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問40
宅地建物取引業者が媒介により既存建物の貸借の契約を成立させた場合、宅地建物取引業法第37条の規定により当該貸借の契約当事者に対して交付すべき書面に必ず記載しなければならない事項の組合せとして正しいものは次の1から4のうちどれか。
- ア 当該建物に係る租税その他の公課の負担
- イ 敷金や共益費など借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
- ウ 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
- エ 建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況
- ア、イ
- イ、ウ
- ウ、エ
- ア、エ
Contents
正解:2(イ、ウ)
【はじめに】記載事項の区別
37条書面の記載事項は、「必要的記載事項」と「任意的記載事項」に分けることができます。
必要的記載事項の場合、当該事項について定めたかどうかにかかわらず記載しなければなりません。
一方、任意的記載事項の場合、当該事項についての定めがある場合にのみ記載する点で異なります。
(1)必要的記載事項
下記に該当する事項は、定めの有無にかかわらず記載しなければなりません。
売買 | 貸借 | ||
---|---|---|---|
1 | 当事者の氏名・名称、住所 | 〇 | 〇 |
2 | 宅地・建物を特定するために必要な表示 | 〇 | 〇 |
3 | 代金・借賃の額・支払時期・支払方法 | 〇 | 〇 |
4 | 引渡しの時期 | 〇 | 〇 |
5 | 移転登記の申請の時期 | 〇 | × |
6 | (既存住宅の場合)当事者双方が確認した事項 | 〇 | × |
(2)任意的記載事項
下記に該当する事項は、定めがあるときに記載する必要があります。
売買 | 貸借 | ||
---|---|---|---|
1 | 代金・借賃以外の金銭の額・授受の目的・授受の時期 | △ | △ |
2 | 契約解除に関する定め | △ | △ |
3 | 損害賠償額の予定または違約金に関する定め | △ | △ |
4 | 金銭貸借のあっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置 | △ | ー |
5 | 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定め | △ | △ |
6 | 契約不適合担保責任に関する定め | △ | ー |
7 | 契約不適合担保責任の履行確保措置に関する定め | △ | |
8 | 租税その他の公課の負担に関する定め | △ |
ア:必ず記載する必要はない
「租税その他の公課の負担に関する定め」は、売買における37条書面の任意的記載事項に含まれます(宅建業法第37条第1項第12号)。
本肢の前提は貸借契約ですので、当該事項について定めたとしても37条書面に記載する必要はありません。
イ:必ず記載しなければならない
「借賃以外の金銭の額・授受の目的・授受の時期」は、貸借における37条書面の任意的記載事項に含まれます(同法第37条第2項第2号)。
本肢では、「借賃以外の金銭の授受に関する定めがある」ため、「その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的」を必ず記載しなければなりません。
ウ:必ず記載しなければならない
「損害賠償額の予定又は違約金に関する定め」は、売買・貸借における37条書面の任意的記載事項に含まれます(同法第37条第1項第8号、第2項)。
本肢では、「損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがある」ので、37条書面にその内容を必ず記載しなければなりません。
エ:必ず記載する必要はない
建物の構造耐力上主要な部分等の状況について「当事者の双方が確認した事項」は、既存建物の売買における37条書面の必要的記載事項に含まれます(同法第37条第1項第2号の2、第34条の2第1項第4号)。
本肢は売買ではなく貸借契約であり、「当事者の双方が確認した事項」がある場合でも、37条書面への記載は必要ありません。
必要的記載事項に含まれるのは、あくまで「当事者の双方が確認した事項」です。
本肢の「建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況」については、37条書面の記載事項には含まれない点に注意しましょう。