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デジタル化が進んだ現代では、故人が残したデジタル遺品の整理が新たな課題となっています。特にSNSアカウントやオンラインサービスの利用は、個人情報や大切な思い出が詰まった重要なデータを含んでいます。これらのデジタル遺品をどう整理し、どのように処分するべきかを理解しておくことは、遺族にとって非常に重要です。
本記事では、FacebookやInstagram、LINE、XなどのSNSアカウントの整理方法や、サブスクリプションサービスの解約手続き、さらには相続対策について詳しく解説します。
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1.Facebookアカウントの有無を確認する方法
Facebookアカウントを探すには、以下の方法を試しましょう。
- Facebook上で故人の氏名等を検索する
- 友人に確認する
- スマホやパソコン内を検索する
1.1.Facebook上で故人の氏名等を検索する
Facebookでは原則、実名登録が前提です。そのため、スマホやパソコンからFacebookにアクセスし、故人の氏名で検索するのが最も一般的な方法だと言えます。
漢字やローマ字、旧姓、ペンネーム等がある場合はあわせて検索すると効果的です。
ただし、同姓同名のアカウントがヒットすることもあり得るため、記載された情報に注意しましょう。
1.2.友人に確認する
故人の氏名で該当しない場合、公開設定が「友達のみ」「友達の友達まで」になっている場合があります。
この場合、故人の友人にFacebookアカウントの有無を確認すると、協力してくれる可能性があります。
1.3.スマホやパソコン内を検索する
故人のパソコンやスマホ等のロックコードが解除できる場合、これらの内部を検索する方法が有効です。故人が利用していたインターネットブラウザのお気に入り(ブックマーク)や閲覧履歴、インストール済のアプリケーション等を確認しましょう。
アカウントがある場合、ほとんどの人は自動ログイン設定を利用しており、オンラインでアクセスするとそのままログインできる可能性があります。
この点、Facebookの利用規約には「遺族による利用は認めない」旨が明記されているため、後述する方法にて訃報連絡をされることをお勧めします。
2.Facebookアカウントの処分方法
故人がFacebookアカウントを持っている場合、以下の方法で処理することになります。
- 追悼アカウントへの移行
- アカウントを削除
いずれの方法もFacebookにログインし、ヘルプセンターにアクセスする必要があります。
具体的には、ヘルプセンターの検索窓に「故人のアカウント」「追悼アカウント」といったワードを入力し、申請ページにアクセスしましょう。
2.1.追悼アカウントへの移行
追悼アカウントとは、Facebookユーザーが亡くなった後、そのアカウントを記念のために維持する機能です。故人の思い出を保存し、友人や家族がその人との思い出を共有できるよう提供されています。
あらかじめ「追悼アカウント管理人」を設定している場合を除き、追悼アカウントに設定した後はア誰もログインできなくなります。しかし、故人が投稿したページは保護されて残ります。
- ヘルプセンター
- 追悼アカウントのリクエストページ
Facebookの追悼アカウントについて、遺族以外の友人でも申請することができますが、遺族等が把握する前に設定すると後にトラブルへと発展するおそれがあります。そのため、移行リクエストの前に遺族等へ確認しましょう。
2.2.アカウントを削除する
Facebookのアカウントは、たとえ遺族でも承継することはできません。しかし、アカウントの削除申請は認められるため、ページを完全に削除したいときには依頼を検討しましょう。
- ヘルプセンター
- 病気やけがなど医学的な理由により行動能力を失った方または亡くなった方のアカウントに関する特別リクエスト
- 「アカウントの所有者が亡くなったためこのアカウントを削除してください」にチェック
この際、死亡診断書等の画像データと、申請者との関係性を証明する書類(戸籍謄本など)が必要です。事前に準備しておきましょう。
ただし、「追悼アカウント管理人」が設定されている場合、遺族でも申請できない点には注意が必要です。
2.3.Facebookアカウントの相続対策
Facebookでは、生前のうちに死亡後に備えられる機能があります。
スマホの場合、アプリのマイページ>Metaアカウントセンター>個人の情報>アカウントの所有権とコントロール>追悼アカウント>自身のアカウントと進み、「アカウントを追悼アカウントにする」または「死後に削除」のいずれかを選択することができます。
追悼アカウントにする場合、Facebook上の友達から「追悼アカウント管理人」を設定でき、設定された友達にはその旨の通知が届き、了承してもらうことで成立となります。
追悼アカウント管理人は、故人のページに新しい記事を投稿することができますが、DMの閲覧や生前に投稿されたコンテンツについては権限をもちません。
Instagram/Threads
3.アカウントの探し方
Instagram、Threadsのアカウントは必ず連携しているため、いずれかを見つけることができれば他方も見つけることができます。調査方法は、以下の通りです。
3.1.InstagramまたはThreadsで故人の氏名等を検索する
Instagram、Threadsの運営会社は、Facebookと同じMetaデータですが、Facebookと比べると実名文化は浸透していません。そのため、氏名等での検索で該当する可能性は低いといえます。
ただし、電話番号にて登録している場合、故人の電話番号から検索することができるほか、Facebookと連携させている場合、Facebookから検索する方法も考えられます。
いずれの場合も、故人が非公開アカウントに設定していると、フォロワーにしか見つけられない点に注意しましょう。
3.2.故人の友人に確認する
故人と親交が深かった友人等にInstagram等のアカウントについて尋ねると、有無が分かる場合があります。
3.3.パソコンやスマホ内を検索する
故人のパソコンやスマホのロックコードを解除できれば、インストールされたアプリや、ブラウザのお気に入り(ブックマーク)、閲覧履歴等から利用の有無を確認することができます。
4.Instagram/Threadsアカウントの処分方法
故人のInstagram、Threadsのアカウントについて、処理方法は以下の通りです。
- 追悼アカウントへの移行
- アカウントの削除
申請方法については、Facebookの場合と同じです。
5.Instagram/Threadsの相続対策
InstagramやThreadsの場合、Facebookのような生前の設定機能は登載されていません。そのため、アカウントIDとログインパスワードを共有しておくと安心です。
生前に共有することに抵抗がある場合、遺言書やエンディングノート、預金通帳等と一緒にメモを保管しておくと発見してもらえる可能性が高まります。
X
6.アカウントの有無を確認する方法
Xにおいて、故人がアカウントを作成していたかどうかを確認するには、以下の方法が考えられます
- Xで故人の氏名等を検索する
- 友人に確認する
- パソコンやスマホ内を検索する
6.1.Xで故人の氏名等を検索する
Xの場合、非公開アカウントでも検索結果としてヒットするため、アカウント名さえ特定できれば検索は比較的容易だといえます。
ただし、匿名利用者が大半を占めており、家族や友人であっても特定が困難な場合や、メインのほかにサブアカウントを抱えている方もいますので、慎重に調査を勧めましょう。
6.2.友人に確認する
生前に親しくしていた人に対し、故人のアカウントの有無を確認すると分かる場合があります。
6.3.パソコンやスマホ内を検索する
故人のパソコンやスマホのロックコードが解除できた場合、ブラウザの閲覧履歴やアプリを開き、IDやパスワードの履歴を探ることができます。
7.Xアカウントの処分方法
Xでは、原則、アカウントを譲渡することが禁止されています。しかし、複数人での運用は認められているため、故人のIDとパスワードが分かれば、故人のアカウントチームの一員として、または個人の代理人としてログインしても問題ありません。
だからといって、故人の意思に反する行いや、生前お世話になったフォロワーへの礼儀を欠く行いは避けましょう。
7.1.どうしてもログインできない場合
XのIDとパスワードがわからない場合、ヘルプセンターを介し、運営にアカウントの停止依頼を行うことができます。しかし、運営元がどれくらいの期間で対応してくれるのかは不透明なため、あまり期待しない方が良いかもしれません。
8.Xの相続対策
Xの相続対策としては、家族や友人にIDとパスワードを共有しておく方法が考えられます。
LINE
9.LINEアカウントの有無を確認する方法
多くの場合、他人とのメッセージのやり取りにLINEが使われているため、敢えて探すケースは少数化と思いますが、以下に確認方法を記載します。
- 故人の電話番号から検索する
- 故人のパソコンやスマホ内を検索する
- 友人に確認する
- 銀行口座やクレジットカードの支払履歴から確認する
9.1.故人の電話番号から検索する
LINE IDは、原則、電話番号と紐づけられていることから、故人の電話番号から検索することができます。ただし、電話番号やIDによる検索や、おともだち申請を拒否する設定にしている場合、おともだち以外のユーザが見つけることは困難です。
9.2.故人のパソコンやスマホ内を検索する
故人のパソコン等のロックコードが解除できる場合、LINEアプリをインストールしている可能性があります。この場合、LINEアプリを起動いて探すのが確実だと思われます。
9.3.友人に確認する
上記の方法で特定できない場合、故人が親しくしていた友人等にアカウントの有無やIDについて確認しましょう。
9.4.銀行口座やクレジットカードの支払履歴から確認する
故人がLINE MUSICやLINEマンガ等の有料コンテンツを利用していた場合、銀行口座やクレジットカードの支払履歴からアカウントの有無を確認することができます。
10.LINEアカウントの処分方法
LINEアカウントは、遺族に承継することができません。また、遺族からの削除申請も受け付けていないため、削除を希望する場合には、ログイン情報を忘れた場合と同じ要領で運営に問い合わせることになります。
LINEアカウントをそのままにしておくと、故人の電話番号を解約した後、新たな電話番号の持ち主がLINE IDを取得した際、故人のアカウントは抹消されることがあります。
アカウントの抹消後でも、トーク履歴等は閲覧することができますが、故人のアカウント名は「unknown」、アイコンに設定していた画像がデフォルトに戻るなど、孤独感を増長することとなり得ます。
こうした事態を防ぐには、生前から電話番号以外の情報を紐づけておくことです。紐づけできる情報として、Apple ID、Googleアカウント、Facebook ID、メールアドレスが考えられますので、適切に設定しておくことをお勧めします。
11.LINEアカウントの相続対策
LINEアカウントの相続対策として、以下が考えられます。
- トーク履歴をバックアップする
- トークルーム単位でテキストのコピーをとる
- 大事なメッセージはスクショする
11.1.トーク履歴をバックアップする
設定>トークのバックアップ>パスワード(PINコード)を設定という流れで、トーク履歴全体のバックアップをとることができます。バックアップの方法は、自動または手動から選ぶことができますので、自分に合った方法を選びましょう。
11.2.トークルーム単位でテキストのコピーをとる
各トークルームの設定>トーク履歴の送信を選ぶことで、当該トークルームのやりとりがテキストデータとして出力できるようになります。出力方法は、メールやメモ等のテキストベースとなり、スタンプや画像等のメディア情報は反映されない点に注意しましょう。
11.3.大事なメッセージはスクショする
最もオーソドックスなのは、残したいトーク画面をスクリーンショットとして撮影する方法があります。この場合、画像を共有できなければ意味がないため、スマホやパソコン等の相続対策を参照し、適切に管理しておくと安心です。
【参考記事】デジタル遺品の相続ガイド:スマホ、パソコン取り扱い方法
ブログ、ホームページ
12.運営サイトの確認方法
故人がブログやホームページ等を運営していた場合、レンタルサーバーやアフィリエイト利用などを通し、お金のやり取りが発生しているケースがあります。この場合、銀行口座やクレジットカードの利用履歴からわかることが多いので、まずはこれらを確認しましょう。
13.運営サイトの処分方法
運営サイトの中には、遺族による承継を認めるところと、そうでないところが存在します。
一見、どれも同じようなサービスに見えますが、運営元により利用規約は異なることから、都度規約やFAQを確認しながら進めることになります。
14.運営サイトの相続対策
運営サイトがある場合、ログイン情報のほか、承継の有無について確認しておくと安心です。
ご自身でレンタルサーバーを利用している場合、名義を変え、遺族が承継することができるサイトもありますが、そうでないところも存在します。繰り返しになりますが、似たようなサービスでも運営元により取り扱いは異なりますので、都度確認しながら手続きを勧めましょう。
サブスクなどの有料サービス
15.通信契約について
通信通話契約について、原則、1回線に1契約です。たとえば、スマホ等の場合は、1つの電話番号について1つの契約が結ばれていると考えていただければと思います。
しかし、スマホの中にはデュアルSIM(DS)というタイプがあります。デュアルSIMとは、1台のスマートフォンで2つのSIMカードを使える機能のことを指します。これにより、1つのスマートフォンで2つの異なる電話番号や通信プランを利用できることから、解除または承継を検討すべき契約が2つある点に注意してください。
16.モバイル契約の処分方法
故人のスマホ等について、通信通話契約の解除、または名義変更を行うには、通信キャリアのサポートセンターに問い合わせる必要があります。この際、以下の書類が必要です。
1 | 契約対象となっているモノ | スマホ本体やSIMカード、契約書類など 👉eSIMの場合、スマホ本体のみで○ |
2 | 契約者(故人)の死亡確認書類 | 死亡診断書または検案書、住民票の除票など |
3 | 申請者の本人確認書類 | マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など |
原則、必要な手続きや書類は利用するキャリアに従うことになるため、事前に確認しましょう。
16.1.固定回線の場合
契約しているインターネットサービスプロバイダ(ISP)、または回線事業者に連絡し、必要な手続きを案内してもらいましょう。名義変更に対応してもらえるケースがほとんどですので、引き続き利用する場合、その旨をお伝えください。
17.通信契約の相続対策
一般的に、通信契約等は名義変更に対応してもらえるケースがほとんどですが、中には、承継条件に二親等、または三親等までと記載されている場合もあります。こういった規約には目を通し、必要に応じ、対策を講じましょう。
サブスク
18.定額課金サービス利用の有無を確認する方法
サブスクをはじめとする定額課金サービスについて、月、または年ごとに利用料金を支払うことになります。そのため、利用料は定期的に発生し、故人の預金口座やクレジットカードの利用履歴から辿ることができます。
ただし、支払い代行サービスが仲介する場合、サービス単位で見つけるのが難しいケースもあります。
この場合、Apple IDやGoogleアカウントに紐づいているサブスク契約を確認するほか、通信キャリアのコンテンツパックの詳細より課金契約を探しましょう。
iPhone | 設定>ユーザー名>サブスクリプション 👉iCloudの課金は、「iCloud」よりプランの確認・変更を! |
Android | Google Playストア>設定>お支払いと定期購入>定期購入 |
19.定額課金サービスの処分方法
サブスクサービス等の解約について、以下の方法が考えられます。
- 契約ごとに解約手続きを行う
- クレジットカード、預金口座を凍結する
19.1.契約ごとに解約手続きを行う
サブスク等の解約は、サービスを契約した窓口で行います。たとえば、App Storeを経由してスマホゲームの課金アプリをインストールしている場合、ゲームの提供元ではなくApp Storeにて行う必要があります。
一方、Microsoftアカウントのように、クレジットカードを停止すると契約終了となるケースもごく稀に見受けられます、そのため、各契約の内容を確認しながら進めましょう。
19.2.クレジットカード、預金口座を停止する
原則、所定の手続きが完了すれば解約となりますが、念のため、クレジットカードや預金口座は停止しておくと安心です。
20.サブスク等、定額課金サービスの相続対策
サブスク等の定額サービスについて、自分が亡くなった後に解約して構わないモノと、継続利用前提のモノとに分けられます。前者の場合、契約窓口が分かれば問題ないケースがほとんどですが、後者の場合、解約してしまうと取り返しがつかないこともあります。
特に、レンタルサーバ等のデータ保存が可能なサービスの場合、バックアップを取る前に解約すると二度と復元することができないモノもあります。そのため、必要なモノは生前から共有しておくことが大切です。
おわりに
デジタル遺品の整理は、故人の意志を尊重しながらも、遺族が無理なく適切に進められるように配慮が必要です。SNSやサブスクリプションサービスなど、現代の生活に欠かせないデジタル資産についてもしっかりと対策を取ることが大切です。
今回ご紹介した方法を参考にして、遺族の負担を減らし、安心して故人を偲ぶ時間を持てるようにしましょう。