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問25
不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
- 同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。
- 対象不動産について、依頼目的に応じ対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について想定上の条件を設定する場合がある。
- 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、これを適合の原則という。
- 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であり、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。
Contents
正解:3
1:正しい
不動産鑑定評価基準において、同一需給圏にある対象不動産は、互いに価格形成に影響を与える不動産が存在する範囲を対象とします。
この概念は、市場性を評価する際にとても大切なものですので、本肢は正しいです。
同一需給圏という用語の定義を正確に覚えましょう。
2:正しい
不動産鑑定評価基準において、価格評価の際、依頼目的に応じた条件を設定する場合があります。
例えば、再開発の進む地域にある不動産について、将来の土地利用計画を前提とするようなケースがこれに当たります。
ただし、このような条件設定は依頼目的に応じ慎重に行い、過度な仮定は避けるべきとされていることから、本肢は正しいです。
価格形成要因について、(1)地域要因、(2)個別要因に区別して理解し、想定条件を設定するケースを確認しましょう。
3:誤り
本肢は、最有効使用の原則に該当するものと思われます。
不動産鑑定評価基準において、対象不動産が最も効用を発揮する使用方法を基に価格を評価します。
これを最有効使用の原則と呼びますが、本肢では「適合の原則」としており、誤りです。
適合の原則とは、不動産がその周辺環境や市場と適合しているときに価格が安定する、という考え方を指します。両者を区別し、理解しましょう。
4:正しい
収益還元法とは、不動産の収益性を重視する手法であり、将来得られる収益を現在価値に換算し、価格を算定するものです。
特に賃貸不動産や収益物件の価格評価に適していると考えられ、直接還元法やDCF法等が挙げられます。
収益還元法の適用対象と計算方法を確認しましょう。
試験対策のポイント
試験対策として、下記を押さえましょう。
基本概念の整理
- 同一需給圏: 不動産市場において、需要と供給が同じ圏内に存在し競合する範囲
- 価格形成要因:
- 地域要因: 周辺環境、交通利便性など
- 個別的要因: 土地の形状、建物の状態など
- 最有効使用の原則と適合の原則の違い:
- 最有効使用の原則: 土地や不動産が最も利益を生む使用形態
- 適合の原則: 不動産がその環境や利用形態に適しているか
- 収益還元法の理解: 賃貸用不動産や収益物件の価格評価に用いる手法で、収益の現在価値を計算
ポイント: 実際の不動産市場での利用例を想像すると理解を深めやすい
Q1. 最有効使用の原則とは
A1.最有効使用の原則とは、不動産が最も効用を発揮する方法で使用した場合を基に、その価格を評価する考え方を指します。
この場合、前提条件は、適法に、物理的・経済的に実現可能なものでなければなりません。
Q2. 収益還元法にはどのような手法があるか
A2.収益還元法は、下記の手法に分類されます。
直接還元法 | 一定期間の純利益を割引率で割り、価格を算定 計算がシンプルで、短期間の収益評価に有効 |
DCF法 (割引キャッシュフロー法) | 複数の期間内を通し、純収益をそれぞれ現在価値に換算し合計 計算は複雑だが、長期的な収益評価に有効 |
Q3. 不動産鑑定評価基準で想定上の条件を設定する例とは
A3.再開発予定地域において、将来的に商業施設が建設される等の条件を設定し、価格評価を行うケースが考えられます。
一般的に、依頼目的や市場状況に基づき条件を設定することになります。