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当ページでは、造成工事の種類と流れ、必要費の目安を解説します。
Contents
造成工事とは
造成工事とは、土地を整備し、用途に合わせた土地をつくる工事を指します。
山地・森林・農地等の土地を宅地として使用できるよう整備・区画し、傾斜地は平坦に整える等の整備を行うのが一般的です。
造成工事の種類
造成工事では、下記の作業を実施します。
整地 | 地面を平らにし、固める |
伐採・防草 | 雑草・木の根を除去する |
地盤改良 | 軟弱地盤を強化する |
土盛 | 傾斜地に土を盛り、平らにする |
土留 | 擁壁を作り、土の流出を防ぐ |
1. 整地
整地とは、土地を建築・耕作等に適するよう平らにならすことをいいます。
具体的には、コンクリート、大きな石、木くずやガラス等を手や重機で崩し、重機で踏んで固定させる転圧作業を行い、整地が完了します。
2. 伐採・伐根
伐採とは、土地に植えられている木を切り、その根を除去する作業を伐根といいます。
「抜根」と「伐根」について
抜根はそのまま引き抜き、木を完全に除去するために行うのに対し、伐根は、木の根を切り取り、土地を利用する目的で行われる点で異なります。
3. 地盤改良
地盤改良とは、軟弱な地盤を強固にするため、さまざまな工法により地盤に人工的な改良を加えることをいいます。
地盤改良の主な工法として、「浅層混合処理工法」「深層混合処理工法」があり、地盤調査により地質、支持地盤までの距離等を確認のうえ、どの工法を選ぶかを総合的に判断します。
4. 土盛
土盛とは、外部や別の箇所の土砂を使い、地盤の高低・傾斜面を盛り上げ、平坦にする作業を指します。
似たような言葉に「切土」がありますが、切土の場合は傾斜地を平らにするため、地面を削り取って地盤面を低くすることをいい、土盛とは反対の作業となります。
5. 土留
土留とは、土が崩れるのを防ぐ仮設構造物を指し、山留めともいいます。
土留には、親杭横矢板、鋼矢板、ソイルセメント柱列癖等の矢板を用います。
親杭横矢板はコストが低く、小規模工事の山留壁として適当とされる一方で、止水性がほとんどなく、地下水がある場所や軟弱地盤に用いるのは不適当な面もあります。
造成工事の流れ
造成工事は、下記の流れで行われます。
1 | 地鎮祭 | 土地のお清め・お祓いをし、安全祈願を行う儀式 |
2 | 地盤調査 | 造成の目的となる土地の地盤について、強度等を調査 |
3 | 機材搬入 | 工事内容に対応する重機を搬入 |
4 | 造成工事 | 地面の掘削・盛土、土留、擁壁、地盤改良の後、整地して区画を整える 造成工事後、注文者立会いのもと、現場の最終確認 |
5 | 機材の撤去、清掃 | 最終確認で問題がなければ、機材の撤去、現場の清掃を行って工事完了 |
造成工事にかかる費用相場
造成工事にかかる費用について、国税局の管轄区域ごとに提示され、1㎡あたりの金額で示されます。
(1) 平坦地
下記は、令和5年の宅地造成費の金額です。
整地費 | 伐採・伐根費 | 地盤改良費 | 土盛費 | 土留費 | ||
札幌国税局 | 北海道 | 700 | 1,000 | 2,100 | 7,000 | 84,300 |
仙台国税局 | 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 | 800 | 1,100 | 1,900 | 8,000 | 81,400 |
関東信越国税局 | 茨城県 栃木県 群馬県 長野県 埼玉県 新潟県 | 1,000 | 1,800 | 7,600 | 77,200 | |
東京国税局 | 東京都 千葉県 神奈川県 山梨県 | 7,400 | 77,900 | |||
金沢国税局 | 富山県 石川県 福井県 | 700 | 1,900 | 75,900 | ||
名古屋国税局 | 愛知県 岐阜県 静岡県 三重県 | 1,800 | 7,500 | 75,400 | ||
大阪国税局 | 大阪府 奈良県 和歌山県 滋賀県 京都府 兵庫県 | 1,700 | 7,100 | 75,500 | ||
広島国税局 | 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 | 1,800 | 7,100 | 75,400 | ||
高松国税局 | 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 | 1,900 | 74,900 | |||
福岡国税局 | 福岡県 佐賀県 長崎県 | 1,800 | 61,800 | |||
熊本国税局 | 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 | 54,600 | ||||
沖縄国税事務所 | 沖縄県 | 2,400 | 7,700 | 62,700 |
(2) 傾斜地の宅地造成費
傾斜地の宅地造成費には、伐採・抜根費は含まれていないため、これらをようする場合には「平坦地の宅地造成費」の「伐採・抜根費」の金額を基に算出した金額を加算します。
傾斜度 | 金額 |
---|---|
3度超5度以下 | 20,300円/㎡ |
5度超10度以下 | 24,700円/㎡ |
10度超15度以下 | 37,600円/㎡ |
15度超20度以下 | 52,700円/㎡ |
20度超25度以下 | 58,400円/㎡ |
25度超30度以下 | 64,300円/㎡ |
傾斜度3度以下の土地は、平坦地の宅地造成費の額により計算します。
追加でかかる費用
造成工事について、下記の追加費用がかかる可能性があります。
残土処分費 | 残土に遺物が混じっていて、産業廃棄物として処理が必要な場合 | 4,500円~6,500円/t |
整地費用 | 砕石の追加、アスファルト舗装等を行う場合 | 砕石・転圧:1,300円~1,500円/㎡ アスファルト舗装:3,000円~8,000円/㎡ コンクリート舗装:6,000円~10,000円/㎡ |
造成工事の注意点
造成工事について、下記に注意しましょう。
- 費用
- 業者
- 関係法令
1. 費用
造成工事の費用を抑えるには、造成工事の少ない土地を選ぶのがポイントです。
山林や農地の場合、購入費用自体は安価な場合も多いですが、造成工事費用が高くなる可能性があります。
1-1. 土地選定時の注意点
土地を選定する際は、下記を抑えましょう。
- なるべく四角形に近い土地を選択
- ハザードマップ・地盤サポートマップ上で確認
- 雑草・木が生えていない、または少ない
- 隣接地や公道との高低差が少ない
1-2. 住宅ローンの適用外
原則、造成工事費用に住宅ローンによる借入金を充てることはできない点にも注意が必要です。
造成工事は担保の対象とならないのが一般的で、住宅ローンの実行前に借り入れるのは困難な場合がほとんどです。
このため、造成費用については自己資金を用意する、または住宅ローン実行前の融資を検討しましょう。
金融機関により内容が異なるため、事前に相談しておくと安心です。
1-3. 固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点における不動産所有者に課されます。
また、更地で所有する場合に比べ、土地上に住宅が存在する場合のほうが固定資産税は軽くなる特徴があるため、造成工事と建築工事が年をまたいで施工される場合、その金額に注意が必要です。
購入予定の土地に古家が建っている場合、これを解体し、年内に造成工事・建築工事ともに完成する場合は、固定資産税の特例を受けられる可能性があります。
2. 業者
居住用の建物を建築する際、ハウスメーカーや建設業者に造成業者を選ぶことも多いですが、自分で選ぶことも可能です。
2-1. 見積もり
自分で造成業者を探す場合、複数の業者から相見積もりをとることをオススメします。
この際、見積もり内容が明確かどうか、現地調査を行っているか等を確認しましょう。
2-2. 対応と実績
造成業者を選ぶ際、対応にかかる時間に注意しましょう。
何か質問をした場合、専門用語ばかり並べられる、または長時間回答がない場合には注意が必要です。
また、造成工事に係る実績・経験も確認しておくと安心です。
造成工事が適切に実施されない場合、地盤沈下により建物が倒壊するおそれがあるだけでなく、工事中も、近隣住民とのトラブル等を招くおそれがあります。
3. 関係法令
土地の購入を検討する場合、下記の法令を確認しておくと安心です。
都市計画法 農地法 | 農地を転用して住宅を建てる場合等、土地の用途変更を希望する場合、都市計画法・農地法による許可が必要な場合があります |
宅地造成等規制法 | 市街地等における工事内容・場所に対し、一定の規制を設けている場合があるため、許可の要否、工事の技術基準が適合していることを確認しましょう |
造成工事の種類と流れ、必要な費用、注意点まとめ
当ページでは、造成工事の種類と流れ、必要費の相場、注意点を解説しました。