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問題46
Aは、Aが所有する土地上に住宅を建築する旨の建築請負契約(以下「本件契約」という。)を工務店Bとの間で締結した。本件契約においては、Bの供する材料を用い、また、同住宅の設計もBに委ねることとされた。本件契約から6 か月経過後に、Aは、請負代金全額の支払いと引き換えに、完成した住宅の引渡しを受けた。しかし、その引渡し直後に、当該住宅の雨漏りが3 か所生じていることが判明
し、Aは、そのことを直ちにBに通知した。この場合において、民法の規定に照らし、Aが、Bに対し、権利行使ができる根拠を示した上で、AのBに対する修補請求以外の3 つの権利行使の方法について、40 字程度で記述しなさい。
Contents
解答例:契約不適合責任を根拠に、請負代金減額請求、損害賠償請求及び契約解除ができる。(38字)
問題文の状況
問題文の状況をまとめると、下記の通りです。
- AはBに住宅の建築を依頼
- 建築はBの設計および材料にて施工
- 引渡し直後に住宅の雨漏りが判明し、AはBにすぐに通知
問われていること
この問題で問われていることは、AがBに権利を行使できる根拠を示し、修補請求以外に行使できる3つの権利と方法です。
解説
この問題は、請負契約における契約不適合責任に関するものです。
契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、引き渡された目的物が契約内容に適合しない場合、請負人または売主が負う責任を指します(民法第562条、第634条)。
請負人が引き渡した建物が契約に適合しない場合、注文者は一定の権利を行使することができます。
1.契約不適合責任に基づく権利行使
民法の規定に基づき、Aがとれる具体的な権利行使の方法は下記の通りです。
(1)修補請求
契約不適合がある場合、AはBに対し、その不適合の修補(修理)を請求することができます(民法第634条第1項)。
(2)請負代金の減額請求
不適合について、修補できない場合や修補に代わる方法として、請負代金の減額を請求できます(同法第2項)
(3)損害賠償請求
契約不適合によりAが損害を被った場合、その損害についてBに賠償を請求することができます(同法第1項、第415条)
(4)契約解除
契約不適合が重大で、契約の目的を達成できない場合、契約を解除することが可能です(第635条)
2.Aの権利行使の条件
Aが上記の権利を行使するには、下記の条件を満たす必要があります。
(1)通知義務
Aは契約不適合を発見したとき、直ちにBに通知する必要があります(同法第639条)。
問題文から、Aは直ちに通知しており、本要件は満たしています。
(2)権利の選択
Aがどの権利を行使するか、雨漏りの程度や修補の可否について選択することができます。
3.まとめ
ここまでをまとめると、
- 雨漏りが契約内容に適合しないため、Aは契約不適合責任を追及できる
- 修補請求以外の「請負代金の減額」「損害賠償請求」「契約解除」の選択肢がとれる
ということになります。