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問2
委任契約・準委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1.売主が、売買契約の付随義務として、買主に対して、マンション専有部分内の防火戸の操作方法につき説明義務を負う場合、業務において密接な関係にある売主から委託を受け、売主と一体となって当該マンションの販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者も、買主に対して、防火戸の操作方法について説明する信義則上の義務を負うことがある。
2.受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
3.委任契約で本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意して代理人に代理権を与えた場合、本人が死亡しても代理権は消滅しない。
4.委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。
正解:4
1:正しい
本肢は、判例に基づく内容です(最判平17.4.15 民集59巻4号103頁)。
売主と密接な関係をもち、実質的に販売活動を担う宅建業者には、信義則上、説明義務を負う場合があります。
特に、買主に不利益が生じる可能性があるときには、説明義務の履行が重要視されます。
したがって、本肢は正しいです。
2:正しい
本肢は、民法第645条に基づく規定です。
受任者が第三者(復受任者)に委任業務を再委託するには、原則、委任者の許諾を要しますが、やむを得ない事由がある場合、許諾は不要です。
3:正しい
本肢は、民法第111条第1項に関する問題です。
委任契約では、本人の死亡を理由とした代理権消滅をさせない旨の特約を付けることが可能です。
したがって、本肢は正しいです。
4:誤り
委任契約とは、仕事の完成ではなく、仕事の処理を目的に結ぶものです。
また、報酬の有無は委任契約の成立要件に含まれず、有償無償に関係なく委任契約が成立します(民法第643条)。
したがって、本肢は誤りです。
仕事の完成を目的とする契約は「請負契約」に該当します。