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当ページでは、NPO法人の設立手順と注意点を解説します。
Contents
NPO法人設立に関する決定事項
NPO法人の設立を検討する場合、大前提として、下記の事項を決定しましょう。
- 10名以上の社員
- 設立代表者、役員(理事・監事)
- 法人名
- 法人設立の目的
- 事業内容・活動内容
- 主たる事務所の位置
- 会員の種類、入会金・会費の有無と金額
- 事業年度
- 法人の運営方法
- 活動資金の金額、内訳
1. 10名以上の社員
NPO法人を設立するには、社員が10人以上いなければなりません。
社員とは、従業員や職員ではなく、総会に出席し、NPO法人の運営に参加する個人・法人を指します。
具体的には、設立しようとするNPO法人の設立趣旨・活動内容に賛同し、入会金や会費等の負担に承諾してくれる個人・団体が社員となります。
2. 設立代表者、役員(理事・監事)
NPO法人を設立するには、理事を3人以上、監事を1人以上選任する必要があります。
3人いる理事を代表する人を「代表理事」といい、定款に規定することで異なる名称を付けることも可能です。
どんな役職名を付けても、法律上は「理事」「監事」として取り扱われます。
役員の選任は、設立申請前に行う設立総会で行いますが、あらかじめ目処をつけ、就任の承諾を得ておくと安心です。
また、NPO法人の設立に際し、定款の原案等を作成する人を「設立代表者」といいます。
一般的には、代表理事が設立代表者を務めますが、他の人が務めても構いません。
所轄庁での設立認証手続の責任者が、設立代表者となります。
3. 法人名
原則、法人名は自由につけることが可能です。
ただし、同じ住所地に同じ名称の会社が存在する場合、所轄庁から異なる法人名をつけるように指導される場合があります。
法律上規制されているわけではなく、設立しようとする都道府県等により判断基準が異なるため、類似の法人名がいないか、いた場合にはどのように対応すべきかを所轄庁に確認しましょう。
4. 法人設立の目的
NPO法人の設立認証申請において、「設立趣旨書」を添付する必要があります。
設立趣旨書には、当該法人がどのような課題に対し、誰にどのような事業を通し、何提供するのか等を文章にして記載することになります。
しかし、はじめから文章に仕上げる必要はなく、まずは単語のみ、箇条書きで構わないので、可能な限り考えておきましょう。
5. 事業内容・活動内容
NPO法人の設立時、定款の設立目的、設立趣旨書等に「主たる活動内容」を記載する必要がありますが、下記に該当しなければなりません。
分野 | 内容 |
---|---|
保健、医療又は福祉の増進を図る活動 | 健康や医療、障害者や要介護者等の生活に関わる活動 |
社会教育の推進を図る活動 | 学校で行われる教育以外の教育を推進する活動 |
まちづくりの推進を図る活動 | 町や地域にとって有益な活動 |
観光の振興を図る活動 | 観光商品、地域ブランド等の開発に関する活動 |
農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動 | 主に農山漁村・中山間地域を対象に実施する村おこし(町おこし)、地産地消に関する活動 |
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 | 芸術家への支援、伝統文化の振興に関する活動 |
環境の保全を図る活動 | 野生動植物の保護、リサイクル、公害防止に関する活動 |
災害救援活動 | 災害時の人命救助、被災者の生活支援、災害後の支援活動 |
地域安全活動 | 地域での交通安全、犯罪防止、消防団等の活動 |
人権の擁護又は平和の推進を図る活動 | 人権擁護、核廃絶等の平和推進活動 |
国際協力の活動 | 難民支援、留学生の支援活動 |
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 | 女性差別の撤廃を促進する活動 |
子どもの健全育成を図る活動 | 子ども会、非行防止、いじめ・児童虐待等の相談など |
情報化社会の発展を図る活動 | インターネットを利用した学習システムの普及活動、IT講座の実施、パソコン講座等の情報通信技術の活用に関する活動 |
科学技術の振興を図る活動 | 新技術の開発・普及に関する活動 |
経済活動の活性化を図る活動 | 地域全体の経済活性化の促進、新規事業者の支援活動 |
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 | 資格の取得支援、就労支援、就労情報の提供に関する活動 |
消費者の保護を図る活動 | 消費者に商品情報を提供する活動 |
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 | 上記の活動を実施する団体に対し、助言や支援、交流等を図る活動 |
前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 | 所轄庁の条例により定められている活動 |
6. 主たる事務所の位置
NPO法人を設立する際、主たる事務所の設置場所と、何カ所に設置するのかを決定する必要があります。
主たる事務所の所在地を管轄する市区町村役所において、設立認証申請を行うことになるため、早めに決定しておくと安心です。
7. 会員の種類、入会金・会費の有無と金額
NPO法人が設定できる会員の種類に制限はありません。一般的には、下記の区分を設定する場合が多いです。
- 正会員
- 賛助会員
- ボランティア会員
- 名誉会員
- 利用会員 など
正会員の入会制限について、NPO法人の総会で議決権を持つことになるため、「正当な理由がない限り、入会を承認しなければならない」等の規定を置きましょう。
入会制限をまったく設けないと、見ず知らずの人が法人の運営に決定権を握ることになりかねません。
いっぽう、正会員以外の会員について、特に制限されることはなく、自由に設定することが可能です。
8. 事業年度
事業年度とは、法人で営業年度と呼ばれるもので、決算期と決算期の間の期間を指します。
期間は1年間以内と定められていて、期首・期末は自由に設定できるほか、半年ごとに事業年度を区切り、決算を行うことも認められます。
法人の場合、決算日から2か月以内が納税期限となりますので、運営上、手許現金に余裕がありそうな期日を設定するといいですね。
9. 法人の運営方法
原則、NPO法人の運営は、社員総会による決議にて決めることになります。
しかし、定款に定めることにより、理事会で決定することも可能になるため、設立後の運営について、主体をどこにするかを検討しましょう。
社員数が増えると、招集等の手続が煩雑化し、意思決定に時間を要するようになるため、なるべく迅速に決定したい事項については、理事会に委ねるのがオススメです。
10. 活動資金の金額・内訳
NPO法人の設立認証申請では、事業計画書を提出することになります。
任意団体としての活動実績がある場合、ある程度の資金繰りは可能でしょうが、真っ新な状態で設立する場合には、しっかりと資金計画を立てる必要があります。
NPO法人設立の流れ
上記を基に、下記の流れで設立認証申請を行います。
- 設立趣旨書の作成
- 定款作成
- 役員就任予定者の書類を取得
- 事業計画書・収支予算書を作成
- 社員名簿・役員名簿を作成
- 設立認証申請書の作成
- 設立総会の開催
- 所轄庁に設立認証申請
- 認証・不認証の決定
- 設立登記
- 官公署に届出
上記では、8.に記載しましたが、書類を作成中に疑義が生じた場合には、所轄庁にご相談ください。
早めに相談しておくことで不備等がわかり、申請手続が円滑に運びます。
NPO法人設立について、よくある質問(FAQ)
1. NPO法人の正会員となる場合のリスクは?
正会員(社員)には、特別なリスクはありません。
原則、正会員はNPO法人に会費を支払い、総会で議決権を行使するのみで、法人の業務を行うことはありません。
ただ、法人の財産状況に関して確認する権限等をもつため、あまり運営に興味がない場合は、他の会員種別を選択するのも良いかも知れません。
2. 外国人でもNPO法人の役員になれますか?
外国の方でも、役員要件を満たす場合には、理事・監事に就任することができます。
設立認証申請において、役員は、「就任承諾書及び誓約書の謄本」「その住所又は居所を証する書面として内閣府令で定めるもの」を提出する必要があるため、現在も外国にお住まいの場合には、住所 または 居所を証明する権限をもつ官公署が発行する文書を取得・提出することになります。
外国語の書類は、翻訳者を明らかにして和訳を添付する必要があります。
3. NPO法人の監事はどのような仕事をするのですか?
NPO法人の監事は、下記の職務を行います。
- 理事の職務執行状況を監査
- NPO法人の財産状況を監査
- 監査の結果、業務・財産に関し不正な行為、法令・定款に違反する重大な事実があることを発見した場合、社員総会 または 所轄庁に報告
- 3.の報告に伴い、必要があれば社員総会の招集
- 理事の職務執行状況・NPO法人の財産状況につき、理事に意見を述べる
上記のように、監事は、理事・法人のお目付役を担うため、理事・監事の兼任は認められません。
NPO法人設立の手順、注意点 まとめ
当ページでは、NPO法人設立の手順と注意点を解説しました。