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当ページでは、金・金地金の相続に必要な手続と評価方法、注意点を解説します。
Contents
金資産とは
金資産とは、金地金等の保管しやすいよう塊にした金を指し、投資対象として扱われます。
純金でなければならない等の規格が設けられています。
(1)相続税の課税対象となる金資産の種類
金地金(インゴット) | 「金属の塊」のことで、鋳塊に流し込んで塊にしたもの 国際的に規格が統一され、刻印にはブランド名、重さ、純度、シリアルナンバー等が記される |
金貨(金現物) | コインの形をしたもので、1/10オンス、1/4オンス、1/2オンス…等のサイズに分けられる ※記念金貨については、額面価値が保証されています |
純金積立 | 一定額で金地金を積立購入する金融商品のこと 受取は現金または現物 |
その他 | 装飾品、美術品、祭具等の素材に金を使用している場合がある 評価方法、評価額ともに金地金等とは異なる点に注意 |
金・金地金を相続するメリット
金・金地金を相続するメリットは、下記の通りです。
- 不動産や株式と比べ、分割しやすい
- 維持費がかからない
1.不動産や株式と比べ、分割しやすい
不動産や株式等の相続財産に比べ、金地金は売却が容易で、価格が安定している特徴があります。
不動産の場合 | 売却を希望しても、購入希望者がすぐに現れるとは限らない 立地条件等により価格にばらつきがある 相続開始時の権利関係が複雑な場合、手間と時間がかかる |
株式の場合 | 売却時の価格が必ず購入額を超えるとは限らない |
このため、金地金に関する相続手続に長期を要することはほとんどなく、他の相続人との関係が悪化するリスクも低いと言えます。
2.維持費がかからない
金の場合、1kg当たりでも数100万円の価値を持つ一方で、変質や腐敗の心配がなく、保管も容易な特徴があります。
また、不動産や自動車のように所有しているだけで課税対象となることもなく、維持費がかかりません。
金・金地金を相続する際の注意点
金・金地金を相続する際は、下記に注意しましょう。
- 保有している期間に収益は得られない
- 売却時の手数料が高く、税金がかかる
- 価格が変動する
1.保有している期間に収益は得られない
預金等の場合、保有期間に応じて利息が付きますし、株式の場合は配当金を受けられることもあります。
いっぽう、禁止産の場合は保有しているだけでは利息や配当がなく、他者に貸し出すこともできないため、収益に繋がることはありません。
2.売却時の手数料が高く、税金がかかる
金を売る際、買取手数料がかかります。
一般的には、買取価格の10%~30%が相場といわれ、決して安いとは言えません。
小売価格と買取価格の間には差がありますので、小売価格が上がったからといって買取価格も上がっているとは限りません。
また、金の譲渡所得は総合課税に分類され、給与所得等と合算した金額に累進税率を適用されるため、所得額が高い相続人の場合には注意が必要です。
少額ずつ売買する場合、都度手数料がかかり、かえって損をする可能性があります。
3.価格が変動する
金の価格は変動するため、手元に残る現金と相場が同額になるわけではありません。
このため、相続時の価格で相続しても売却時には他の相続財産より値が下がる可能性があります。
金・金地金の相続手続
相続税の評価方法と評価額
金・金地金を相続した場合、相続税の課税対象です。
(1)相続発生日の価格
金地金の相続税評価には、相続発生日の業者買取価格を使用します。
- 金地金の相続税評価額=1gあたりの業者買取価格×重量
ただし、相続開始日に価格が公表されていない場合には、1番近い日の買取価格にて算定します。
死亡日の前日・翌日ともに価格が公表されている場合、両日の平均値にて算定することになります。
(2)業者買取価格の確認方法
金地金の業者買取価格は、一般社団法人日本金地金流通協会に掲載される業者に確認するのが一般的です。
買取価格の問い合わせの際、下記を控えておくと円滑に対応してもらえるかと思います。
地金番号 | いわゆるシリアルナンバーのこと |
重量の表示 | 金地金の重量 |
商標 | 金地金を製錬した業者の名前、マーク |
品位表示 | 純度を指し、24分率(カラット)や1,000分率で記載される |
純金積立や貴金属業者の預りサービスを利用している場合には、サービス提供者に直接問い合わせましょう。
国内外いずれの場合も貴金属業者に直接問い合わせると教えてもらえますが、各社ホームページに価格を掲載しているので、いずれかの方法を検討しましょう。
(3)相続税の基礎控除額
相続税には、下記の基礎控除額が設けられています。
- 基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
これを上回る部分に対し、相続税率がかけられます。
(3)相続税の申告・納付期限
相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。
期間内の申告・納付が難しい場合、余裕をもって所轄税務署までご相談ください。
(4)相続後に売却した場合
金を現物で相続し、後に売却した場合には、原則、譲渡所得として給与所得等とあわせ「総合課税」の対象となります。
この場合、下記のように金地金の所有期間に応じて譲渡益が異なります。
所有期間が5年以内の場合 (総合課税の短期譲渡所得) | ・譲渡価額-(取得費+譲渡費用)=金地金の譲渡益 ・{[金地金の譲渡益]+[その年の金地金以外の総合課税の譲渡益]}-譲渡所得の特別控除50万円=課税される譲渡所得の金額 |
所有期間が5年を超える場合 (総合課税の長期譲渡所得) | ・譲渡価額-(取得費+譲渡費用)=金地金の譲渡益 ・{[金地金の譲渡益]+[その年の金地金以外の総合課税の譲渡益]}-譲渡所得の特別控除50万円=譲渡所得の金額 ・(譲渡所得の金額)× 1/2 = 課税される譲渡所得の金額 |
譲渡所得の特別控除の額は、「その年の金地金の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円」であり、50万円までではありません。
このため、譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額が上限となります。
金の相続手続に関するよくある質問(FAQ)
(1)金を隠せば税務署にばれないのでは?
残念ながら、ばれる可能性が高いです。
- 税務調査
- 取引業者が提出した書類
基本的に、税務署は被相続人が保有していた財産について、調査に必要な権限を全てもっているため、少しでも疑われる場合には徹底的に調べられます。
このうち、金地金購入時に動いた金額を見過ごされる可能性は極めて低く、隠し通すことは困難と言わざるを得ません。
法律を守り、正しく節税していきましょう。
(2)金製の仏具等を購入すれば節税になりますか。
原則、仏具等は非課税ですが、購入目的が「節税」の場合には、「商品、骨とう品又は投資の対象」として課税されると考えられます(出典:相続税法基本通達12-2)
金・金地金の相続に必要な手続、注意点まとめ
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