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当ページでは、社会保険労務士(社労士)に相談・依頼できる内容と、費用相場を解説します。
Contents
社労士(社会保険労務士)とは
社労士(社会保険労務士)とは、社会保険労務士法に基づいた国家資格者を指し、企業の人事労務に関する専門家です。
社労士に相談・依頼できる内容
社労士に相談・依頼できる内容は下記の通りです。
- 社会保険・労働保険関連の書類作成、届出
- 就業規則、各種規定の作成・変更・届出
- 給与計算の代理
- 勤怠管理の代理
- 個別労働紛争解決手続の代理
- 補助金・助成金の申請
1.社会保険・労働保険関連の書類作成、届出
社会保険・労働保険関連の書類とは、下記を指します。
社会保険関連 | ・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 ・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届 ・算定基礎届 ・月額変更届 ・産前産後休業取得者申出書・終了届 ・育児休業取得者申出書・終了届 など |
労働保険関連 | ・労働保険 概算保険料申告書(年度更新) ・雇用保険 被保険者資格取得届 ・雇用保険 被保険者資格喪失届 ・労災保険特別加入申請書 ・高年齢雇用継続給付申請書 ・育児休業給付金支給申請書 など |
その他 | ・労働条件通知書 ・就業規則の届出 ・労災事故報告書 など |
これらの書類は、最新の法令に応じ、設定された期間内に作成しなくてはならないため、法令を守り、従業員とのトラブルを防ぐため、社労士に依頼する選択肢があります。
2.就業規則、各種規定の作成・変更・届出
就業規則とは、会社や従業員が守るべきルールを定めるもので、労働関係法令に違反しない限り、会社は自由に定めることができます。
しかし、記載すべき「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」を法律は定めており、法令や労働協約に反することはできません(労働基準法第89条、第92条)
絶対的必要記載事項 | ① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項 ② 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 ③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。) |
相対的必要記載事項 | ① 退職手当に関する事項 ② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項 ③ 食費、作業用品などの負担に関する事項 ④ 安全衛生に関する事項 ⑤ 職業訓練に関する事項 ⑥ 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項 ⑦ 表彰、制裁に関する事項 ⑧ その他全労働者に適用される事項 |
3.給与計算の代理
労働者を雇用する使用者には、給与計算に伴い、賃金台帳の作成・保存義務が課されており、法律に従った作成が求められます(労働基準法第108条)
- 氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
- 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
- 賃金の一部を控除した場合には、その額
出典:労働基準法施行規則
社労士に給与計算を依頼する場合、毎月の給与計算業務、年末調整や賞与計算等を任せられるほか、給与に関連する社会保険手続も任せられるため、事業者側の負担が大幅に軽減されます。
4.勤怠管理の代理
勤怠管理とは、労働者の勤務状況を雇用者が正確に把握し、法令・就業規則を守りながら管理することを指します。
具体的には、タイムカード・勤怠システムを使った労働時間の記録、残業時間の集計、有給休暇の取得状況の把握などがこれにあたり、過重労働の防止や適正な賃金支払の資料作成などに繋がります。
雇用形態、勤務形態が異なる社員が混在する場合、残業や休暇の取得状況を把握するのが難しくなります。
この点、社労士に依頼すると適正管理が期待できるほか、社員の打刻忘れや勤務形態の変更にも正しく対処してくれるでしょう。
5.個別労働紛争解決手続の代理
個別労働紛争とは、労働者個人と事業主との間で発生する労働関係に関する紛争を指します(個別労働紛争解決促進法第1条)
具体的には、いじめ・嫌がらせ、自己都合退職、解雇、賃金の引き下げ、出向・配置転換、採用内定取消、パワハラ等が該当します。
当事者間での話し合いで解決に至らない場合、裁判外紛争解決手続(ADR)を検討します。
ADRとは、裁判によらず、当事者双方の話し合いに基づき、あっせん、調停、仲裁などの手続により紛争の解決を図る方法で、事業主に代わり、特定社労士が行うことができます(参考:労使紛争を解決したい|全国社会保険労務士会連合会)
特定社労士とは、社労士のうち、厚生労働大臣が定める研修を修了し、紛争解決手続代理業務試験に合格後、登録を受けた社労士のことをいいます。
このため、社労士なら全員行えるわけではない点に注意が必要です。
6.補助金・助成金の申請
補助金・助成金は、返済する必要がない資金として多くの企業が活用していますが、申請条件が細かく、専門知識がなければ徒労に終わる可能性があります。
人事労務に関する補助金・助成金については、申請書類のほか、就業規則なども審査対象となるため、自社の就業規則、雇用契約、給与計算方法、労災・雇用・社会保険の適用状況などを把握している必要があります。
作成段階、または顧問契約を結んでいる社労士がいる場合、既にこれらの状況を把握しているため、申請の可否を容易に検討できるほか、必要な書類等を作成することができます。
社労士に相談・依頼できないこと
下記に該当する場合、社労士への相談・依頼は難しく、他の相談先を検討する必要があります。
- 交渉の代理
- 従業員からの相談
1.交渉の代理
社労士は、労働審判手続に係る労使紛争、その他の労働審判手続に関する内容に対応することはできます。
しかし、労働事件の裁判において、代理人として関わることはできません。
このため、裁判を前提とした従業員との交渉を代理することもできず、適切なアドバイス・説明を受けることが難しい場合があります。
この場合、労働事件を取り扱っている弁護士への相談を検討しましょう。
2.従業員からの相談
従業員から社労士に対し、未払残業代の請求や不当解雇の取消などを主張することはできません。
これらの相談を行ったとしても、社労士は従業員の代理として交渉することができず、法令や就業規則等の説明のみにとどまる可能性が高いです。
事業主に対する不服の主張は、弁護士や社労士会、労働基準監督署等に相談するといいでしょう。
社労士に依頼する際にかかる費用
社労士に依頼する際にかかる費用は、依頼内容、地域、社労士事務所の規模等により異なりますが、下記に一般的な金額を紹介します。
給与計算 | 月額 | 500円~1,500円/人 | |
追加 | 数1,000円~1万円/人 | ||
社会保険・労働保険関連の書類作成、届出代行 | 月間顧問 | 1万~5万円 | |
スポット | 社会保険新規加入手続 | 5万~10万円 | |
労働保険年度更新 | 2万~5万円 | ||
就業規則の作成・見直し | 新規作成 | 10万~30万円 | |
見直し・改定 | 5万~15万円 | ||
労務相談 | 月額顧問 | 2万~10万円 | |
労働・社会保険の新規適用手続 | 雇用保険・健康保険の新規適用 | 5万~10万円 | |
従業員の入隊者手続 | 5,000円~1万円/人 | ||
補助金・助成金の申請代行 | 受給額の10~20% | ||
労使トラブル・労働基準監督署対応 | 10万~30万円 | ||
勤怠管理の代行 | 月額 | 500~1,500円/人 |
社労士に相談・依頼する際の注意点
社労士に相談・依頼する際は、下記に注意しましょう。
- 相談・依頼内容を明確にする
- 相見積もりをとる
1.相談・依頼内容を明確にする
社労士に相談する前に、相談・依頼したい内容を明確にしましょう。
顧問契約を結ぶ場合、必要なサービスを把握していなければ適切なアドバイスを受けられず、契約を結ぶこともできません。
2.相見積もりをとる
報酬やサービス内容は、法律で定められているものではなく、依頼先により異なります。
このため、複数の事務所で見積もりをとり、比較して検討することをオススメします。
社会保険労務士に相談できること、費用相場まとめ
当ページでは、社会保険労務士に相談できることと、費用相場をご紹介しました。