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自殺の相続手続、注意点を解説

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当ページでは、自殺の相続に必要な手続と注意点を解説します。

自殺者数の推移

日本国内において、令和5年の自殺者数は下記の通りです。

有職者無職者不詳
総数8,85811,466494
男性7,0636,827400
女性1,7954,63994
出典:令和5年中における自殺の状況 令和6年3月29日付|構成労相自殺対策推進室警察庁生活安全局生活安全企画課

(1)自殺の理由と傾向

直近3年間の自殺状況をみると、若年層では、学校・家庭・SNSでのいじめなど、人間関係の悩みを理由とするものが多く、中高年では、生活苦・失業等の経済的な理由が多い傾向にあります。

これらの数値から、自殺は特定の誰かだけに起こるものではなく、誰もが面する可能性がある課題であることがわかります。

被相続人が自殺だった場合の相続手続

被相続人が自殺だった場合、相続手続において下記に注意しましょう。

  1. 情報不足
  2. 精神的影響

1.情報不足

被相続人がご高齢の場合や病気を患っていた場合、相続開始時期を予測できる場合もありますが、自殺の場合、周囲からすると突然の出来事で、何の準備もできていない場合がほとんどです。

このため、相続財産調査で難航することも多いうえ、相続手続終了後に新たな財産が発覚するケースもあります。

最近ではデジタル遺品や海外資産を保有しているケースもあり、生前に全てを把握するのは困難なため、熟慮期間に注意して調査を進めましょう。

2.精神的影響

通常の相続に比べ、相続人にかかる精神的な負担は大きいことが予測されます。

このような事情がある場合でも、相続放棄の申述手続相続税申告・納付についての期間を守らなければならず、相続人にとって辛い時期になるでしょう。

ご自身たちで処理するのが難しいと感じたら、早めに専門家までご相談ください。

被相続人の死亡場所による影響

被相続人が死亡した場所に応じ、下記の影響が考えられます。

1.自宅内

被相続人が自宅内で自殺した場合、必要に応じ、清掃・修繕費を負担しなければなりません。

自宅を被相続人の財産として相続する場合、物件の売却を検討することもあるでしょうが、過去に自殺が行われた場合には「事故物件」の扱いを受けることもあり、評価額が下がる可能性があります。

賃貸に出す場合も同様に、賃貸自体が難しくなる、または賃貸料が相場より安くなる可能性があります。

2.賃貸物件内

被相続人が賃貸物件で自殺した場合、賃貸契約に基づき「原状回復義務」が発生します。

原状回復義務とは、借りる側が退去する際、当該物件を入居前の状態に戻す義務を指し、通常の生活に伴って生じる自然な劣化は含まれません。

しかし、自殺の場合には、通常の原状回復の範囲を超える可能性が高く、専門業者による特殊清掃やリフォームを要することもあります。

これに加え、事故物件として扱われることにより次の入居者が決まらない場合、賃料の減額分、空き室期間に応じた損害賠償を求められる可能性がある点に注意が必要です。

これらの責任を逃れるため、相続放棄を検討することもあるかと思いますが、賃貸契約時に相続人が保証人になっているケースでは、相続放棄をもって、これらの責任から逃れることは難しい点に注意しましょう。

3.電車等の公共機関

被相続人が公共機関で自殺した場合、現場の清掃費用のほか、機械設備の点検・修理・復旧にかかる費用も賠償請求の対象となります。

電車・バス等の遅延により、当該運行会社が負担した損失がある場合、これらも損害賠償の対象に含まれるほか、遺体搬送が通常より高額化する可能性があります。

公共機関での自殺は人目に触れる機会も多く、周囲からの偏見を無視できないケースも…。

生命保険金の取扱い

通常、被相続人が生命保険に加入している場合には、死亡に対し、保険金が支払われます。

この際、保険会社による調査が行われ、調査結果に応じて「免責」とされる場合もあります。

また、加入期間に応じて免責とされる場合もありますので、保険会社に確認して対応しましょう。

支払条件において、被相続人が該当するかを確認しましょう。

自殺による損害賠償責任への対処法

被相続人が自殺した場合、損害賠償責任を問われた相続人が取り得る対処法は下記の通りです。

相続放棄所定の手続をとることで、はじめから相続人でなかったものとみなされるため、損害賠償義務を負う必要がなくなる
限定承認相続財産について、プラスの限度でのみマイナスを相続するもの
一般的に、遺産の一部に手元に残しておきたいものがある場合に活用する方法
いずれもできない場合・相続人が単純承認した場合(法定単純承認を含む)
期間内に相続放棄、限定承認の手続をしなかった場合

一般の相続と自殺の場合とで異なる手続

被相続人が自殺した場合、求められる手続について、大筋は一般的な相続と変わりません。

しかし、下記の点で異なるため、事前に確認しておくと安心です。

  1. 検死を要する
  2. 死亡診断書ではなく死体検案書を添付する
  3. 生命保険に関する取扱いが異なる
  4. 特殊清掃・リフォーム費用等がかかる
  5. 第三者から損害賠償を求められる可能性がある

3~5については事案に応じてかかる可能性があるものなので、都度、確認しながら進める必要があります。

自殺の相続手続と注意点まとめ

当ページでは、被相続人が自殺した場合に必要な手続と、注意点を解説しました。

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榊原沙奈
(さかきばら さな)
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