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連帯保証人が負うリスク、注意点を解説

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当ページでは、連帯保証人が負うリスクと注意点を解説します。

連帯保証人とは

連帯保証人とは、実際にお金を借りた債務者(「主たる債務者」といいます)と連帯し、当該債務の返済義務を負う人を指します(出典:民法第446条)

(1)連帯保証人と保証人の違い

保証人の場合、重たる債務者の弁済を補充することがメインとなります。

具体的には、債権者より返済の請求を受けた際、「先に重たる債務者に請求してください」と主張することができます(民法第452条)

また、重たる債務者への請求を経ている場合でも、保証人自身で、「重たる債務者に弁済できるだけの資力があること」「重たる債務者の財産への執行が容易なこと」を証明した場合、債権者は重たる債務者→保証人の順に債権回収を行う必要があります(民法第453条)

一方、連帯保証人の場合、重たる債務者と全く同じ責任を負うことになるため、保証人に認められる権利は与えられない点が異なります。

(2)連帯保証人と連帯債務者の違い

連帯債務とは、1つの債権を複数の債務者が負うものを指します。

連帯保証の場合、重たる債務者が存在しますが、連帯債務に重たる債務者は存在せず、全員が連帯して債務を負う点で異なります。

座学的なことを言えば、連帯債務者のうちの1人に生じる事由は他の連帯債務者に影響しないのに対し、連帯保証の場合、重たる債務者に生じる事由は連帯保証人に影響しますが、連帯保証人に生じた事由は重たる債務者に影響しません。

(3)連帯保証人と身元保証人の違い

身元保証人とは、借主が信頼できる人であることを証明する役割を担う人をいいます。

このため、債務者が返済を怠った場合でも、身元保証人に請求されることはない点が連帯保証人とは大きく異なる点です。

連帯保証人が必要なケース

連帯保証人が必要なケースは、下記の通りです。

  1. 賃貸借契約
  2. 住宅ローンなど
  3. 奨学金
  4. 消費者金融

連帯保証人になるための条件

  1. 書面で契約する
  2. 極度額を定める
  3. 信用情報機関に登録されていない
  4. 支払が期待できない人ではない

1.書面で契約する

保証契約は、書面でしなければ効力を生じません(民法第446条第2項)

連帯保証契約は、重たる債務の発生原因となる契約と同時に結ぶことがほとんどですが、重たる債務は口頭でも成立するのに対し、保証契約については書面で契約しなければならない点が異なります。

2.極度額を定める

個人が保証人となる根保証契約について、極度額を定めなければなりません(出典:民法第465条の2第2項)

極度額とは、保証契約において保証すべき上限額を指します。

法律上、極度額に関する制限はないため、設定する金額は当事者間の合意により決定することになります。

3.信用情報機関に登録されていない

連帯保証人になる場合、信用情報機関に事故情報が登録されていると貸主から拒否される可能性があります。

金融機関や貸金業者からお金を借りる場合、重たる債務者だけでなく、連帯保証人も審査対象となりますので、思い当たる節がある人は要注意です。

4.支払が期待できない人ではない

連帯保証人の役割は、重たる債務者の返済滞納時に代わりに返済することです。

このため、連帯保証人自体に返済能力が備わっているかも審査対象であり、支払を期待できない場合には、債権者から拒否される可能性があります。

連帯保証人が負うリスク

連帯保証人は、下記の責任リスクを負います。

  1. 一括請求の可能性がある
  2. 信用情報機関に登録される

1.一括請求の可能性がある

連帯保証人の責任範囲は、重たる債務者が負う借金、利息、違約金、損害賠償その他すべてを含むだけでなく、保証契約に伴う違約金・損害賠償責任まで含まれます。

このため、重たる債務者より負う責任が重くなる可能性がありますが、重たる債務者が返済しなかった場合、無慈悲にも一括請求される可能性があります。

借金を返済できない場合、財産を差し押さえられる可能性も…。

2.信用情報機関に登録される

重たる債務者が返済できず、連帯保証人も返済できない場合、信用情報機関に登録されることになります。

信用情報機関とは、いわゆるブラックリストを指し、事故情報として登録されると新規の借り入れができない、クレジットカードの申し込みができない等の影響を受けます。

連帯保証人を辞める方法

原則、連帯保証人をやめることはできませんが、下記の場合には、連帯保証契約を解除できる可能性があります。

  1. 賃貸借契約
  2. 金融機関からの借入

1.賃貸借契約

賃貸借契約の場合、賃借人の家賃滞納に備え、契約時に連帯保証人を求められることになります。

賃借人が長期にわたり賃料を滞納した場合において、将来的にも支払いの見込みがないにもかかわらず、賃貸借契約を継続した場合、賃貸人が「保証契約上、不当に保証人の責任が拡大することがないように配慮する信義則上の義務」を怠ったとし、連帯保証人から連帯保証契約の解除ができるケースがあります(出典:東京地判平成25年6月14日)

ただし、解除時点までに発生している債務については返済義務を免れない点に注意が必要です。

2.金融機関からの借入

金融機関から融資を受ける際、重たる債務者が返済困難になった場合に備え、連帯保証人を求められるケースがあります。

この場合、重たる債務者が負う債務が消滅しない限り、連帯保証人から契約解除を求めるのは難しいのですが、別の連帯保証人を見つける、又は担保を供与する等の方法で解除できる場合があります。

また、重たる債務者と共同し、他の金融機関で借り換えをする等の方法も考えられます。

返済が困難な場合の対処法

保証契約の解除が困難な場合、債権者からの請求に応じる必要があります。

原則、連帯保証人が債権者からの請求を拒むことはできませんが、下記の対処法が考えられます。

  1. 債務整理
  2. 専門家への相談・依頼

1.債務整理

債務整理とは、任意整理、自己破産、個人再生の総称で、連帯保証人の収入や資産状況、負債の内容を考慮して、適切な方法を選択します。

任意整理将来利息のカット
支払期限の先延ばし
自己破産裁判所により免責決定を受け、債務をゼロにする
一定以上の資産は手放さなければならない
個人再生裁判所により再生計画の認可を受け、債務の大幅な減額
減額後の債務について、原則3年で返済

2.専門家への相談・依頼

債権者と交渉するにしても、債務整理を行うにしても、ある程度の知識がなければ困難な場面も多いのが現状です。

特に、債務に関する決定権を握るのは債権者であることを考えると、債権者に納得してもらえるような計画や理由を論拠に基づき主張する必要があります。

弁護士等の専門家に依頼することで、適切な対処法を見つけられるだけでなく、交渉時には適切な落としどころを見つけられます。

自分では気づけなかった対処法を提案してくれることもあります。

連帯保証人が負うリスク、注意点まとめ

当ページでは、連帯保証人が負うリスクと注意点を解説しました。

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榊原沙奈
(さかきばら さな)
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