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少額管財による破産手続の流れ、メリットと注意点を解説

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当ページでは、少額管財による自己破産手続の流れ、利用のメリットと注意点を解説します。

筆者プロフィール

榊原 沙奈さかきばら さな(90′) / 榊原行政書士事務所 代表行政書士 / 3級FP技能士 / やぎ座のO型 / 趣味は写真を撮ること、神社をめぐること

少額管財とは

少額管財とは、破産管財人が主導して行う簡略的な破産手続を指します。

破産手続は、下記に分類されます。

  1. 同時廃止事件
  2. 管財事件

同時廃止事件とは、破産手続開始決定と同時に手続が終了する類型をいいます。

管財事件とは、裁判所により選ばれる破産管財人が、破産者の財産を調査・管理・換価し、債権者に配当する類型を指しますが、一部の裁判所では「少額管財」として、通常の管財手続よりも簡略化して運用しています。

少額管財を利用するメリット

少額管財を利用するメリットは、下記の通りです。

  1. 予納金の額が抑えられる
  2. 手続にかかる時間を短縮できる

1. 予納金の額が抑えられる

自己破産を申立てる際、予納金を支払う必要があります。

予納金とは、破産手続にかかる費用として裁判所に納める費用の総称で、手数料、官報公告費、郵便切手代等が含まれます。

破産管財人報酬を「引継予納金」と呼びます。

通常の管財事件の場合、予納金は約50万円かかりますが、少額管財の場合、最低20万円まで引き下げられているため、債務者への負担を軽減できるメリットがあります。

2. 手続にかかる時間を短縮できる

通常、管財事件では、手続から免責決定までに6か月から1年ほどの時間が必要ですが、少額管財事件の場合、約3か月から6か月で手続が完了します。

破産者・債権者双方にとって、早期解決はメリットだと言えます。

少額管財を利用する際の注意点

少額管財を利用する際は、下記に注意しましょう。

  1. 裁判所により非対応
  2. 代理人として弁護士への依頼が必須

1. 裁判所により非対応

少額管財の取扱について、申立先となる裁判所により異なります。

申立て先が非対応の場合、少額管財を選ぶ余地はなく、自動的に通常の管財事件となる点に注意しましょう。

2. 代理人として弁護士への依頼が必須

少額管財を利用するには、弁護士による代理人申立が必須です。

このため、自己破産手続の早期解決を目指す場合には、あらかじめ、弁護士に相談されることをオススメします。

少額管財による破産手続の流れ

少額管財による破産手続の流れは、下記の通りです。

1. 破産手続開始の申立て

地方裁判所に対し、破産手続開始の申立てをします。

申立て先は、債務者の住所地を管轄する地方裁判所ですが、申立人が営業者の場合、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所に申立てます(破産法 第5条第1項)

申立自体は申立人自身でも可能ですが、少額管財の場合、弁護士による代理人申立が必要な点に注意してください。

2. 債務者審尋

債務者審尋とは、裁判所が行う債務者との面談を指します。

申立書に債務者の財産状況を記載しているため、書類上で支配可能性をはかることもできますが、債務者自身が内容をきちんと把握しているか、破産申立に至った経緯等を訪ねられます。

3. 破産手続開始決定

下記の欠格要件に該当する場合を除き、裁判所は、破産手続開始の決定をします(破産法 第30条第1項)

  1. 破産手続費用の予納がないとき
  2. 不当な目的で破産手続開始の申立てをしたとき、その他 申立が誠実にされていないとき

当然のことながら、債務者が支払不能であることも求められます(破産法 第15条第1項)

4. 債務調査、財産の処分等

裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、1人 または 数人の破産管財人を選任し、下記の事項を定めます(破産法 第31条第1項)

  1. 破産債権の届出期間
  2. 破産者の財産状況を報告するため、債権者集会の期日
  3. 破産債権の調査期間

選任された破産管財人は、下記の業務を行います(破産法 第116条第1項、第184条第2項、第250条第1項)

  1. 債権者の調査、債権額に関する調査を行い、分配・配当する債権の決定
  2. 破産手続開始の決定時点で破産者が所有する財産を換価・処分し、債権者への配当の原資にする
  3. 破産手続後に行う免責の可否について、免責不許可事由の調査

5. 債権者集会・配当

債権者集会とは、破産財団の換価・処分状況、債権者が受けられる配当の見通し等につき、情報共有を行う目的で行われます。

内容が複雑でなければ、1回の開催で配当へと移行します。

6. 免責決定(不許可)

破産者が個人の場合、裁判所による免責審尋が行われます。

免責審尋では、破産に至った原因を自覚しているか、現在の収支、将来の見立てを問われることが多く、免責不許可事由に該当しなければ、免責許可となります。

免責不許可事由は、下記の通りです(破産法 第252条各項)

  1. 債権者を害する目的で、破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと(隠匿、損壊を含む)
  2. 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件による債務の負担、又は 信用取引による商品の買入れ、これらを不利益な条件で処分したこと
  3. 特定の債権者に対する債務について、特別の利益を与える 又は 他の債権者を害する目的で、担保の供与・債務の消滅に関する行為を行ったこと
  4. 浪費 または 賭博 その他の射幸行為をしたことにより著しく財産を減少させ、又は 過大な債務を負担したこと
  5. 破産手続開始の申立から1年以内に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、これがないと詐術を用いて信用取引による財産を取得したこと
  6. 業務・財産状況に関する帳簿、書類 その他の物件を隠滅、偽造、変造したこと
  7. 虚偽の債権者名簿を提出したこと
  8. 裁判所が行う破産手続関連の調査において、説明を拒み、又は 虚偽の説明をしたこと
  9. 不正手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理 又は 保全管理人代理の職務を妨害したこと
  10. 下記のいずれかに該当する場合、7年以内に免責許可の申立があったこと
    イ 免責許可の決定が確定 当該免責許可の決定確定の日
    ロ 民事再生法に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定確定の日
    ハ 民事再生法に規定する免責決定が確定したこと 当該免責決定に係る再生計画認可の決定確定の日

少額管財にかかる費用

少額管財に必要な費用は、下表の通りです。

金額
予納金13,834円
引継予納金最低20万円~
予納郵便切手概ね1,000円から1,500円程度
収入印紙1,500円
弁護士報酬20万円~50万円
出典:20160406yuken_yonokin_etclist.pdf (kanaben.or.jp)

少額管財による自己破産手続の流れ、メリットと注意点 まとめ

当ページでは、少額管財による自己破産手続の流れとメリット、注意点を解説しました。

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