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問題50
日本の法人課税に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。
ア 法人税は法人の所得に対して課税する所得課税であり、企業の所得水準に応じて税率が決まる累進税率が採用されている。
イ 子育てを社会全体で支える観点から、法人税の税率が引き上げられ、その財源を次世代育成支援に充当することとなった。
ウ 地方自治体が課税する法人事業税には、法人の所得や収入に応じる課税だけではなく、法人の資本や付加価値に応じて課税される外形標準課税も導入されている。
エ OECD(経済協力開発機構)では、多国籍企業がその課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行っている問題(BEPS:税源浸食と利益移転)に対処するため、BEPS プロジェクトを立ち上げて、日本もこれに参加している。
オ 地方自治体による法人事業税や法人住民税は、地域間での偏在性が大きいが、その一部を国税化する改革が実施されたことはない。
1 ア・ウ
2 ア・オ
3 イ・エ
4 イ・オ
5 ウ・エ
正解:5(ウ・エ)
日本の法人課税に関する問題です。
ア:妥当でない
法人税は、法人の所得に対して課税される所得課税とする点は正しいですが、累進税率ではなく、一定の比例税率が適用されており、2023年時点において、通常23.2%で固定されています。
したがって、本肢は誤りです。
イ:妥当でない
子育て支援や次世代育成に関する政策は様々ですが、それを理由に法人税率が引上げられた事実はありません。
近年の法人税政策は、国際競争力重視の引き下げ傾向にあります。
したがって、本肢は誤りです。
ウ:妥当
法人事業税は、地方税法に基づき、法人の所得に応じて課税されますが、資本金規模や付加価値に応じた課税方式である外形標準課税も一部導入されています。
外形標準課税は、大規模法人を対象にし、法人所得が赤字でも課税する仕組みとして設けられたものです。
したがって、本肢は妥当です。
エ:妥当
OECDは、多国籍企業が税源浸食や利益移転(BEPS)を通じ課税逃れを行う事を問題視し、2013年にBEPSプロジェクトを立ち上げました。
これに日本も参加しており、BEPSプロジェクトの勧告を受けた税制改正を行っています。
したがって、本肢は妥当です。
オ:妥当でない
地方税の偏在性を是正するため、法人事業税や法人住民税の一部を国税化して配分する仕組みが取られています。
具体的には、法人事業税の一部を「地方法人特別税」として国税かし、後に地方法人税に改組されたものです。
したがって、本肢は誤りです。