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問36
営業保証金及び宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 宅地建物取引業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入しようとする日までに、政令で定める額の弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならない。
- 保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員ではないとしたならばその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内で弁済を受ける権利を有する。
- 宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、保証協会が弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に宅地建物取引業法第64条の8第2項の規定による認証を受けるため申し出るべき旨の公告をした後でなければ、弁済業務保証金分担金の返還を受けることができない。
- 宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、公告をすることなく営業保証金を取り戻すことができる。
正解:4
1:正しい
宅建業者が保証協会に加入する場合、加入しようとする日までに、金銭で、弁済業務保証分担金を納付する必要があります(宅建業法第64条の9第1項1号)。
したがって、本肢は正しいです。
保証協会に加入後、新たに事務所を設置したケースでは、その日から2週間以内の納付で間に合います(同条第2項)。
2:正しい
保証協会の社員である宅建業者と取引した人(宅建業者は除く。)が弁済保証金からの弁済を受けられる場合、限度額は「当該社員が社員でなければ、その業者が供託すべき営業保証金の額」に相当する額の範囲内となります(同法第64条の8第1項)。
したがって、本肢は正しいです。
3:正しい
保証協会の社員がその地位を失った場合、保証協会は、弁済業務保証金を取り戻すことができます(同法第64条の11第1項)。
しかし、直ちに取り戻すことができるわけではなく、保証協会から還付請求権を持つ人に対し、公告する必要があります(同条第4項)。
したがって、本肢は正しいです。
公告を行うのは「元社員」ではなく「保証協会」という点に注意しましょう。
4:誤り
宅建業者が供託している営業保証金を取り戻すには、6か月以上の期間を定め、公告手続きを経る必要があります(同法第30条第1項、第2項)。
しかし、下記のケースでは公告手続きを経ず、営業保証金を取り戻すことが可能です。
- 主たる事務所を移転した場合
- 事由の発生から10年が経過した場合
- 保証協会に加入した場合
本肢の場合、例外規定に該当せず、公告手続きが必要なので誤りだとわかります。
試験対策のポイント
試験対策として、下記のポイントをおさえましょう。
- 保証協会への加入手続きに関する規定
- 弁済業務保証分担金に関する規定
1.保証協会への加入手続きに関する規定
宅建業者が保証協会に加入する場合、加入しようとする日までに、金銭で、弁済業務保証分担金を納付する必要があります(宅建業法第64条の9第1項1号)。
加入希望者から弁済業務保証分担金を受け取った協会は、その日から1週間以内に、供託所に対し、金銭または有価証券で供託する必要があります。
試験では、これら一連の流れと期限、方法、主体者を問う内容が頻出ですので、きちんと整理しておきましょう。
2.弁済業務保証分担金に関する規定
保証協会の社員である宅建業者と取引した者(宅建業者を除く。)が弁済業務保証金から受けられる限度額は、当該社員が本来供託すべき営業保証金の額に相当する範囲内です(同法第64条の8第1項)。
例えば、本店と支店を3か所を展開する宅建業者の場合、営業保証金の額は2,500万円ですが、保証協会の社員となった場合に収める分担金は150万円です。
営業保証金 | 弁済業務保証分担金 | |
---|---|---|
本店 | 1,000万円 | 60万円 |
支店 | 500万円/1か所 | 30万円/1か所 |
合計 | 2,500万円 (1,000万円+500万円×3か所) | 150万円 (60万円+30万円×3か所) |
したがって、保証協会の社員である宅建業者と取引した還付請求権者が弁済を受けられる上限額は、2,500万円の範囲内となります。
宅建業者が納めるべき金額と、還付請求権者が受けられる金額との違いを正確に把握しましょう。