当サイトの一部にアフィリエイト広告を含みます。
問39
宅地建物取引業法第50条第2項の届出をすべき場所に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、これらの場所では、宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約(予約を含む。)若しくは宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約を締結し、又はこれらの契約の申込みを受けるものとする。
- 届出をすべき場所として、継続的に業務を行うことができる施設を有する場合で事務所以外のものが定められているが、当該場所には1名以上の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
- 届出をすべき場所として、宅地建物取引業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲(以下この問において「一団の宅地建物の分譲」という。)をする場合に設置する案内所が定められているが、当該案内所が土地に定着する建物内に設けられる場合、クーリング・オフ制度の適用が除外される。
- 届出をすべき場所として、他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介をする場合に設置する案内所が定められており、この場合は、代理又は媒介を行う宅地建物取引業者が届出をするが、売主業者自身も当該案内所で売買契約の申込みを受ける場合は、売主業者も届出をする。
- 届出をすべき場所として、宅地建物取引業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場所が定められているが、その催しを開始する10日前までに、実施場所を管轄する都道府県知事に届け出なければならず、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出る必要はない。
正解:4
【はじめに】業務場所に関わる規制
問題文の「宅地建物取引業法第50条第2項の届出をすべき場所」とは、端的に言えば、「案内所等」の届出を指します。
この案内所等で行われる「宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約(予約を含む。)若しくは宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約を締結し、又はこれらの契約の申込み」とは、「契約行為等」を指します。
まとめると、当設問は契約行為等を行う案内所等に関する規定を問われていることになります。
1:正しい
案内所等で契約行為等を行う場合、その場所には、成年者である専任宅建士を1名以上設置しなければなりません(宅建業法第31条の3第1項、規則第15条の5の2第1号、第15条の5の3)。
したがって、本肢は正しいです。
2:正しい
クーリング・オフの対象は、事務所以外の場所で買受けの申込みまたは売買契約の締結をした場合です(同法第27条の2第1項)。
ここでいう事務所等とは、分譲業者が設置する案内所のうち、土地に定着するものを含み、この場所で行う買受の申込みや売買契約の締結は、クーリング・オフの適用範囲外です(規則第16条の5第1号ロ)。
したがって、本肢は正しいです。
3:正しい
本肢のケースにおいて、届出の義務を負うのは代理又は媒介を行う宅地建物取引業者と売主業者です(同法第50条第2項、第31条の3第1項、規則第15条の5の2第2号、第3号)。
したがって、本肢は正しいです。
4:誤り
案内所の届出は、営業開始の10日前までに、免許権者と案内所等の所在地を管轄する知事に届け出る必要があります(同法第50条第2項、規則第19条第3項)。
したがって、本肢の「免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届け出る必要はない」は誤りだとわかります。
試験対策のポイント
試験対策として、下記のポイントをおさえましょう。
- 専任の宅建士を置くべき場所
- クーリング・オフの適用範囲
(1)専任の宅建士を置くべき場所
宅建業者の事務所や契約行為等を行う案内所等には、成年者である専任の宅建士を設置する必要があります。
わざわざ「成年者である専任の宅地建物取引士」としているのは、未成年であっても宅建業の営業に関して成年者と同一の行為能力を有している場合、宅建士となること自体は可能なためです(同法第18条第1項第1号)。
原則、この場合でも未成年者は専任の宅建士になることはできない点に注意しましょう。
ただし、宅建業者自身が宅建士である場合や宅建士が法人の役員を務める場合、たとえ未成年者でも「成年者である専任の宅地建物取引士」とみなされます(同法第31条の3第2項)。
(2)クーリング・オフの適用要件
クーリング・オフは、宅建業者が売主、宅建業者以外が買主となる売買契約について、事務所等以外の場所において行った買受けの申込みの撤回等を認めるものです。
「事務所等」とは、下記を指します。
- 事務所
- 案内所
- 展示会場
- 継続的業務施設
案内所、展示会場は、土地に定着するものに限ります。
クーリング・オフが可能な期間は、(1)書面による告知日から起算して8日経過したとき、(2)物件の引渡しを受け、かつ、代金全部を支払ったときに限られます。
したがって、口頭による告知や告知自体をしていないケースで(2)を満たす限り、適用範囲である可能性が高いと考えられます。
あくまで書面による意思表示が要件なので、特定書面や電磁的方法による意思表示は認められない点に注意しましょう。
申込者等が書面を発したときにクーリング・オフの効力が発生します。