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当ページでは、遺品整理業の開業に必要な許可や資格、注意点を解説します。
Contents
遺品整理業とは
遺品整理業とは、死亡人の遺品を整理・処分する事業者を指します。
具体的には、下記の事業を行います。
- 遺品の分類
- 遺品の売却
- 遺品の廃棄 または 廃棄の委託
- 遺品の引渡し
- 死亡人の居住スペースの清掃 など
遺品整理業の開業に必要な許可・資格
遺品整理業として行う事業内容により、下記の許可・資格が必要な場合があります。
- 一般廃棄物収集運搬業許可
- 古物商許可
- 遺品整理士
1. 一般廃棄物収集運搬業許可
一般廃棄物収集運搬業許可とは、一般廃棄物の収集・運搬を事業として行う際に取得が義務づけられている許可を指します(廃棄物処理法 第7条第1項)
遺品について、市場価値がない、または 損傷が激しいと判断したものは、原則、一般廃棄物に該当します。
遺品整理を行う上で、これらの一般廃棄物を自ら収集・運搬する場合、事業を行う市区町村において許可を受けなければなりません。
1-1. 委託する選択肢もある
実務上、一般廃棄物収集運搬業の許可を取得するのは容易ではありません。
事業を行う市区町村において、必ずしも新規許可を受け付けているわけではなく、許可を取得できたとしても、一定の条件を付けられることもあります。
遺品整理業の開業に際し、一般廃棄物収集運搬業許可の取得が難しい場合には、既に許可を受けている事業者に委託する選択肢もあります。
ただし、許可を得ないまま顧客の居宅を1歩出た時点で「収集」とみなされ、廃棄物処理法違反が成立する可能性がある等、厳しい制限に堪える必要があります。
1-2. 一般廃棄物収集運搬業許可の申請先
一般廃棄物収集運搬業の許可申請は、事業を行う地域を管轄する市区町村役所の担当課です。
許可申請にかかる費用は、3,000円から10,000円前後ですが、行政書士に依頼する場合、これとは別に報酬が必要となる点に注意しましょう。
1-3. 無許可営業に対する罰則
一般廃棄物収集運搬業許可を受けず、廃棄物の収集・運搬・処分を行った場合、5年以下の懲役 もしくは 1,000万円以下の罰金 または 両方が科される可能性があります(廃棄物処理法 第25条の1)
また、法人の代表者・従業員が無許可で営業した場合、罰金の上限は3億円以下になります(廃棄物処理法 第32条の1)
2. 古物商許可
古物商許可とは、法律で規定される「古物」に該当する物品を、事業として売買・交換する場合に取得が義務づけられている許可を指します(古物営業法 第2条第1項、第2項)
遺品について、遺族から委託を受けて売買する場合のほか、処分予定の遺品を買い取り、自身で売却する場合には古物商許可が必要です(古物営業法 第2条第2項)
ただし、下記に該当する場合、古物商許可が不要な場合があります。
- 無償でもらった遺品を売る場合
- 相手に手数料を支払って回収したものを売る場合
2-1. 古物商許可の申請先
古物商許可の申請先は、営業所の所在地を管轄する警察署の担当課です。
申請にかかる費用は、19,000円です。
2-2. 無許可営業に対する罰則
古物商許可を受けず、古物を売買・交換した場合や、不正な手段を用いて古物商許可を受けた場合には、3年以下の懲役 または 100万円以下の罰金に処される可能性があります(古物営業法 第31条第1項各号)
3. 遺品整理士
遺品整理士とは、一般財団法人 遺品整理士認定協会が認定する資格で、遺品整理業の開業に必要なわけではありません。
資格は「国家資格」「民間資格」に分類されますが、遺品整理士は民間資格に分類されます。
しかし、取得に必要なカリキュラムを通し、遺品整理業に必要な知識・技術を身につけることができるほか、遺品整理士を名乗れることで、顧客が遺品整理を依頼する際の指針となる場合があります。
3-1. 遺品整理士資格の取得方法
遺品整理士認定協会の公式サイトより申込み、約2か月程度の講座を受講・修了後、試験(検定)に合格することで「遺品整理士」を名乗ることができます。
遺品整理士の資格取得にかかる費用は、受講料を含め、30,000円から40,000円程度です。
遺品整理業を開業する際の注意点
遺品整理業を開業する場合、下記に注意しましょう。
1. 開業の方法により開業資金・運転資金が異なる
遺品整理業を開業する場合、「フランチャイズ契約」「独立」という選択肢があります。
1-1. フランチャイズ契約をする場合
大手 遺品整理業者とフランチャイズ契約をする場合、はじめに加盟金(保証金)が必要です。
加盟金の額は企業により異なりますが、他者と比較し、著しく低い場合には、ロイヤリティ等が高い可能性があります。
ロイヤリティは、月々の売上に対し、一定比率をかけて算出する場合のほか、売上に関係なく、固定額を払い続ける方法があります。
1-2. 独立開業する場合
遺品整理業者として自身で独立開業する場合、全て自分で行う必要があります。
開業時の全てとは、遺品整理に要するトラックやホームページの作成費、集客に必要な広告宣伝費、場合により倉庫等の契約費等が含まれます。
フランチャイズ契約を結ぶ場合との違いは、ロイヤリティが不要なため、収支は全て自分が主体になる点です。
小さく始めるとしても、100万~300万円程度は用意できると安心です。
2. 補助金・助成金、融資は計画的に
開業に際し、国や自治体等が実施する補助金・助成金を申請したり、金融機関等から融資を受ける場合、地に足の付いた事業計画を策定する必要があります。
補助金・助成金の場合、採択された場合であっても、実際に補助金が支給されるまでは一定期間を要します。
また、限られた期間内に計画内容を実現し、事後に報告書等を提出しなくてはなりません。
金融機関から融資を受ける場合も同様で、借りた金額以上の返済が待っている点に注意しましょう。
目先の資金調達にとらわれると、後が厳しくなります。
3. サービス内容に注力する
遺品整理業者はこの10年で増加傾向にあります(参考:遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書|総務省)
今後ますます競争は激しくなることが予想され、他事業者との差別化が課題だといえます。
遺品整理業を開業する場合、開業時点では顧客に示すことができる実績がなく、顧客側から見ると実力等がわかりづらいという問題があります。
この点、問い合わせ時点から気持ちの良い対応を心がけ、身だしなみ・事務所を清潔に保つことが必要です。
人は見た目ではないと言いますが、顧客は外見で判断することも多いものです。
たとえ、依頼に繋がらなかったとしても、「何かあれば相談しよう」と感じてもらえれば、将来の顧客になる可能性もあります。
遺品整理業の開業に必要な許可・資格、注意点 まとめ
当ページでは、遺品整理業の開業に必要な許可と資格、注意点を解説しました。