオススメします。
賃金台帳の記載項目、保存期間、注意点まとめ
当ページでは、賃金台帳の記載項目、保存期間、注意点を解説しました。