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はじめに
近年、若者や一人暮らしを始めたばかりの人たちの間で、シェアハウスという選択肢が注目されています。シェアハウスは、一人暮らしに比べて金銭的な負担が軽いだけでなく、新しいコミュニティを形成できる住居形態です。しかし、シェアハウスに住んだことがない場合、選び方や生活上の注意点など不安な点は多いかと思います。
この記事では、シェアハウスの基本から選び方、実際に住む際のポイントについて詳しく解説します。
シェアハウスとは？
シェアハウスとは、複数の入居者が各自の個室を持ちながら、キッチン、リビング、バスルームなどのスペースを共有する住居形態をいいます。
一般社団法人日本シェアハウス連盟の調査によると、令和5年（2023年）5月末時点における全国のシェアハウス物件数は5,808棟で、前年比201棟増となりました。 令和2年（2020年）の調査では5,104棟と報告されていることから、年々増加傾向にあることがわかります（出典：「シェアハウス市場調査2023年度版」一般社団法人日本シェアハウス連盟より）
シェアハウスの増加背景
シェアハウスが増加している背景は、以下の通りです。
- 若年層の価値観の変化と経済的要因
- 高齢者向けシェアハウスの増加
- 独身女性の住宅ニーズ
- 異世代ホームシェアへの注目度上昇
シェアハウスのメリット
シェアハウスのメリットは、以下の通りです。
| 1 | 費用面 | 一人暮らしと比較し、家賃が安くなる可能性が高い |
| 光熱費、通信費など共用部分のコストが分担される | ||
| 2 | 生活面 | 他の住人と交流できる |
| 新たな人脈やネットワーク作り | ||
| 個室がありつつ孤立しない |
1. 費用面のメリット
一人暮らしと比較し、家賃が安くなる可能性が高い
シェアハウスでは、戸建てやマンションの一室を複数人でシェアすることから、家賃が低く設定されるのが一般的です。そのため、都心部などの高額エリアでも、個室に住みながら家賃が抑えられる点が魅力です。
光熱費や通信費など共用部分のコストが分担される
シェハウスでかかる光熱費や通信費など、共用部分の費用は住人の頭数で当分されるため、個別契約と比べると費用が抑えられます。また、インターネットはシェアハウス内で全員が利用することから、特に安く利用できる場合が多いです。
2. 生活面
他の住人と交流できる
シェアハウスの場合、同じ居宅内で生活する他の住人とほぼ毎日顔を合わせ、必要に応じて共同作業を行うこともあります。こうしたきっかけから距離が縮まり、仲良くなれることもあります。特に、地方から上京して間もない人にとっては、孤独感を抱きづらいことからメリットだといえます。
新たな人脈やネットワーク作り
シェアハウスには、多様なバッググラウンドを持つ住人が集まることから、自然とネットワークが広がります。国内に限らず、海外から来た人との交流を通し、異文化に触れたり、語学力を高められる機会に恵まれることもあります。さらに、仕事や趣味に共通点を見つけられると、将来的なチャンスが広がる可能性もあります。
個室がありつつも孤立しない
ほとんどのシェアハウスでは、各住人に個室を提供しています。これにより、住人は自室を持ちながら共用スペースで交流することができます。プライバシーと交流のバランスを取ることができるため、特に孤独を感じやすい人にとっては、理想的な住居形態といえます。
シェアハウスのデメリット
シェアハウスのデメリットとして、以下が考えられます。
| 1 | プライバシー | 共用部分ではある程度の制約を受ける |
| 住人同士で摩擦が起きる可能性がある | ||
| 2 | 生活リズム | 他の住人とのズレ |
| 3 | 金銭面 | 短期契約における価格変動や追加料金の発生 |
1. プライバシー
共用部分ではある程度の制約を受ける
シェアハウスでは、キッチン、リビング、バスルームなどのスペースを他の住人と共有するため、プライバシーの完全保護は困難です。このため、自分だけの時間を確保したい場合であっても、他の住人の生活音や会話、動作に気を遣う必要があります。また、共用スペースの混雑時や、住人が長時間使用している場合、スペースの利用に制約が生じる可能性があります。
住人同士で摩擦が起きる可能性がある
シェアハウスには、性格や考え方、生活習慣が異なる人たちが一緒に暮らすため、摩擦が生じる可能性があります。たとえば、騒音、共用スペースの使い方、清掃の不満などが原因でトラブルに発展するおそれがあります。この場合、住人同士での対話やマナー遵守が求められるのですが、円滑なコミュニケーションが取れなければ、精神的なストレスが大きくなることも。
2. 生活リズム
他の住人とのズレ（騒音や食事時間など）
シェアハウスにおいて、住人同士が異なるリズムで生活しているため、リビングやキッチンを自分のタイミングで使用できない場合があります。また、仕事や睡眠時間が異なると、不快感を感じるおそれがあり、他の住人と事前にルールを確認し、必要に応じ調整する姿勢が大切です。
3. 家賃や共益費の不安
短期間の契約における価格変動や追加料金の発生
シェアハウスの契約期間は短期間なため、契約開始時と終了時との間に家賃や共益費が変更されることがあります。そのため、はじめに提示された家賃は安くても、更新の際には値上がりしたり、共益費が高くなるおそれがあるほか、退去時の原状回復費や手数料について、追加料金が生じることも考えられます。
こうしたリスクを回避するには、契約前に費用や条件を細かく確認しておくと安心です。
シェアハウス選びのポイント
シェアハウスを選ぶ際は、以下のポイントを押さえましょう。
| 1 | 立地と周辺環境 | 交通のアクセス、生活の利便性 |
| 周囲の治安 | ||
| 2 | 設備と共用スペース | キッチン、バスルームなど施設の充実度 |
| 清掃や管理体制の確認 | ||
| 3 | 住人との相性 | 規則やルールの確認 |
| 住人の年齢層とライフスタイル |
1. 立地と周辺環境
交通のアクセス、生活の利便性
物件選びにおいて、立地は最も重要です。交通アクセスが良い場所の場合、通勤通学が楽になります。駅が近い、またはバス停が近いシェアハウスだと非常に便利です。特に都心部の場合、徒歩圏内にスーパー、コンビニ、飲食店などが多いエリアのほうが生活は楽になります。
また、公共交通機関を利用する場合、主要駅や乗り換えが少ない駅だとより便利です。
周囲の治安
シェアハウスを選ぶ際、周辺の環境や治安を確認することをお勧めします。治安が悪いエリアでは、生活していく上で不安を抱くこともあるでしょう。また、警察署や交番が近くにあるか、夜間の明るさや人通りはどうかなど、しっかりとした調査が必要です。具体的な治安の調査方法は、下記を参考にしてください。
- 地域別の犯罪統計データを確認（参考：犯罪統計｜警察庁Webサイト）
- 犯罪発生マップの活用（参考：犯罪発生マップ｜ぼうはん日本）
- 自治体の治安に関する取り組みを確認
- 地域の掲示板や口コミサイトを調べる
- 現地を訪れる
2. 設備と共用スペース
キッチン、バスルームなどの施設の充実度
シェアハウスにおいて、キッチン、バスルーム、トイレなどの水回りは、住み心地に大きく影響します。日常的に料理をする人にとって、キッチンはとても重要です。コンロやオーブン、冷蔵庫のサイズ、シンクの数やスペースの広さなど、事前に現地で確認しましょう。
共用のバスルームやトイレの数が少ない場合、朝晩に混み合い、使用を待たなければなりません。住人が多いほど、こうした設備が十分に備わっているか、時間帯に限らず快適に使用できるか確認しておくと安心です。
清掃や管理体制の確認
シェアハウスにおいて、共用部分の清掃や管理体制は非常に大切です。複数人でシェアするため、清潔に保たれているのが理想的です。
清掃について、管理者が定期的に行うところもあれば、住人間の当番制を採用しているところもあります。後者の場合、住人同士の協力が必要なことから、しっかりと管理体制が整っているところを選ぶのが望ましいです。
3. 住人との相性
規則やルール（禁煙、騒音制限など）の確認
住人との相性は、実際に居住しなければわかりづらい部分です。各シェアハウスには、共用部分に関するルールがあり、これを遵守するのが基本です。たとえば、喫煙の可否、騒音防止策、共用スペースでの食事、掃除のルールなどを確認しましょう。
住人の年齢層やライフスタイル
住人の年齢層やライフスタイルについても、シェアハウス選びの際に大切です。たとえば、若年層の多いところもあれば、中高齢の多い家庭的な雰囲気のところ、異国籍の人が集まっているところもあります。自分と同じ、または似ているライフスタイルの人たちが多いところを選ぶと、より快適に暮らせるのではないでしょうか。
5. 初めてのシェアハウス、住む前の注意点
契約の確認
シェアハウスを決め、契約する際には、以下をきちんと確認しましょう。
| 1 | 家賃の支払い方法、期日 | 通常、家賃は月払いだが、契約時に前払いを求められることがある 月々の支払方法をきちんと把握するだけでなく、万が一遅れた場合の対応についても確認しておくと〇 |
| 2 | 退去に関する事項 | 退去の際に必要な手続きと期限、原状回復の範囲と費用について確認 |
| 3 | 契約期間と更新の条件 | 一般的に、半年～1年程度の契約期間を設けるところが多いため、期間満了後の更新手続き、更新時の条件について確認 |
| 4 | 敷金や保証金 | 敷金や保証金を求められることがあるため、金額と使途、返金の条件を確認 |
トラブルの予防と対策
シェアハウスでの生活は、他の住人との距離が近く、交流が密なことから、トラブル回避のためにしっかりとしたコミュニケーションが求められます。以下のポイントをおさえましょう。
| 1 | 清掃ルール | 共用スペースを清潔に保つため、清掃ルールを守り、他の住人が快適に使えるよう心掛ける 清掃だけでなく、掃除用具や消耗品についても事前に確認し、協力すること |
| 2 | 騒音防止 | 早朝や夜間の音に注意 特に、テレビや音楽の音量、会話などに配慮し、共用スペースでも音を立てないように注意 |
| 3 | プライバシーの尊重 | 共用スペースにおいて、他の住人のプライバシーを尊重すること |
| 4 | ルールの順守 | 住人同士のトラブルを回避するには、規則やルールの順守が大前提 不明点や不安な点がある場合、管理者に確認・協議すること |
引越し
シェアハウスの場合、原則、個室以外には私物を置かないよう配慮が必要です。
| 1 | 必要なものだけ持ち込む | 個室のスペースは限られており、大きな家財道具は入らない可能性がある すでに設置されている家具があることも多いため、それらに合わせ、必要最低限の荷物だけを持ち込むこと |
| 2 | 共用スペースの使い方 | 共用スペースにあるものを使う場合、きちんと元に戻すこと 冷蔵庫や棚などを使う際は、他人と共用であることを意識し、きちんと管理 |
| 3 | 私物は常に整理する | 私物は個室に収納すること 共用スペースに置くことを避け、他の住人のスペースを占領しない |
おわりに
シェアハウスは、ただの住まいにとどまらず、他人と生活することで新たな交流を楽しめる場所でもあります。そのため、入居前に契約内容や生活ルールを確認し、入居後は他の住人に配慮しましょう。
自分に合ったシェアハウスを見つけ、共用スペースを活かし、心地よい生活を送りましょう。快適で充実した新生活のために、この記事で紹介したポイントを役立てていただければ幸いです。
シェアハウスに関するFAQ
Q1: シェアハウスとは何ですか？
A1: シェアハウスとは、個室を持ちながら、リビング、キッチン、バスルームなどを他の住人とシェアする住居のことです。
Q2: シェアハウスにはどんな人が住んでいますか？
A2: こんな人！と断言することができぬほど、色々な人が住んでいます。学生、社会人、海外から来た人、一人暮らしを始めたばかりの人などが多いですが、最近では中高齢者向けのシェアハウスも増えています。シェアハウスごとに住人の年齢層やライフスタイルが異なりますので、あなたに合ったところを選べるといいですね。
Q3: シェアハウスに住むメリットは何ですか？
A3: シェアハウスに住むメリットは、家賃を抑えつつ、他の住人と交流できる点です。一人だと負担が大きな都心部でも、シェアハウスなら手が届くこともあります。また、他人と同じ住居に暮らすことで孤独感を抱きづらい点もメリットだと思います。
Q4: シェアハウスに住むデメリットはありますか？
A4: シェアハウスに住むデメリットは、色々な部分で制約を受ける点だと思います。同じ建物内で暮らす分、アパート等より騒音が気になる場合もあります。他の住人と良好な関係を築くためには、ルールを守り、配慮する必要があります。
Q5: シェアハウスを選ぶ際に重要なポイントは何ですか？
A5: シェアハウスを選ぶ際は、立地、設備、家賃、契約内容のほか、住人の年齢層やライフスタイルの確認をお勧めします。
Q6: シェアハウスの契約に必要なものは何ですか？
A6: シェアハウスの契約には、身分証明書（運転免許証やパスポートなど）、保証金（家賃の1か月～2か月分）、収入証明書などが必要になると思われます。必要なものはシェアハウスごとに異なりますので、事前に確認しましょう。
契約時には、契約期間、家賃、共益費、更新の有無、退去時の条件なども確認する必要があります。
Q7: 退去時に必要な手続きは何ですか？
A7: 通常、退去時には、退去を希望する日から1か月～3か月程度前までに所定の書類を提出する必要があります。また、使用した個室の原状回復に関し、追加費用が発生する場合があります。
そのため、契約の前に退去に関する規定と、敷金や保証金の返還条件等をよく確認しましょう。
Q8: シェアハウス内のルールは？
A8: シェアハウス内のルールは、各シェアハウスにより異なりますが、共用部分の使用や、他の住人との間でトラブルが発生しないよう規制する内容を含むのが一般的です。このほか、喫煙の可否、ペットに関するルールなどが設けられているところも多いため、入居前に必ずルールを確認しましょう。
Q9: シェアハウスは向いているのはどんな人ですか？
A9: シェアハウスに向いているのは、人と交流するのが好きな人や、金銭的な負担軽減を望む人です。利用者の中には、単身赴任や海外から来たばかりの人などもいます。
Q10: シェアハウスに興味はあるものの、生活に不安があります
A10: シェアハウスに興味があるのに、生活に不安を感じていることはとても自然なことだと思います。
不安を軽減する方法として、紙に書き出すのがお勧めです。自分が何に不安を感じているのかが分かれば、あとは解決に向け、管理者やオーナーに質問・相談を繰り返し、疑問点を一つずつ解消していきましょう。また、実際に現地を訪れ、住人の様子や周囲の環境を把握しておくとより安心できるかと思います。
