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当ページでは、通関士の業務と、資格取得に関する概要を解説します。
Contents
通関士とは
通関士(英語表記:Registered Customs Specialist)とは、通関業務を適正に行う目的で実施される通関士試験の合格者を指します(通関業法 第25条)
通関業務とは、輸出入を行う事業者・企業に代わり、税関官署へ申請し、配送の手配をする業務をいい、財務大臣の許可を取得して行うのが一般的です。
通関士は、貿易業界における税理士・行政書士等にあたりますが、独立開業向けの資格とは言い難い側面もあります。
(1) 通関業者と輸入代行業者との違い
輸入代行業者とは、代行を希望する者を募集し、代行業者の名前で輸入を行った品物を依頼人に転売する事業者を指します。
いっぽう、通関業者の場合、輸出入を行う本人の名前で輸出入業務を代理する点で異なります。
通関士の業務
通関士が行う業務は、下記の通りです。
- 通関手続の代理
- 通関書類の作成
- 不服申立ての代理
- 税関に対する主張・陳述の代行
1. 通関手続の代理
通関手続は、「輸出業務」「輸入業務」に大別されます。
分類 | 主な流れ |
---|---|
輸出業務 | 1.契約締結 2.貨物の通関依頼 3.貨物を保税地域へ運搬 4.輸出申告 5.書類審査・現物検査 6.輸出許可の取得 7.貨物の船籍 8.船荷証券の発行・受渡し 9.輸出許可書・船籍書類の受渡し 10.決済 |
輸入業務 | 1.貨物を保税地域へ運搬 2.輸入申告 3.関税・消費税納付 4.輸入許可の取得 5.貨物の引取 |
2. 通関書類の作成
通関士は、在籍している通関業者が税関官署に提出する下記の書類について、審査・記名する必要があります(通関業法 第14条)
- 輸出申告書(積戻し申告書)
- 輸入(納税)申告書
- 船(機)用品積込承認申告書
- 蔵入、移入および総保入承認申告書
- 保税展示場に入れる外国貨物に係る申告書
- 保税工場、総合保税地域において外国貨物を保税作業に使用すること、あるいは、総合保税地域で外国貨物の展示等を行う場合の承認申請書
- 不服申立書
- 関税に係る修正申告書および更正請求書
上記は、あくまで「通関士に審査・記名させるべきもの」として定められている書類であり、輸出入について必要な書類は多岐に渡ります。
3. 不服申立ての代理
通関士は、依頼人の不服申立て手続を代理することができます。
不服申立てとは、依頼人が申請した輸出入について、不許可処分となった場合等に異議を申立てる制度をいいます。
不服を申立てるには、決められた様式・手順に従う必要があり、専門的な知識を求められるため、通関士の腕の見せ所でもあります。
4. 税関に対する主張・陳述の代行
通関士は、依頼人に対し、税関が行う調査・処分等への主張・陳述を代行することができます。
具体的には、調査等の実施現場に立会い、税関職員からの質問等に対し、依頼人に代わって意見を述べ、主張します。
通関士になる方法
通関士になるには、下記の流れを経る必要があります。
- 通関士試験に合格する
- 通関業者に就職する
- 勤務先の申請により、財務大臣の確認を受ける
1. 通関士試験に合格する
通関士になるには、毎年行われる通関士試験を受験し、合格する必要があります。
1-1. 通関士試験の日時
例年、7月1日に通関士試験の公告が行われ、10月の第1日曜日に実施されます。
1-2. 受験資格
特別な資格は不要で、学歴、年齢、経歴、国籍等を問わないため、どなたでも受験可能です。
1-3. 試験内容
通関士試験では、下記の科目より出題され、合格基準は各科目60%以上の得点とされます。
科目 | 配点 | その他 |
---|---|---|
通関業法 | 45点 | |
関税法 関税定率法その他関税に関する法律 外国為替及び外国貿易法(第6章) | 60点 | その他完成に関する法律とは 1.関税暫定措置法 2.日米地位協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律 3.コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行う貨物の国際輸送に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律 4.物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律 5.電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律 |
通関書類の作成要領その他通関手続の実務 | 45点 |
1-4. 試験方式
全問マークシートです。
1-5. 通関士試験の科目免除
下記に該当する場合、一部科目免除を受けることができます。
-
通関業者の通関業務又は官庁における関税その他通関に関する事務(税関の事務及びその監督に係る事務をいう。)に従事した期間が通算して15年以上になるとき
-
通関業者の通関業務又は官庁における通関事務(税関における貨物の通関事務(その監督に係る事務を含む。)をいう。)に従事した期間が通算して5年以上になるとき
1に該当する場合、通関業法のみを受験すればよく、他2科目は免除となります。
2に該当する場合、通関書類の作成要領その他通関手続の実務が免除され、他2科目のみ受験することになります。
2. 通関業者に就職する
通関士試験に合格しただけでは通関業務に従事することはできないため、自身で通関業者として起業する、または通関業者への就職を検討します。
一般的な就職先は、下記の通りです。
- 通関業者
- 運送・航空・船舶会社
- 倉庫会社
- 貿易会社 など
3. 勤務先の申請に基づく財務大臣の確認
就職後、勤務先から財務大臣に登録申請を行い、確認を受けると晴れて通関士となります。
ただし、財務大臣による確認を受けるには、下記の要件を満たす必要があります。
- 通関士試験の合格者であること
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者でないこと
- 禁錮以上の刑を受け、その執行を終え、または執行を受けることがなくなった日から3年を経過していない者でないこと
通関士の業務、通関士になる方法まとめ
当ページでは、通関士の業務と、通関士になる方法を解説しました。