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相続時に知っておくべき株式の評価方法と手続きのポイント

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 当ページでは、相続における株式の手続きについて詳しく解説します。

 株式には「上場株式」と「非上場株式」があり、それぞれに異なる相続手続きが必要です。また、株式を相続する際に重要となる評価方法や、必要な書類についても説明します。相続手続きをスムーズに進めるために、正確な情報を把握しておくことが大切です。株式の相続を正しく理解し、しっかりと手続きを行うために役立つ情報を提供します。

株式の種類

 株式は、「上場株式」「非上場株式」に分類することができます。

上場株式上場株式とは、株式市場(証券取引所)に上場している企業の株式のこと
※上場とは、企業が株式を証券取引所に登録し、一般投資家がその株式を自由に売買できるようにすること
非上場株式非上場株式とは、証券取引所に上場していない企業の株式のこと
公開市場で売買されることはなく、一般的には株式を保有する企業の関係者や、特定の契約を結んだ投資家の間で売買が行われる

 ここでは、この分類に従って相続に必要な手続きを解説していきます。

上場株式を相続する方法

 上場株式の場合、その管理は証券会社、または信託銀行が行って言います。そのため、相続手続きに関しても各証券会社等のルールに従う必要があります。

非上場株式を相続する方法

 非上場株式の場合、証券会社や信託銀行は介入せず、株式を発行する会社と直接にやり取りをすることとなります。上場株式を相続するには、通常、相続人が同じ金融機関において証券口座を開設していなければなりませんが、非上場株式の場合、こういった手続きは不要です。

株式の評価方法

 株式は、現金や預貯金とは異なり、その価格が日々変動しています。そのため、株式の種類に応じて評価しなければなりません。

上場株式の評価方法

 遺産に上場株式が含まれる場合、以下の区分に従って評価することになります。

1通常の上場株式の評価上場株式の評価額は、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する、課税時期の最終価格で評価します
ただし、その最終価格が、課税時期の属する月の3か月前の月ごとの最終価格の平均額よりも高い場合、その平均額の中で最も低い額を使って評価します
2贈与や個人間取引による取得課税時期の最終価格を基準に、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する価格を使用します
出典:(上場株式の評価)|国税庁 をもとに筆者作成

 要するに、故人の死亡日の終値を基本にし、その価格が過去3か月の平均額より高ければ、その最も低い月の平均価格を基準に評価するというルールです。

非上場株式の評価方法

 上場株式や気配相場等のある株式以外の株式は、「取引相場のない株式」として扱い、相続や贈与等で株式を取得する株主が、その株主を発行した会社の経営支配力を持つ同族株主等か、それ以外の株主かにより、それぞれ「原則的評価方式」または「配当還元方式」により評価します。

原則的評価方式とは

 原則的評価方式とは、評価する株主の発行会社を総資産価額、従業員数および取引金額により、大会社、中会社、小会社のいずれかに区分し、次の方法で評価することをいいます。

1大会社原則、類似業種批准方式により評価する
👉類似業種株価を基に、評価する会社の一株当たりの配当金額、利益金額および純資産価額(簿価)の3つで批准して評価する方法
【関連リンク】財産評価関係 個別通達目次(国税庁)
2小会社原則、純資産価額方式により評価する
👉会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替え、評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法
3中会社大会社と子会社の評価方法を併用して評価
出典:No.4638 取引相場のない株式の評価(国税庁)をもとに筆者作成

相続人自ら専門家に依頼し、鑑定する方法もありますので、相続人の皆様で検討されると良いでしょう。

【関連リンク】財産評価基本通達(国税庁)

株式の相続に必要な書類

 株式の相続に必要な書類について、以下のケースに分けて解説します。

  1. 遺言書がある場合
  2. 遺産分割協議書がある場合
  3. 遺産分割調停・審判による場合

1.遺言書がある場合

 遺言書がある場合の株式の承継について、原則、遺言書の内容に従います。このとき、以下の書類が必要です。

  • 遺言書
    👉公正証書遺言書、自筆証書遺言書保管制度を利用していない場合、検認済のもの
  • 故人の死亡を確認できる戸籍謄本等
  • 受遺者となる相続人の戸籍謄本
  • 受遺者となる相続人の印鑑登録証明書
  • 遺言執行者選任審判所謄本
    👉家庭裁判所に選任された遺言執行者が手続きを行う場合
  • 遺言執行者の印鑑登録証明書
  • 👉遺言執行者が手続きを行う場合
  • 証券会社、信託銀行所定の用紙

 印鑑登録証明書は、発行後○か月以内と指定されるケースがほとんどです。そのため、あまり早期に取得しますと再取得の必要があるため、事前に確認しましょう。

【関連記事】相続の基本ステップ:遺産調査から承継手続きまでの流れ

2.遺産分割協議書がある場合

 遺産分割協議書がある場合、株式の承継手続きには以下の書類が必要です。

  • 遺産分割協議書
  • 故人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本等
  • 法定相続人全員の戸籍謄本等
    👉法定相続情報一覧図の写しで代替可能
  • 法定相続人全員の印鑑登録証明書
  • 証券会社、信託銀行所定の用紙

【関連記事】遺産分割協議書を自分で作成するための完全ガイド!基本のステップと注意点

2.1.遺産分割協議書はないものの、相続人全員の合意がある場合

 遺産分割協議書はないものの、、相続人全員の合意がある場合、法定相続人全員が署名・押印することで、株主の承継手続きを行うことができます。この場合、必要な書類は、以下の通りです。

  • 故人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本等
  • 法定相続人全員の戸籍謄本等
  • 法定相続人全員の印鑑登録証明書
  • 証券会社、信託銀行所定の用紙

3.遺産分割調停・審判による場合

 遺産分割協議が調わず、調停や審判となった場合、調停調書謄本、または審判書謄本を使用し、株式の承継手続きを進めることになります。この際に必要な書類は、以下の通りです。

  • 調停調書謄本、または審判書謄本+確定証明書
  • 調停等により株式を取得する相続人の印鑑登録証明書
  • 証券会社、信託銀行所定の用紙

株式を相続するまでの流れ

 遺産に含まれる株式について必要な手続きは、以下の通りです。

  1. 株式の有無を確認する
  2. 遺産分割協議を行う
  3. 遺産分割協議書を作成する
  4. 株式の名義変更に必要な書類を準備する
  5. 証券会社等で名義変更・解約手続きをする
  6. 相続税の申告・納税

1.株式の有無を確認する

 株式が相続財産に含まれる場合、以下の方法で確認することができます。

1.1.上場株式の確認方法

 遺産に上場株式が含まれる場合、証券会社や信託銀行から「取引残高報告書」または「評価証明書」が送付されているかと思います。これらの書類は、取引が行われている場合には3か月に1度、そうでない場合には年に1度送付されることから、故人の株取引の有無や保有株式の種類等を確認する際のヒントになります。

 相続時の株価を確認するには、証券会社に取引残高証明書を請求することになります。取引残高証明書には、株式の銘柄、数量、相続発生時の時価が記載され、遺産分割協議において重要な資料となります。

 古い株券の場合、証券保管振替機構に照会し、詳細を確認しましょう。

【関連リンク】証券保管振替機構

1.2.非上場株式の確認方法

 2004年の商法改正により、原則、株券の不発行が定められましたが、改正前に設立された会社の場合、株券が残っているケースがあります。この場合、その株券から発行会社に残高証明書を請求する方法をとります。

 会社が株券不発行に移行している場合、株主に対し、株券の回収や定款変更に関する通知が届いているものと思われますので、こちらもあわせて確認しましょう。

1.3.ネット証券の確認方法

 故人のパソコンやスマホの中に、証券会社からのメールや、金融アプリが含まれている場合、ネット証券を利用していた可能性があります。これらのヒントをもとに、当該金融機関に問い合わせを行いましょう。

2.遺産分割協議を行う

 遺産調査の結果を基に、遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、故人の遺産について、誰が、何を、どのくらい承継するかを話し合うことをいいます。この協議期間中は、株式は相続人全員の共有状態ですので、独断で処分することは認められません。

3.遺産分割協議書を作成する

 遺産分割協議の成立後、その結果を「遺産分割協議書」として作成します。株式の分割方法を遺産分割協議書に記載する際は、以下に注意が必要です。

①株式の種類と数量を明確に記載する

株式の種類上場株式、非上場株式、会社名等
株式の数量遺産分割時に相続される株式の数量や割合
株式の評価額評価方法を明記

②株式分割の方法を選択する

現物分割株式そのものをそのまま分割する方法
代償分割株式が分割しづらい場合、現金や他の財産で代償を支払い、相続人が一部の株式を取得し、他の相続人が現金などで補う方法
換価分割株式を売却して得た現金を分割する方法

③株式の評価方法を記載する

 株式の評価方法を記載します。非上場株式の場合、評価方法や第三者評価を明記することを強くお勧めします。

④特定の相続人に株式を分割する方法

 非上場株式や譲渡制限がある場合、株式の譲渡が制限されることがあります。その場合、他の相続人が同意する必要があるほか、株式譲渡に関する条件を明記する必要があります。

 株式を相続した場合、株主名簿に相続人を記載する手続きが必要になるため、その手続きを誰が担当し、また株主名簿の変更のタイミングなどについて記載しておくと良いでしょう。

⑤株式分割に関する取り決め

 株式の管理方法についても記載しましょう。たとえば、他の相続人が一時的に株式の保有を代行する場合、その管理方法や責任の所在を明確にします。また、株式に対する配当金や株主優待がある場合、それらの取り決めについても記載しましょう。

⑥合意内容を確認する

 株式の分割に関し、相続人全員が合意していることを明確にし、遺産分割協議書に署名押印を行います。万が一、合意が得られない場合には、調停等を検討します。

⑦株式の相続税に関する記載

 株式の分割に伴い、相続税が発生する場合、その支払い方法や分担の取り決めについても記載しておくと安心です。

4.株式の名義変更に必要な書類を準備する

 遺産分割協議書を作成したら、株式の名義変更に必要な書類を準備します。

①遺言書がある場合

 遺言書がある場合の株式の承継について、原則、遺言書の内容に従います。このとき、以下の書類が必要です。

  • 遺言書
    👉公正証書遺言書、自筆証書遺言書保管制度を利用していない場合、検認済のもの
  • 故人の死亡を確認できる戸籍謄本等
  • 受遺者となる相続人の戸籍謄本
  • 受遺者となる相続人の印鑑登録証明書
  • 遺言執行者選任審判所謄本
    👉家庭裁判所に選任された遺言執行者が手続きを行う場合
  • 遺言執行者の印鑑登録証明書
  • 👉遺言執行者が手続きを行う場合
  • 証券会社、信託銀行所定の用紙

 印鑑登録証明書は、発行後○か月以内と指定されるケースがほとんどです。そのため、あまり早期に取得しますと再取得の必要があるため、事前に確認しましょう。

【関連記事】相続の基本ステップ:遺産調査から承継手続きまでの流れ

②遺産分割協議書がある場合

 遺産分割協議書がある場合、株式の承継手続きには以下の書類が必要です。

  • 遺産分割協議書
  • 故人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本等
  • 法定相続人全員の戸籍謄本等
    👉法定相続情報一覧図の写しで代替可能
  • 法定相続人全員の印鑑登録証明書
  • 証券会社、信託銀行所定の用紙

【関連記事】遺産分割協議書を自分で作成するための完全ガイド!基本のステップと注意点

②-1.遺産分割協議書はないものの、相続人全員の合意がある場合

 遺産分割協議書はないものの、、相続人全員の合意がある場合、法定相続人全員が署名・押印することで、株主の承継手続きを行うことができます。この場合、必要な書類は、以下の通りです。

  • 故人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本等
  • 法定相続人全員の戸籍謄本等
  • 法定相続人全員の印鑑登録証明書
  • 証券会社、信託銀行所定の用紙

③遺産分割調停・審判による場合

 遺産分割協議が調わず、調停や審判となった場合、調停調書謄本、または審判書謄本を使用し、株式の承継手続きを進めることになります。この際に必要な書類は、以下の通りです。

  • 調停調書謄本、または審判書謄本+確定証明書
  • 調停等により株式を取得する相続人の印鑑登録証明書
  • 証券会社、信託銀行所定の用紙

5.証券会社等で名義変更・解約手続きをする

 上場株式の場合、株式の名義変更は証券会社等を通じて行われます。この際、相続人名義の証券口座が必要なため、口座がない場合には開設手続きが必要です。既に取引先証券会社に口座を保有している場合、その口座を利用し、手続きを進めましょう。

 相続人が株式を売却する場合や、換価分割を選択する場合でも、一度相続人名義に移管しなければなりません。

 各証券会社により必要な書類、手続きが異なりますので、事前に確認しましょう。

6.相続税の申告・納税

 遺産の総額が基礎控除額を上回る場合、相続税の申告・納税が必要です。この場合、相続開始の翌日から10か月以内に行わなければなりませんが、実際にやってみると意外にハードです。自分たちだけでは難しいと感じた場合には、所管の税務署や税理士、相続専門の弁護士等にご相談ください。

 万が一、相続税の申告・納税が遅れた場合や、後に漏れが見つかった場合、以下のペナルティが課せられる可能性があります。

延滞税相続税を納期限までに納めなかった場合に課される
👉最大年率14.6%
無申告加算税相続税に関する申告をしなかった場合に課せられる
申告期限内に申告しなければ、納税者が故意に申告を怠ったと見なされ、追加で課税される
👉税務調査の通知前に申告すると税額の5%、通知後は10~15%
過少申告加算税申告した税額が実際の税額よりも少なかった場合、追加で課せられる
故意に申告を誤魔化したわけではなく、過誤や計算ミスなどによって税額が不足していた場合に適用される
👉税務調査の通知前なら非課税、通知後の場合は税額の10~15%

株式の相続に時効はあるか

 結論から言うと、株式の相続について法律上の期限はありません。しかし、いつまでも個人名義のままにしておくと、株式の管理や配当の受け取りなどを行うことができないことから、早期の対応が望ましいです。

 また、相続税の申告・納税に「相続開始から10か月」という期限が設けられており、この期間に遺産の全容を把握し、適切な対処が求められます。また、故人が生前に行った株式の取引について、亡くなった年の所得について、死亡日から4か月以内に準確定申告を行う必要もあります。

 これらのことから、株式の相続手続き自体には期限や時効はないものの、税金や株式の管理を考えますと、早めの対応が理想だと言えます。

配当金の受取りには期限がある

 株式の相続に時効はありませんが、配当金の受取りには、企業側で期限を設けています。一般的には5年間で、この期間内に請求しなければ受け取る権利が消滅してしまいます。

 こういった点も踏まえ、適切に対応していきましょう。

おわりに

 株式を相続する際は、上場株式と非上場株式で異なる手続きが求められ、評価方法や必要書類も細かく分かれています。早期に適切な手続きを行い、遺産分割や相続税の申告も正しく処理することが重要です。

 この記事で紹介した内容を参考に、株式の相続を円滑に進めるための準備をしましょう。もしご不明な点があれば、税務署や税理士、相続専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

カテゴリー: 相続・相続税


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