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Contents
1. はじめに
1-1. 何故、遺言書を作成するのか
遺言書は、あなたが亡くなった後に「自分の意思」を明確に伝える最も確実な方法です。法的に有効な遺言書を作成することで、遺産の分け方や相続人を指定する際に、トラブルを防ぐことができます。遺言書がない場合、法律に基づいて相続手続きを進めることになりますが、結果的に、あなたの希望と異なる形で分割されることもあります。遺言書は、このようなリスクを回避するために非常に有効だといえます。
1-2. 予期せぬ事態に備えて、自分の意思を明確に伝える重要性
予期せぬ怪我や病気、事故により突然の死を迎えることがあります。このような予期せぬ事態に備え、遺言書を作成しておくと、自分が生きている間に決めておいた事を、後の世代に伝えることができます。たとえば、親が亡くなる前にきちんと遺言書を作成しておけば、後の相続に関する誤解や争いを未然に防ぐことができます。遺言書があれば、誰がどの財産を受け継ぐのか、どのように分けるのかが明確になります。
1-3. 遺産相続のトラブル回避や円滑な手続きを支援する役割
遺言書は、遺産相続のトラブルを回避するために非常に重要な役割を果たします。遺言書がない場合、相続人間で争いが生じることがあります。例えば、誰がどの財産を受け取るか、遺産をどのように分けるのかで意見が分かれることがあります。しかし、遺言書があれば、このようなトラブルを避けることができ、遺産分割がスムーズに進みます。また、遺言書を作成することで、遺産の分割方法に納得がいかない相続人が出た場合でも、その意思は法的な後押しを受けることとなり、相続手続きが進みやすくなります。
2. 遺言書作成の基本知識
2-1. 自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が全文を自の手で書いて作成する遺言書です。
特徴
- 手書きする必要がある
遺言者が自分で書く必要があり、パソコンやワープロ、代筆は認められません。 - 署名と日付を記載
遺言書には、遺言者の署名と日付、押印が必要です。
メリット
- 作成が簡単
特別な手続きをとる必要がなく、紙とペンがあればすぐに作成できます。 - 費用がかからない
他の作成方法と比べ、費用がほとんどかかりません。
デメリット
- 法的効力に不安がある
遺言書に誤字や不明確な表現がある場合、無効となるリスクがあります。 - 紛失や改ざんのリスク
選ぶ保管方法により、紛失や改ざんのおそれがあります。 - 証人が必要ないが、証拠が不足する場合がある
遺言者の意思を証明できる証人がなく、後にトラブルに発展する可能性があります。
2-2. 公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人が関与し、公証人役場で作成する遺言書です。
特徴
- 公証人が作成
遺言書は、公証人が遺言者の意思を確認したうえで作成します。 - 証人が2人必要
公証人のほか、証人2名が立ち会い、遺言書が適法に作成されことを確認します。
メリット
- 法的効力が高い
他の方法と比べ、最も信頼性が高く、相続における争い防止につながります。 - 紛失や改ざんのリスクが低い
作成した遺言書の原本は公証役場で管理・保管され、紛失や改ざんのリスクが低いです。 - 明確な内容
作成に公証人が関与することで適法性を確保することができ、不明瞭な表現を避けることができます。
デメリット:
- 手続きが煩雑
他の作成方法と比較し、手間と時間を要します。 - 費用がかかる
遺言書の作成に必要な書類の取得費や、公証人に支払う手数料がかかります。
2-3. 秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、自信で作成した遺言書の内容を秘密にしたまま、公証人が遺言書を封印する方法です。
特徴
- 内容は秘密
遺言書の内容を誰にも明かさず、封印された状態で保管されます。 - 証人が立ち会い
遺言書の封印には、公証人のほかに証人2名が立ち会います。
メリット
- 内容を秘密にできる
遺言者が内容を他人に知られることなく、遺言書を作成・保管することができます。 - 公証人が確認するので法的効力が高い
内容についての秘密は守られますが、手続き自体に公証人が関与するため、自筆証書遺言書に比べると法的な効力は高いと言えます。
デメリット
- 手続きが複雑
事前に遺言書が作成、封印した後、公証人と証人が立ち会う必要があるため、一定の手間がかかります。 - 内容の確認ができない
公証人は関与するものの、遺言書の内容は明かされないため、内容に不備があった場合、後に問題が生じる可能性があります。
遺言書が備えるべき形式要件
法的に有効な遺言書を作成するには、次の要件を満たす必要があります。
(1)署名と日付
署名
遺言者が署名する必要があります。万が一、他者が代筆してしまうと無効となる可能性があります。
日付
遺言書には、作成年月日を記載する必要があります。なぜなら、作成年月日の記載がなければ、その遺言書がいつから存在したのかを判断することができないからです。
(2)証人
遺言書の作成で求められる証人とは、遺言書の内容を確認し、後にその正当性を証言する役割を持つ人を指します。証人が不正に関与していないことを確認するために、遺言書の内容とは無関係な第三者から選ぶことになります。
(3)遺言書の内容が明確であること
不明確な表現は無効の可能性
遺産の分割方法や、相続人について不明確な表現がある場合、その遺言書は無効となるおそれがあります。曖昧な表現は避け、具体的に記載しましょう。
これらの要件を満たすことが、遺言書を作成する際の基本的な条件です。
3. 自筆証書遺言の作成方法
3-1. 自筆証書遺言の基本的な書き方
手書きで書くべき項目とその注意点
自筆証書遺言は、全文を遺言者が手で書く必要があります。具体的には、以下を記載します。
遺言者の氏名
遺言書には、遺言者の氏名を記載しなければなりません。このとき、氏名を省略したり誤ることなく、正確に書く必要があります。
例えば、「榊原 沙奈」はOKですが、「榊原」「沙奈」のように、氏と名前のどちらかだけを記載したり、「S.S」とイニシャルで表記するのは避けましょう。
遺言書を作成する年月日
原則、日付には「年月日」を手書きします。作成日の記載がない場合、遺言書が無効となることがありますので、注意しましょう。
遺言書の内容
遺言書には、遺産の内容、分割方法と分割割合、各財産の受取人を具体的に記載します。誰が、何を、どれくらいの割合で受け取るのかを明確にし、曖昧な表現は避けます。
相続人の氏名
相続人である、配偶者、子または孫、両親または祖父母、兄弟姉妹には「相続させる」で問題ありませんが、これ以外の親族や友人、特定の法人等に遺産を渡す場合には、「遺贈する」と記載します。また、いずれの場合も、誰が見ても相手を特定できるだけの情報を記載しましょう。
具体的には、住所または居所、氏名または名称、自分からみた続柄などです。
遺言執行者の指定
遺言執行者とは、遺言内容を実現する人を指します。遺言執行者は単独で遺言内容を実行する権限を持ち、原則、相続人等がこれを妨げることはできません。
署名・押印の重要性
署名
遺言書には、必ず遺言者本人の氏名を記載する必要があります。代筆では無効となるため、自分の手で署名しましょう。
注意点
自筆証書遺言の場合、氏名の署名が必要です。名前は省略せず、戸籍の記載と同一の氏名を正確に記載しましょう。
押印
遺言書には、遺言者の実印を押印することが望ましいですが、認印でも構いません。
3-2. 記載例
自筆証書遺言の具体的な書き方を以下に示します。これを参考にし、実際の遺言書作成に役立ててください。
例1:基本的な自筆証書遺言
遺言者、佐藤健一(昭和50年10月10日生、東京都千代田区1-2-3)は、以下の通り遺言します。
私が所有する不動産の分割について
私が所有する東京都渋谷区渋谷1丁目の土地(面積200㎡)およびその上に建てられている家屋(建物面積150㎡)は、長男の佐藤太郎(平成10年3月5日生)に譲ります。
また、同じく渋谷区の私が所有するマンション(マンション名:「シティハイツ渋谷」、住所:東京都渋谷区渋谷2丁目5-10、部屋番号305号室)は、次男の佐藤二郎(平成13年8月20日生)に譲ります。
私の預金の分割について
私が所有する全預金口座(銀行名:三菱UFJ銀行、口座番号:123-4567890)の残高は、以下の割合で分けます。
長男、佐藤太郎:50%
次男、佐藤二郎:30%
長女、佐藤三子(平成15年7月30日生):20%
私の株式の分割について
私が所有する全ての株式(株式名:ABC株式会社、株数:100株)は、長男、佐藤太郎に譲るものとします。
遺言執行者の指定について
この遺言書を実行する遺言執行者として、弁護士である山田恵一(昭和45年12月12日生、東京都新宿区西新宿2丁目1-1)を指名します。山田恵一は私の遺産分割および各相続手続きを執行する権限を有するものとします。
日付:令和7年3月25日
署名:佐藤健一(署名)
実印:押印
解説とポイント
財産の具体的記載
不動産の所在地や面積、マンションの部屋番号、銀行口座番号、株式名と株数など、具体的な情報を記載します。これにより、相続人間で誤解を生むことなく、明確な遺産分割が可能となります。
相続人の明確な指定
相続人に「長男」「次男」「長女」という続柄、氏名、生年月日により明確に指定し、それぞれが受け取る財産について、具体的に記載しています。これにより、各相続人が受け取る遺産が明確になり、争いを避けることができます。
遺言執行者の指定
遺言執行者に弁護士を指名し、その役割を明確にしています。遺言執行者は、遺産分割の手続きや相続手続きを円滑に進めるために非常に重要な役割を担います。
作成年月日と署名の重要性
遺言書には、日付と署名を手書きで記入し、押印します。
注意すべきポイント
遺産の分割方法
遺産の分割方法を記載する際は、誰が、どの財産をどのくらい受け取るかを明確にします。例えば、不動産や現金の場合、受け取る割合を具体的に示す必要があります。
遺言執行者の指定
遺言書により、遺言執行者を指定しておくと、あなたの遺言に基づく手続きを確実かつ円滑に実行してもらうことができます。執行者に特別な資格はいりませんが、未成年者や制限行為能力者などは不適格となる点に注意し、弁護士や行政書士などの専門家、または信頼できる相手人を選びましょう。
証人の署名について
自筆証書遺言の作成に際し、証人や第三者の承認等は必要ない反面、相続開始後に内容等を証明する手続きが必要です。相続人となる遺族の負担を軽減したい、または確実に遂行してほしい内容を含む場合には、公正証書遺言にすることをお勧めします。
4. 遺言書作成時の注意点
4-1. 不明確な表現の回避
遺言書の内容が曖昧だと、相続人や遺言執行者が解釈に困り、トラブルに発展するおそれがあります。以下のような表現は避けましょう。
例1:不明確な表現
財産はすべて、長男に渡す。
この記載だけですと、財産の具体的な内容がわからず、相続人や遺言執行者が困ってしまいます。
改善方法
私が所有する不動産(東京都○○区○○町の土地と建物)を長男、山田一郎に相続させる。
このように、財産と相続人の情報を具体的に明記すると、やるべきことが明確になり、相続人同士のトラブルを防ぐことができますし、何より遺族が迷わないので助かりますよね。
4-2. 法律に反しないこと
遺言書の内容に関し、法的な無効原因にはいくつか典型的なパターンがあります。無効にならないように、以下のポイントに注意を払いましょう。
a. 相続分に関する法律違反
一部またはすべての相続人に対し、十分な取り分が与えられていない場合
法定相続人には、「遺留分」という権利があります。遺留分とは、相続人が最低限受け取ることができる遺産の受け取り分を指します。例えば、配偶者や子には一定の権利(遺留分)があり、これを無視した取り決めは、いくら遺言書に記載しても無効として扱われることになります。
例1:遺留分の侵害
私の財産すべてを妻に相続させ、子には一切渡さない。
お気持ちはわかりますが、このままですと違法である可能性が高いです。
お子さんには遺留分がありますので、トラブル回避のためにも遺留分だけでも相続させる内容にしておくと安心です。
改善方法
私の財産は、妻に半分を、残りの半分を子どもたちに等分して渡す。
今度は素晴らしいですね👏
法定相続分を尊重し、遺留分を守る遺言書に仕上がりました。
4-3. 特に注意が必要な項目
a. 特定の財産の取り決め
例1:不動産の指定
遺言書で、相続人に特定の不動産を渡すには、詳細な不動産情報を記載する必要があります。例えば、土地や建物の住所(地番)と面積(地積)、所有者の氏名、構造など、不動産登記簿謄本に記載されている通りしっかり明記しましょう。
改善方法
私の所有する不動産(東京都○○区○○町、土地の面積○㎡、建物の構造など)は、長男 山田一郎に相続させる。
b. 相続人が複数いる場合の分割方法
例1:不明確な相続割合
私の財産は、子どもたちに分けさせる。
お子さん思いの素敵なお父様ですね✨
ただ、この表現だけではお子さんや遺言執行者に「だれが、どの財産を、どのくらいの割合で受け取るか」が伝わらないので、このあたりを具体的に考え、記載してみましょ!
改善方法
私の預金口座(○○銀行■■支店 普通 0123456)の残高のうち、長男 山田太郎に3分の2、次男 山田次郎に3分の1を渡す。
はじめよりもっと素敵になりましたね👏✨
これなら相続する人が、どの財産を、どのくらい割合で受け取るのか、で迷うことがなく、トラブル回避!スムーズな手続きができるでしょう。
c. 特定の条件を付けた場合の注意
例1:相続に条件をつける
次男 山田次郎は、大学を卒業した後に遺産を受け取ることができる。
無事に大学を卒業してほしい親心ですね🥲
この場合は、つける条件が法律に違反していないか、相続人にとって厳しすぎる内容となっていないかを確認し、注意する必要があります。
改善方法
遺言に条件を付ける場合には慎重に検討し、当該相続人がその条件を実行できるかを考慮する必要があります。
一般社会から見て、相当厳しくなければ問題とならないでしょうが、確実に有効な遺言書をご希望されるなら、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。
5. 遺言書の保管方法
5-1. 遺言書の保管方法
遺言書は、安全かつ確実に保管する必要があります。一般的な保管方法は、以下の通りです。
a. 自宅保管
自宅で保管する場合、遺言書が紛失や破損しないように注意が必要です。次の点を考慮しましょう。
安全な場所に保管
遺言書には、家族や友人が相手でも知られたくない内容を含んでいることもあるかと思いますので、鍵のかかる引き出しや金庫への保管が理想的です。
記録を残す
信頼できる人に対し、遺言書の存在と保管場所を知らせましょう。加えて、遺言書が発見された際の連絡先を指定しておき、万が一遺言書が発見されなかった場合でも、あなたの死亡を知ったその人により遺言書が適切に扱われるよう手配しておくと安心です。
b. 公証役場での保管
公証役場で遺言書を作成する場合、遺言書の原本は公証役場にて保管されます。そのため、遺言内容が安全かつ適切に保管されるだけでなく、紛失や偽造のリスクを軽減することができます。
公証役場での保管
公正証書遺言を作成する場合、遺言書の原本は公証役場に保管され、全国どこにお住いの相続人でも、公証役場に問い合わせることで遺言書の存在を知ることができます。
c. 自筆証書遺言書保管制度
自筆証書遺言書保管制度とは、自分で作成した自筆証書遺言書を法務局で預かってもらう制度です。
画像データとしての保管
預けた自筆証書遺言は、原本と画像データとで保管され、相続人は全国どこからでも遺言内容を閲覧することができます。公正証書の場合、原本を保管する公証役場とやり取りしなくてはなりませんが、こうした手間が省ける点はメリットだといえます。
相続人への通知
遺言者の死後、相続人が複数いる場合、そのうち1人でも法務局に問い合わせると自動で他の相続人に遺言内容が通知されます。これにより、一部の相続人だけが死亡の事実や、遺言内容を知らなかったといった事態を回避することができます。
d. 信託銀行の活用法
信託銀行では、遺言書保管サービスを提供しているところがあります。法務局ではなく、こうしたサービスの利用も一つの方法です。信託銀行に預ける場合、以下のメリットが考えられます。
第三者機関による保管
銀行が遺言書を保管してくれるため、遺言書の紛失や汚損、偽造などの心配がありません。
法的効力
信託銀行が提供するサービスの場合、併せて信託契約を結ぶこともあります。これにより、遺言執行に関するサポートを受けることができ、遺言内容をスムーズに執行してもらえる可能性があります。
5-2. 遺言書が発見されないリスクの回避方法
遺言書を用意しても、相続人をはじめ、誰にも遺言書を発見しれもらえなければ、手続きに遺言内容が反映されず、結局、法に従って手続きが行われることになりかねません。このリスクを回避するには、以下の方法を検討する必要があります。
a. 遺言書の場所を信頼できる人物に伝えておく
遺言書を作成したこと、保管している場所について、信頼できる家族や友人、弁護士等の専門家に伝えておくと、「発見されない」リスクを最小化することができます。これらを伝える際は、具体的な場所と保管方法、連絡先を明確にしておくと良いでしょう。
例えば、遺言書を自宅の金庫に保管する場合、信頼できる友人や弁護士にそのことを伝え、解除方法を伝えておくと安心です。
b. 遺言書の存在を他の相続人に通知する
遺言書の作成そのものについて、相続人に報せるよう遺言書に記載し、遺言書を託す相手に対し、相続人への通知を指示するのも一つの方法です。これにより、相続人に遺言書が発見されなかった場合でも、相続人に遺言書の存在を伝えることができます。
遺言書には、
「本書を開封した者は、遺言者が本書を作成した事実について長男 山田一郎(東京都千代田区○○町1234-5678)に通知し、長男から他の相続人に対し、遺言者の死亡および本書の内容を通知するよう指示する。」
と言う風に記載しておくといいでしょう。
c. 遺言書を公証役場や信託銀行で保管する
公証役場や法務局、信託銀行など、第三者に遺言書の保管を任せることで、遺言者の死後、相続人に対し、遺言書の存在を知らせやすくなります。
6. 遺言書の変更と撤回
6-1. 遺言書の変更方法
遺言書の内容を変更する場合、原則、新たな遺言書を作成することになります。意思が変わったときや相続人に変動が生じた場合など、その内容をしっかり反映させる必要があります。
変更方法
自筆証書遺言の場合
新たな内容を記載した遺言書の全文を手書きし、先に作成した遺言書は破棄、またはその内容が無効であることを明記しましょう。
「この遺言書をもって、先に作成した○○年○○月○○日付の遺言書の内容は撤回する。」としておくと安心です。
公正証書遺言の場合
公正証書遺言の場合、公証人に変更または撤回の旨を申し出て、再度公正証書遺言を作成することになります。その際、作成手順や費用について免除や減額などの措置はなく、改めて書類の取得等や承認による手続きが必要な点に注意しましょう。
訂正は避けるのが望ましい
基本的に、遺言書の訂正を手書きで行うのはお推めできません。なぜなら、誤字や訂正により遺言書が無効になる可能性があるためです。
訂正が必要な場合
誤記や不完全な記載に気づいた場合、以下の手順で訂正しましょう。
大前提として、遺言書の訂正箇所を明確にしておくことが大切です。
訂正方法1: 明示的な訂正
①訂正したい部分に線を引いて消し(取り消し線を引く)、訂正箇所を明確にします。
②訂正箇所に近い余白部分に、正しい内容と署名、訂正した年月日を記入します。
署名
訂正部分には、遺言者が訂正したことを示すために署名が必要です。
日付
訂正を行った年月日を記入し、いつ訂正したのかを明確にします。
同時に、加筆または消去した字数も明らかにしておくと安心です。
訂正方法2: 新しい遺言書の作成
訂正箇所が多い場合や、内容に大きな変更がある場合、訂正ではなく新しい遺言書の作成を検討する方がより安全です。
6-2. 遺言書の撤回方法
遺言書を撤回するには、先に作成した遺言書を破棄するのが理想です。撤回の理由はさまざまですが、慎重に進めましょう。
撤回方法
(1)新たに遺言書を作成する場合
遺言書の内容に関し、撤回したいと思ったときは、二度手間にはなるものの、新たに遺言書を作成するほうが確実です。
(2)物理的に破棄するのが難しい場合
物理的に、先に作成した遺言書の破棄が難しい場合でも基本的に心配はいりません。遺言者の死後、複数の遺言書が発見された場合には、原則、日付が最も新しいものが有効となります。
7. 遺言書作成後の確認と手続き
より確実に遺言内容の実現を望む場合、作成前または作成後において、専門家に相談されることをお勧めします。これにより、遺言書の内容に関し法的に問題がないかを確認することができます。
専門家への相談
遺言書作成後に確認すべき点
法律上の有効性
遺言の内容が法的に有効であるか、相続人が不服を申し立て、トラブルに発展する余地がないかを確認します。
遺言書に記載された内容が適切か
遺言が無効になることがないように、その内容に不明瞭な部分や誤りがないかを確認します。
遺言執行者の指定が適切か:
遺言執行者が信頼できる人物か、その人が遺言を実行する能力があるかも考慮して確認します。
弁護士や行政書士に依頼するメリット
専門的な知見が期待できる
遺言に際し、複雑な状況を考慮しなければならない場合や、法的な有効性に不安がある場合、専門家に確認してもらうことで安心につながります。
トラブル防止とリスク低減
専門家の手を借りることで、相続人間におけるトラブルを未然に防ぐことができる場合が多いです。また、相続税の申告に関するアドバイスも得られる場合があります。
8. まとめ
遺言書を作成する理由は、自分の意思に従った財産の分配、処分を実現することです。遺言書の作成により、相続人同士の争いを防ぎ、望ましい形で遺産を引き継ぐことができます。最初に「遺言書が必要な理由」や「遺産分割をどうしたいか」を明確にすることが重要です。
る旨を記載します。遺言書を撤回する場合も、同様に新たな遺言書を作成することで無効にできます。
FAQ
Q1: 遺言書を作成する際、必ず遺言執行者を指定する必要がありますか?
A1:
遺言執行者を指定することは必須ではありませんが、指定することで遺言書の内容をスムーズに実行することができます。特に複雑な内容や不動産などが関わる場合は、専門家を遺言執行者に指定することをおすすめします。
Q2: 自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは何ですか?
A2:
自筆証書遺言は自分で手書きする遺言書で、最も簡単に作成できますが、内容に不備があると無効となることがあります。一方、公正証書遺言は公証人が作成するもので、法的効力が高く、他人に遺言書の内容が伝わりやすいです。
Q3: 遺言書を作成した後、変更したい場合はどうすればよいですか?
A3:
遺言書を変更したい場合は、必ず新たに遺言書を作成し、以前の遺言書を撤回する旨を記載します。訂正しても効力が認められないため、変更が必要な場合は新しい遺言書を作成することが重要です。
Q4: 遺言書の保管方法はどうすれば良いですか?
A4:
遺言書は安全な場所に保管しましょう。自宅で保管する場合は金庫やロッカーに入れる、または信頼できる人物に伝える方法があります。公正証書遺言の場合は、公証人が保管してくれるため、安全です。
出典例
- 民法(法令リード)
- 出典: 民法第888条(遺言書の作成に関する規定)
- 自筆証書遺言の要件
- 出典: 法務省「遺言書の作成方法」ページ
- 公正証書遺言に関するガイドライン
- 出典: 日本公証人連合会「公正証書遺言とは」
- 遺言書撤回の方法
- 出典: 日本弁護士連合会(遺言書の撤回・変更について)
- 遺言書の保管方法
- 出典: 信託銀行などによる「遺言書の保管サービス」