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問題14
不作為についての審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者もすることができる。
2 不作為についての審査請求について理由があり、申請に対して一定の処分をすべきものと認められる場合、審査庁が不作為庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、当該不作為庁に対し当該処分をすべき旨を命じる。
3 不作為についての審査請求は、審査請求が濫用されることを防ぐために、申請がなされた日から法定された一定の期間を経過しなければすることができない。
4 不作為についての審査請求がなされた場合、審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てによりまたは職権で、裁決が下されるまでの仮の救済として一定の処分をすることができる。
5 不作為についての審査請求の審理に際しては、迅速な救済を図るために、審査庁は、審理員を指名して審理手続を行わせるのではなく、審理手続を省いて裁決を下さなければならない。
正解:2
はじめに
不作為の審査請求とは、行政機関が法令に基づいて行うべき処分を行った場合、その是正を求める手続を指します。
当該請求は、行政不服審査法に基づいて、行政庁の「不作為」に対し行われる特定の審査請求をいいます。
審査請求が可能な不作為は、行政庁に処分義務がある場合に限られ、行政庁の裁量に委ねられる内容については、必ずしも不作為とは認められない点に注意が必要です。
1:妥当でない
行政不服審査法第6条第2項では、「審査請求をすることができる者は、処分について法律上の利益を有する者とする。不作為についての審査請求については、申請をした者に限る。」としています。
つまり、不作為の審査請求が可能なのは、処分の申請者に限られ、法律の利益を有する者すべてに審査請求権があるわけではありません。
本肢では、「申請をした者だけではなく、法律上の利益を有する者もすることができる」とされいることから、本肢は妥当ではないといえます。
2:妥当である
審査庁が不作為庁の上級行政庁の場合、不作為庁に対し、「当該処分をすべき旨を命じる裁決」を行うことができます(行政不服審査法第46条第1項)
したがって、本肢は妥当です。
3:妥当でない
不作為に対する審査請求は、「申請後相当の期間が経過した後でなければ行うことができない」とされていますが(行政不服審査法第46条第2項)、相当の期間とは、法定されたものではなく、個別の事情に応じて判断されます。
本肢では、「法定された一定の期間」とあるため、妥当ではありません。
4:妥当でない
行政不服審査法には、仮の救済制度として一定の処分をする旨の規定は置かれていません。
不作為の救済とは、主に処分を命じる裁決を指し、仮処分のような処置をとることはできないことから、「裁決が下されるまでの仮の救済として一定の処分をすることができる」とする本肢は妥当ではありません。
5:妥当でない
行政不服審査法では、審査庁が審理手続を省略できる場合を限定しています。
不作為に関する審査請求は通常の審理手続に従って進められ、迅速な救済が目的であっても、法的手続を無視することは認められません。
したがって、「審理手続を省いて裁決を下さなければならない」とする本肢は妥当ではありません。