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当ページでは、相続手続で求められる残高証明書の発行手続、注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
相続手続の流れ
相続手続は、下記の流れで進めていきいます。
- 死亡の届出
- 遺言書の確認
- 相続財産の特定と受取人(相続人)確認
- 相続人全員で遺産分割協議(※遺言書がない場合)
- 遺産分割協議書を作成
- 相続書類の提出
- 名義変更等、遺産の受取り手続
残高証明書の取得
被相続人が保有する口座または金融機関を特定し、残高証明書を請求します。
残高証明書とは、日付を特定し、預貯金、有価証券、投資信託などの残高を金融機関に証明してもらうものです。
このため、被相続人の死亡日を指定し、残高証明書を請求しましょう。
残高証明書に記載されるのは、金融資産の残高のみで、預貯金に関する取引履歴は記載されません。
他の相続人と争いが生じる可能性がある場合、または、預貯金通帳が見つからない場合、残高証明書と別に、預金入出金取引証明も取得しましょう。
残高証明書の請求に必要な書類
残高証明書の発行請求には、下記の書類が必要です。
- 被相続人の死亡がわかる書類(戸籍謄本、除籍謄本等)
- 申請者が相続人であることがわかる書類(戸籍謄本等)
- 申請者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 申請者の実印と印鑑登録証明書
- 金融機関が指定する残高証明書発行依頼書
金融機関により求められる書類は異なるため、事前に確認すると安心です。
法務局で作成、発行する「法定相続情報一覧図の写し」があると、戸籍書類は省略することができます。
残高証明書の発行手数料
令和6年(2024年)3月時点における各機関の残高証明書発行手数料は下記の通りです。
- 三菱UFJ銀行:770円
- みずほ銀行:880円
- 三井住友銀行:880円
- ゆうちょ銀行:1100円
- スルガ銀行:1100円
- りそな銀行:880円
- 横浜銀行:1100円
- JAバンク:1100円(JA指定用紙による場合は550円)
- 静岡中央銀行:1100円
金融機関により、受付方法により手数料が異なる場合があります。
一般的に、オンラインで受付の方が安く設定されているため、併せて確認しましょう。
遺産分割協議後に必要な書類
相続の方法は、下記のパターンに分類されます。
- 遺言書
- 遺産分割協議
- 裁判所による審判、調停
- 限定承認
- 売却換価後の分割協議
事例ごとに必要な書類を解説します。
1.遺言書
1-1.必要書類
被相続人が生前に用意した遺言書に従って相続する場合、下記の書類が必要です。
- 遺言書
- 遺言書の形式に対応する添付書類
- 相続人の印鑑登録証明書
添付する書類が遺言書の形式により異なるため、注意が必要です。
種類 | 必要書類 |
---|---|
公正証書遺言 | 特になし |
自筆証書遺言 | 家庭裁判所の検認済証明書 遺言書情報証明書(法務局の自筆証書遺言書保管制度をご利用の場合) |
秘密証書遺言 | 家庭裁判所の検認済証明書 |
危急時遺言 | 家庭裁判所の確認通知・検認済証明書 |
隔絶地遺言 | 家庭裁判所の検認済証明書 |
2.遺産分割協議
被相続人が遺言書を用意していない場合、または、遺言者はあるものの、遺言内容と異なる分割方法を選択する場合、法定相続人全員で、だれが、なにを、どのくらい相続するのかを話し合う必要があります。
この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
遺産分割協議が調ったら、その内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名押印します。
2-1.必要な書類
遺産分割協議による分割の場合、下記の書類が必要です。
- 相続手続依頼書(金融機関の様式)
- 遺産分割協議書
- 遺産分割協議書に押印したものと対応する各相続人の印鑑登録証明書
- 法定相続情報一覧図または戸籍謄本類
2-2.遺言書・遺産分割協議書がない場合
被相続人が遺言書を残さず、かつ、遺産に関する遺産分割協議書を作成する予定がない場合、原則、手続先の機関が用意する様式に従うことになります。
金融機関が指定する様式に、相続人全員が署名押印し、これに対応する印鑑登録証明書を添付するのが一般的です。
- 相続資産受取依頼書(金融機関の様式)
- 法定相続情報一覧図または戸籍謄本類
- 法定相続人全員の印鑑登録証明書
「相続資産受取依頼書」は、金融機関により名称が異なりますので、事前に確認しましょう。
3.裁判所の審判・調停により相続する場合
何らかの事情により遺産分割協議が調わず、調停または審判に発展した場合、下記の書類が必要です。
- 相続手続依頼書
- 審判謄本・確定証明書(審判の場合)
- 調停調書(調停の場合)
- 相続人全員の印鑑登録証明書
4.限定承認により相続する場合
被相続人の遺産に対し、限定承認の手続を行った場合、相続手続依頼書に「限定承認の審判書」「相続人全員分の印鑑登録証明書」を添付します。
5.売却換金後に遺産分割協議をする場合
遺産に不動産が含まれる場合、これらを売却後に分割(「換価分割」といいます)することができます。
この場合、売却前に1度登記する必要があることに注意しましょう。
- 法定相続情報一覧図または戸籍謄本類
- 被相続人、相続人全員の住民票
- 固定資産税価証明書
- 遺産分割協議書
- 法定相続人全員の印鑑登録証明書
戸籍謄本の収集について
戸籍謄本は、戸籍の筆頭者、配偶者、子に該当する場合、郵送で取得することも可能です。
相続手続の場合、被相続人は出生から死亡まで連続する戸籍謄本が必要ですが、法定相続人については、マイナンバーカードをお持ちの場合、お近くのコンビニにあるマルチコピー機にて取得できる書類もあります。
お住いの市区町村の証明書
- 住民票の写し
- 印鑑登録証明書
- 各種税証明書
- 戸籍証明書
- 戸籍の附票の写し
本籍地の証明書
- 戸籍証明書(全部事項証明書、個人事項証明書)
- 戸籍の附票の写し
- 住民票
- 印鑑登録証明書
発行する市区町村がこれらのサービスを提供していない場合には、該当するサービスを受けられない場合があります。
また、印鑑登録証明書は、事前に市区町村役所の窓口において、印鑑登録をしていなくては発行しようがないため、事前に確認しましょう。
相続手続に必要な残高証明書の取得方法と注意点まとめ
当ページでは、相続手続に必要な残高証明書の取得方法、必要書類、注意点を解説しました。