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当ページでは、和解の種類とメリット、注意点を解説します。
Contents
和解とは
和解とは、紛争が生じた際に当事者間による話し合いを通じ、互いに納得できる解決方法で合意することを指します。
和解の種類
和解は、主に裁判上の和解と裁判外の和解に分類され、それぞれ特徴や必要な手続が異なります。
1.裁判上の和解
裁判上の和解は、裁判手続の中で行われるため、裁判所が関与します。
和解が成立すると、その内容は裁判所の調書に記録され、確定判決と同じ効力を持ちます。
つまり、相手が若いの内容を守らなければ、差押え等の強制執行を行うことができるものです。
また、和解が成立した時点で訴訟は終了するため、判決を待つ必要がなく、迅速な解決が期待できます。
2.裁判外の和解
裁判によらず、当事者間での話し合いや第三者を介した合意による和解を「裁判外の和解」と呼びます。
裁判外の和解には、原則、法的拘束力が伴いませんが、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成した場合、一定の強制執行力を発揮することもあります。
裁判所が関与しないことから、条件を当事者間で自由に設計できる点はメリットと言えるでしょう。
3.裁判上と裁判外の和解における違い
裁判上の和解は、法的拘束力を要する場合や、公平性を確保したい場合に適しています。
いっぽう、裁判外の和解は、当事者間で一定の信頼関係が築かれており、互いが迅速かつ費用を抑えたい場合に適しているといえます。
主な違いを下記にまとめました。
比較項目 | 裁判上の和解 | 裁判外の和解 |
---|---|---|
裁判所の関与 | あり 裁判官、調停委員など | なし 弁護士、仲介者など |
法的拘束力 | 強い | 弱い |
手続の難易 | 煩雑 | 比較的易しい |
費用 | 高額化しやすい | 裁判に比べ低い傾向 |
所要期間 | 中長期 | 短中期 |
公開非公開の別 | 一部公開の可能性あり | 完全非公開も可能 |
和解による解決のメリット
和解による解決は、裁判上と裁判外で共通する部分も多いため、統合して下記にメリットを示します。
- 納得感を得やすい
- 迅速な解決が期待できる
- 費用を抑えられる
- プライバシーの保護に有効
- 解決案を柔軟に選択できる
- 強制執行力を伴う(裁判上の和解の場合)
1.納得感を得やすい
和解は、当事者の主張や希望を直接的に話し合いに反映させることができ、感情的な対立の緩和が期待できます。
また、裁判のように勝敗を決するものではなく、いずれも一定の譲歩を要することから、当事者自身の手で解決したという感覚を得られるのもメリットだといえます。
ただし、納得感を得るには互いが誠実に交渉に臨まなければならないことは言うまでもありません。感情的な対立が激化している場合や、交渉力に不均衡が生じている際は、第三者を介した話し合いがオススメです。
2.迅速な解決が期待できる
裁判外の和解では、裁判を経ず手続を行うことから、判決に至るまでの準備や証拠収集、審理スケジュールの調整等が不要な上、当事者双方の合意のみで解決となります。
いっぽう、裁判上の和解は訴訟を提起する必要がありますが、訴訟の係属中に和解が成立した場合、判決を待つより大幅に時間が短縮されます。
いずれも、訴訟が判決に至るまでに比べると期間が短く、日常生活やビジネスへの影響を最小限に抑えられます。
裁判は長期化することも多いですが、その間に生ずる不安や対立感情が和解により早期に解決されることで、精神的負担軽減も期待できます。
3.費用を抑えられる
裁判外の和解では、訴訟費用や弁護士費用、証拠収集・資料作成にかかる費用が抑えられます。
裁判上の和解の場合、これらの費用はかかるものの、裁判期間中にかかる継続的な弁護士費用や上訴審に進む場合の追加費用を削減することができます。
和解により費用が抑えられることで、経済的な余裕がない当事者でも解決が目指しやすく、合意後の金銭的余裕に繋がることから、解決後の生活や事業の運営にとってもプラスといえます。
4.プライバシーの保護に有効
原則、裁判上の和解であっても和解は非公開で行われ、裁判の判決文のように公開されることはありません。
また、裁判で求められる証人や第三者の意見は不要なので、紛争当事者以外の関与を最小限に抑えることができます。
これにより、当事者は社会的信用を守ることができ、紛争解決中の精神的負担の軽減や、事実に基づかない憶測、デマ拡散のリスク防止も期待できます。
5.解決案を柔軟に選択できる
裁判の場合、法律や判例に基づいた判決を下しますが、和解の場合は、当事者が希望する解決策を自由に選択することができます。
そのため、金銭的解決だけでなく、物理的返還や契約変更、義務の履行といったさまざまな方法による解決案を選ぶことが可能です。
和解案の選択肢が多様なため、感情面において最も受け入れやすい解決策を選ぶことができるほか、互いを尊重しながら合意に至ることができれば、将来的な関係を良好に保つこともできるでしょう。
6.強制執行力を伴う(裁判上の和解の場合)
和解が裁判所の認定を受けた場合、法的な効力が発生します。
強制執行力を付与された和解は、相手が合意内容を履行しない場合の強制執行を可能とし、長期間の追跡や交渉を繰り返す必要がなくなる点は大きなメリットだといえます。
和解のタイミング
1.裁判上の和解の場合
裁判上の和解では、下記のタイミングで和解となります。
1. 訴訟の提起
└ 一方の当事者が裁判所に訴えを提起。
↓
2. 裁判の進行
└ 双方が主張・証拠を提出し、争点が整理される。
↓
3. 和解協議の開始
└ 裁判官や調停委員の提案、または当事者の申し出で和解を目指す話し合いがスタート。
↓
4. 和解案の提示
└ 裁判官が和解案を提示、または双方が条件を話し合いで決定。
↓
5. 和解調書の作成
└ 合意内容が裁判所の調書に記録され、確定判決と同じ効力を持つ。
2.裁判外の和解の場合
裁判外の和解では、一般的に下記の流れで和解に至ります。
1. 問題の発生と解決の模索
└ 紛争や意見の対立が発生。話し合いや調停を検討。
↓
2. 仲介者の選定(必要に応じて)
└ 直接解決が難しい場合、弁護士やADR機関(裁判外紛争解決手続き)を利用。
↓
3. 和解協議の開始
└ 当事者同士または仲介者を通じて主張や条件を提示し合う。
↓
4. 合意の形成
└ 妥協点を見つけ、和解内容について合意。
↓
5. 文書化(必要に応じて)
└ 合意内容を文書化。公正証書を作成することで法的拘束力を強化可能。
和解の注意点
和解は紛争解決の有効手段ですが、検討の際は下記に注意しましょう。
- 合意内容の明確化
- 妥協しすぎない
- 長期的な視点をもつ
- 強制執行力を確保する
- 再発防止策を検討する
- 書面化と記録の保管
- 和解のタイミングを見極める
1.合意内容の明確化
和解の際、合意内容を明確化することで、和解後のトラブルを防止し、紛争の解決を確実なものにします。
和解内容が不明確な場合、後に意図した内容が履行されないケースや、和解時と異なる主張をされるといったリスクが生じるだけでなく、いざ強制執行を申立てても裁判所に認められないリスクを負います。
このようなリスクを避けるためには、具体的な条件を記載した書面を作成する必要があります。
和解内容に不明確な点があるのなら、双方が納得できる第三者を交えて確認作業を行い、解決手段を明記した契約書や和解調書を交わすのがオススメです。
2.妥協しすぎない
和解における妥協は、一見、円満な解決法に見えるかもしれません。
しかし、過度な妥協は自分の権利を不当に犠牲にするリスクを負い、最終的に紛争再燃の可能性が高まります。
また、相手方がその譲歩を前例とし、今後も過剰な要求を繰り返すケースも想定されます。
こうしたリスクを防ぐには、和解に臨む前に、自らの許容範囲を明確に定め、譲歩によるメリットとデメリットの両面から冷静に検討しましょう。
不安なときは、「一定期間内に再交渉を行う」旨の条項を設け、和解後の状況に応じて再交渉することで、過度な妥協防止に役立つかもしれません。
3.長期的な視点をもつ
長期的な視点を欠いた状態で和解に臨むと、表面上は問題が解決されたように見えていても、根本原因は解決されていない可能性があります。
また、将来の状況に応じた合意でなければ、変更に応じてもらえず、経済的に不安定な状況を招くリスクも考えられます。
そのため、和解の前に中長期的な影響を考慮し、持続可能な解決策を模索する必要があります。
紛争時に不確定要素が多い場合、和解後もフォローできる条項を設け、将来の状況変化に備えた調整方法を記載すると安心です。
4.強制執行力を確保する
和解に強制執行力がない場合、相手方が和解内容を履行しない場合や、履行遅延の可能性を高め、再度法的手段を執らなければならない事態に陥る可能性があります。
こうなると、時間とコストが二重にかかることとなり、和解が無意味だったという感情や、未解決の問題に対し、心理的・精神的負担が重くのしかかることもあり得ます。
そのため、和解契約書には「本和解契約は、強制執行を行うことができる」旨を明記し、必要に応じ、その旨を裁判所に申立てて強制執行を確保しましょう。
また、和解契約に履行期限を設定する、定期的な履行確認を行う、保証人を設定するといった方法も考えられます。
5.再発防止策を検討する
和解契約において、再発防止策を採らなかった場合、当事者の不満が再度表面化し、他の問題に発展するリスクを負います。
このような事態を防止するには、再発防止策の検討に加え、定期的な進捗確認や報告、問題発生時の迅速かつ誠実な対応により、相手方との信頼関係を維持する必要があります。
万が一、問題が再発した場合には、迅速な対応と早期の法的手段を執ることで、再発防止策を講じていない場合のリスクを軽減することは可能です。
問題の根本原因を特定し、具体的な再発防止策を契約に盛り込むことと、信頼関係の強化、法的手段の早期検討について専門家の意見を取り込むのも有効化と思います。
6.書面化と記録の保管
和解内容について、口頭のみで合意し、書面化していない場合、後にその内容を証明することが困難となり、相手方が合意内容を否定する可能性が高まります。
そのため、口頭で合意した場合でも、内容確認のためにメールやメモに残し、書面で記録しましょう。
また、和解後の履行についても記録し、履行に関する問題発生時に備えるのも有効です。
和解内容を弁護士や公証人に書面化してもらうことで、紛争発生時の証拠能力として非常に強力です。
7.和解のタイミングを見極める
当事者が和解を焦っている場合、問題の本質を十分に把握しないまま妥協を迫られる可能性があります。
反対に、和解のタイミングが遅すぎる場合、法的手段の長期化に伴う無駄な時間とコストを消費し、精神的負担が増加するリスクを負います。
和解前に状況を十分に分析し、納得できる条件を確保することが大切なのは言うまでもありませんが、交渉中に相手方が態度を変えるような場合には、専門家への仲裁を検討するのもオススメです。
和解のタイミングを見誤れば、様々なリスクが発生するので、問題の本質はしっかり把握し、早すぎず遅すぎないタイミングで決断しましょう。
和解後も履行確認と再発防止策を講じれば、長期的な安定を得ることができるかと思います。
和解の種類、メリットと注意点まとめ
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