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当ページでは、交通事故により植物状態(遷延性意識障害)になった場合の対処法を解説します。
Contents
植物状態とは
植物状態(遷延性意識障害)とは、交通事故により大脳が損傷し、継続的に意識があることを確認できない状態で、意思疎通がはかれない身体症状を指します。
日本脳神経外科学会では、下記の項目に該当する状態が3か月以上継続することを「植物状態(遷延性意識障害)」と定義づけ、後遺障害認定においては、1級認定となる可能性が高い状態だといえます。
植物状態判定基準(日本脳神経外科学会 1972年)
(1) 自力移動不可能
(2) 自力摂食不可能
(3) 屎尿失禁状態にある。
(4) たとえ声を出しても意味のある発語は不可能。
(5) “目を開け” “手を握れ” などの簡単な命令にはかろうじて応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通が不 可能。
(6) 眼球はかろうじて物を追っても認識はできない。
植物状態になった場合にできること
交通事故の被害者が植物状態(遷延性意識障害)になった場合、下記の手続を検討しましょう。
- 成年後見手続
- 後遺障害認定手続
- 損害賠償請求
1. 成年後見手続
被害者自身で様々な手続がとれなくなるため、成年後見人を選定する必要があります。
(1) 親族が成年後見人になる場合
親族が成年後見人になるには、下記の手続をとりましょう。
- 配偶者、4親等内親族から申立人(成年後見人になる人)を決定
- 必要書類の作成
- 家庭裁判所に申立
- 面接、意向照会
- 後見人の選任、登記
(2) 専門家に依頼する場合
親族内に成年後見人を務められる人がいない場合、下記の専門家に依頼することも可能です。
- 弁護士
- 司法書士
- 社会福祉士
- 行政書士
これらの専門家に依頼した場合、被後見人(被害者)が亡くなるまで報酬が発生するほか、一定の制限が設けられている等の注意すべき点もあります。
下記窓口にて無料相談ができますので、慎重に検討されることをオススメします。
依頼する専門家により、報酬相場、できる手続が異なる点にも注意しましょう。
2. 後遺障害認定手続
交通事故の被害者が「症状固定」の診断を受けた場合、後遺障害等級認定の手続をとりましょう。
「症状固定」とは、治療を続けても症状の改善が見込めない状態のことを指し、当該診断を下せるのは医師のみです。
加害者に対し、後遺障害慰謝料・逸失利益を請求するためにも後遺障害認定は重要です。
(1) 症状固定時期に注意
植物状態の場合、症状固定の診断がされるまで、交通事故から1年程度の経過観察が行われるのが一般的です。
加害者側に損害賠償請求する際、症状固定前・症状固定後で内容が切り替わるため、損害賠償金の受取時期等を含め、慎重に検討しましょう。
3. 損害賠償請求
後遺障害認定の結果が出た場合、加害者が加入する任意保険会社と慰謝料・賠償金についての示談交渉を行います。
植物状態(遷延性意識障害)による損害項目は、下記に該当すると考えられます。
- 入院に伴う費用(入院費、雑費、付添宿泊費等)
- 休業損害
- 入通院慰謝料
- 後遺障害逸失利益
- 後遺障害慰謝料
- 介護に関する費用
- 成年後見人を選任する際にかかる費用・報酬など
(1) 損害賠償請求の消滅時効に注意
損害賠償請求権には、下記の時効期間が定められています。
傷害関連 | 事故の翌日から5年間 |
後遺障害関連 | 症状固定の翌日から5年間 |
物損関連 | 事故の翌日から3年間 |
加害者側の自賠責保険会社への被害者請求については、内容に関わらず3年間である点に注意しましょう。
(2) 慰謝料請求は弁護士基準が最も高額
交通事故慰謝料の算定には、(1)自賠責基準、(2)任意保険会社基準、(3)弁護士基準に分類されます。
(1)自賠責基準とは、自賠責保険が賠償金を算出する際の基準を指します。
(2)任意保険会社基準とは、任意保険会社内部において定められている賠償額水準を指します。
(3)弁護士基準とは、弁護士が交渉段階から用いる算定基準を指し、このうち最も高額となります。
そのため、任意保険会社から提示される金額が必ずしも適正ではないことに留意しましょう。
損害賠償金の適正額を知り、早期解決を目指すためにも、交通事故専門の弁護士に相談することをお勧めします。
治療・介護費用への対処法
交通事故による損害賠償を行った場合、肝心な損害賠償金が支払われるのは示談成立後です。
ただし、加害者の自賠責保険に対し、「被害者請求」を行った場合、示談成立前に下記を請求することができます。
- 治療費
- 休業損害
自賠責保険から支払われる損害賠償金について、過失割合が7割未満なら、過失の影響を受けることなく賠償金を受け取ることができます。
ただし、加害者側の任意保険会社により、必ず対応してもらえるとも言い難いのが現状です。
これらの事情を踏まえ、交通事故による損害賠償・慰謝料請求に関する示談交渉の際は、弁護士等の専門家へのご相談をオススメします。
交通事故で植物状態になった場合の対処法まとめ
当ページでは、交通事故により植物状態(遷延性意識障害)になった場合に家族ができる対処法を解説しました。