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当ページでは、競売物件を購入するメリットと注意点、対処法を解説します。
競売物件とは
競売物件とは、債権回収のために裁判所を通して売却することになった「債務者や担保提供者から差し押さえた不動産」のことを指します。
(1)競売物件の発生原因
競売物件は、主に下記の状況で発生します。
- 住宅ローンの滞納
- 税金の滞納
- 保証債務の履行 など
競売物件を購入するメリット
競売物件の購入は、下記のメリットをもたらします。
- 市場価格より安く購入できる
- 投資物件として魅力がある
- 取引の透明性が高い
- 選択肢が広い
- 不動産の購入経験を得られる
1.市場価格より安く購入できる
競売は、債務者が借金を返済できず、債権者が貸付金を回収する目的で行われ、市場価格の全額回収ではありません。
そのため、一定額が確保されれば良いとの理由から、裁判所が算出する評価額を基に入札開始価格が設定されます。
ここでの価格は、概ね市場価格の7割から9割程度となり、入札者が少ない場合には、開始価格に近い金額にて落札できる可能性があります。
2.投資物件として魅力がある
競売物件は、市場価格より低い価格で落札できる可能性が高いため、初期投資を抑えられます。
そのため、リフォームや修繕にコストをかけても、利回り(収益率)は高い傾向にあり、転売時には大きな利益を得られることもあります。
都心部や大学周辺、駅近くなどの需要が高いエリアの物件が競売に出ることもあり、賃貸物件として運用する際の表面利回りが高くなることから、長期的な安定収入を得られるケースも。
3.取引の透明性が高い
競売は、裁判所が主体となり、法律に基づいて進められます。
そのため、入札者全員に同条件が適用され、購入者間での交渉や裏引きなどの不正や、不明瞭な取引が生じづらい特徴があります。
競売の実施にあたり、裁判所は物件の権利関係を調査し、可能な限り整理した上で情報提供を行っており、権利関係が曖昧な物件を避けられる可能性が高いのも特徴だといえます。
4.選択肢が広い
競売物件には、通常の不動産市場では手に入りづらい物件や特殊な条件の物件が出品されることがあります。
また、都心部から地方まで幅広いエリアにおいて全国規模で出品されているため、選択肢がとても広いのもメリットと言えるでしょう。
一般的な市場価格より低価格な点も、資金が少ない個人や初心者の購入へのハードルを下げる要因ですね。
5.不動産の購入経験を得られる
競売では、物件の評価額や開始価格が公開され、競売市場における物件の相場観をつかむことができます。
実際にどのような価格帯で落札されるのかを経験することで、通常の不動産市場においても同様の相場判断ができるスキルが養われます。
その一方で、競売特有の手続も存在し、一般的な不動産取引への理解の助けとなることもあります。
後述しますが、競売物件の購入には一定のリスクが伴うことから、リスク管理の方法を学ぶのにも有効です。
競売物件を購入する際の注意点
競売物件の購入を検討する場合、下記に注意しましょう。
- 物件の状態を確認できない場合が多い
- 占有者がいる場合、立ち退き問題が生じる可能性がある
- 隠れた瑕疵(欠陥)が存在する場合がある
- 物件情報を読み違える可能性がある
- 想定外の費用が必要な場合がある
- 手続が複雑化するリスクがある
1.物件の状態を確認できない場合が多い
競売物件の購入を検討する際、物件の状態を実際に確認することができない点に注意しましょう。
競売では、原則「現状有姿」での販売となり、現地における内見は許可されない場合がほとんどです。
内部の状態を確認できないことで、下記のリスクが生じます。
- 建物の劣化や損傷の可能性
- 改装やリフォームの必要性
- 立ち退き問題
- 隠れた瑕疵(欠陥)の発見
2.占有者がいる場合、立ち退き問題が生じる可能性がある
占有者とは、物件に住んでいる人や使用している人を指します。
競売物件の場合、占有者が前の所有者や賃借人であることが多く、購入者はその物件を自分のものとして利用するために、占有者に立ち退きを求めなければならない可能性があります。
落札の際、占有者に立ち退きを求めても応じない場合、法的な手続が必要になることもあります。
3.隠れた瑕疵(欠陥)が存在する場合がある
隠れた瑕疵(欠陥)とは、購入前に発見できなかったものの、購入後に判明する物件の欠陥を指します。
例えば、物件の構造面に係る問題や、設備の故障などが該当し、売主が知らずに隠していたり、意図的に報告していない場合があります。
このような瑕疵を発見した場合、修繕費の負担や資産価値の低下など深刻な影響が考えられるものの、競売物件は事前に物件を確認できる機会が限局的です。
そのため、購入後に瑕疵を発見しても、売主に対し、瑕疵担保責任を求められない点に注意が必要です。
4.物件情報を読み違える可能性がある
競売物件の情報は、通常、下記の形式にて提供されます。
公示情報 | 競売物件の概要や物件詳細が記載された書類 物件の所在地、面積、築年数、法的な権利関係などが記載される |
物件調査報告書 | 物件の状況に関する詳細な調査結果が含まれるものの、調査には限界があり、完全とは言い難い |
裁判所の公告 | 競売開始決定や売却条件など、競売に関する法的な通知 |
競売物件の公示情報には、物件の内装や修繕歴は含まれない場合が多く、これだけで問題の有無を確認するのは困難だといえます。
また、競売物件に設定された抵当権や賃貸借契約などが複雑な場合、誤解や誤読が生じやすくなります。
この他、瑕疵や修繕を要する物件の場合でも、現状渡しにて売却されることから、必要費は購入者が負担しなければならない点を理解していなければ「予想外の費用」だと感じるかと思います。
これらの理由から物件情報を読み違えてしまうと、占有者との立ち退き問題や前の所有者の残債務に関するトラブルに巻き込まれるリスクがある点に特に注意しましょう。
5.想定外の費用が必要な場合がある
競売物件の購入に伴い、修繕費用や法定費用、未払金や税金、立ち退き費用など、様々な費用が必要となります。
こうした費用を全て予測するのは困難であり、当初の予算を超え、資金繰りに困るケースが考えられます。
特に、修繕費用や法定費用、立ち退き費用の高額化などは、キャッシュフローを圧迫し、予定していた利回りの低下を招きます。
想定外の費用は、経済的な負担に限らず、精神的にも時間的にもストレスを抱える原因となり、最悪の場合、体調が悪化する可能性も考えられます。
6.手続が複雑化するリスクがある
競売物件に抵当権や担保権等が設定されている場合、購入者が抹消請求を行う必要があります。
この手続には時間を要するだけでなく、場合により金融機関や裁判所を通じた手続が必要になるなど、非常に骨が折れます。
また、未払の税金や公共料金が残っている場合、これらを整理士、支払を済ませるのに必要な手続に負われることになります。
手続が煩雑になると取引が長引き、追加費用が発生する可能性が高まるなど、様々なリスクを抱えているんですね…。
競売物件購入に関するリスクへの対処法
競売物件の購入に関するリスクについて、下記の対処法を検討しましょう。
- 物件を徹底的に調査する
- 占有者の有無を確認する
- 権利関係を確認する
- 競売の専門家に依頼する
- リスクの高い物件は避ける
- 購入後の対応計画を策定する
- リスクの許容範囲を明確に設定する
1.物件を徹底的に調査する
競売物件の購入リスクを最小限に抑えるには、下記の調査を行いましょう。
- 競売開始決定通知書や物件明細書の確認
- 不動産鑑定評価書を確認
- 現地調査(外観、周辺環境、可能なら内部)
- 登記簿謄本の確認
- 過去の裁判記録の調査
- 税金の未払確認
- 競売開始価格と落札価格の確認
- 引渡し条件
- 同じ地域における競売履歴の調査
- 競売物件の平均価格調査 など
物件情報を正確に把握するには、さまざまな角度から徹底的に調査するのがベターですが、独特の注意点が多く、専門的な知識を要することも多いため、不動産鑑定士や土地家屋調査士、弁護士の力を借りることも検討しましょう。
2.占有者の有無を確認する
競売物件において、占有者の有無を確認するには下記の方法が考えられます。
- 競売物件の公告
- 裁判所への問い合わせ
- 物件明細書の確認
- 入札案内の確認
- 現地確認(外部、可能なら内部)
- 不動産業者への問い合わせ
- 競売の仲介業者に確認
- 住民票の取得
- 裁判記録の調査 など
原則、住民票は本人以外が取得することはできませんが、特定の手続を経ることで確認できる場合もあるため、対象の市区町村役所または弁護士等の専門家までご相談ください。
3.権利関係を確認する
競売物件に関する権利関係を確認するには、下記の方法を検討しましょう。
- 登記簿謄本(登記事項証明書)の取得
- 競売物件の裁判資料の確認
- 現地調査(実地調査)
- 不動産業者・競売業者に確認
- 競売公告の確認
- 弁護士や司法書士に相談
4.競売の専門家に依頼する
競売物件の購入について、下記に該当する専門家への相談も有効です。
- 弁護士
- 税理士
- 司法書士
- 不動産鑑定士
- 不動産業者(競売物件専門業者)
- 競売代行業者 など
5.リスクの高い物件は避ける
リスクの高い物件を見分けるには、下記に注意しましょう。
- 物件の状態が不明確な場合
- 権利関係に問題がある場合
- 占有者がいる場合
- 隠れた瑕疵がある又はあってもおかしくないと感じる場合
- 法的なリスクを伴う場合
- 立地に問題がある場合
- 負債が多い場合
- 競売物件の価格が相場に比べ、異常に低い場合
6.購入後の対応計画を策定する
競売物件の落札後について、対応計画を立てる際は下記のポイントを抑えましょう。
- 占有者がいる場合の対応方法
- 立ち退き費用
- 物件の詳細な状態調査
- 修繕・リフォームの予算編成
- 所有権移転登記の手続
- 加入する保険会社と契約内容の選定
- 運用計画(投資物件として購入する場合)
- 不動産取得税の支払
- 固定資産税の支払
- 確定申告や税務処理
- メンテナンス計画
- 管理費の予算編成
- 売却のタイミング
- 転売時に必要な手続 など
7.リスクの許容範囲を明確に設定する
競売物件の購入において、リスクの許容範囲を明確化することで、適切な範囲内でリスクを取ることが可能となります。
検討時には下記を意識すると良いでしょう。
- 予算上限
- 物件選定時の優先順位
- 収益性とリスクのバランス
- 投資期間とリスク許容の時間軸
- リスク回避策
- 経済的な許容度
- リスクの評価基準 など
物件購入の目的により、投資期間が異なるかと思います。
短期間での利益を狙うか、長期的に安定収入を狙うかを検討するのかという前提を定めると他が決まりやすいかも知れません。
競売物件を購入するメリットと注意点、対処法まとめ
当ページでは、競売物件を購入するメリットと注意点、対処法を解説しました。