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当ページでは、退職後の休業補償と注意点を解説します。
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退職後の労災保険
結論から言うと、退職後も労災保険は継続します。
補償を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。
引用:労働基準法 第83条
労災保険の支給条件
労災保険のうち、休業補償を受けるには、下記の支給条件を満たす必要があります。
- 業務上の事由または通勤途中のケガ・病気による療養であること
- 労働することができないこと
- 賃金を受けていないこと
(1) 休業補償給付の終了条件
下記に該当する場合、休業補償は終了します。
- 休業補償の要件を満たさなくなった場合
- 傷害補償年金に移行した場合
労災保険の支給期間
労災保険の支給対象は、下記の通りです。
支給の対象 | 休業4日目から |
支給の内容 | 給付基礎日額の80% (保険給付60%+特別支給金20%) |
(1) 支給終了時期
休業補償給付は、労災認定の対象となる病気やケガが治癒し、再び仕事ができるようになったときに打ち切られます。
治ゆとは、傷病の状態が安定し、医学上一般に認められる医療を施しても、その効果が期待できなくなった状態を指し、身体が完全に回復した状態ではない点に注意が必要です。
逆に言えば、症状が残っている場合でも、医師から「治ゆ」と判断されると、休業補償は打ち切られます。
(2) 傷害補償年金
療養開始から1年6か月を経過してもなお、そのケガや病気が治らず、傷病等級表に定められる傷病等級に該当する場合、傷病(補償)年金が支給されます。
この場合、休業(補償)給付は停止となり、両者が併給されることはありません。
退職後の給付関係
休業(補償)給付の受給中に、会社を退職(定年退職を含む)、または会社が倒産した等の理由があった場合でも、支給要件を満たす限りは給付継続となります。
(1) 退職後に労災保険を申請する場合
退職後、労災保険の申請をすることができます。
労災指定医療機関を受診する場合 | 「療養(補償)給付申請書」を病院の窓口に提出 |
労災指定医療機関以外を受診する場合 | 治療費を自己負担し、後日「療養(補償)給付申請書」を労働基準監督署に提出 |
受給中に解雇された場合
労働災害により休業している労働者について、会社は、一方的に解雇することを制限されます。
正当な理由がない場合の一方的な解雇は「不当」とされ、無効になる可能性がありますが、退職勧奨が行われ、自主的に応じた場合には「解雇」に該当しません。
労災保険の申請に関する注意点
退職後に労災申請を行う場合、下記の時効期間に注意しましょう。
療養(補償)給付 | 療養の費用を支出した日ごとに請求権発生 その日の翌日から2年 |
休業(補償)給付 | 賃金を受けない日ごとに請求権発生 その日の翌日から5年 |
遺族(補償)給付 | 被災労働者が死亡した日の翌日から5年 |
葬祭料 (葬祭給付) | 被災労働者が死亡した日の翌日から2年 |
傷病(補償)年金 | 請求につき、時効なし |
傷害(補償)給付 | 傷病が治ゆした日の翌日から5年 |
介護(補償)給付 | 介護を受けた月の翌月1日から2年 |
退職後に失業保険の受給を希望する場合、労災保険の休業(補償)給付を受けることができない点に注意が必要です。
退職後の労災保険関係と注意点まとめ
当ページでは、退職後の休業補償と注意点を解説しました。