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当ページでは、小規模企業共済に加入するメリットと注意点、加入方法を解説します。
Contents
小規模企業共済とは
小規模企業共済とは、個人事業主や、法人の役員向けの精度を指し、個人で一定金額を積み立てる精度です。
加入対象者
小規模企業共済に加入できるのは、下記に該当する人です。
業種 | 常時使用従業員数 または、組合員数 | 経営者・役員 | 個人事業主の 共同経営者 |
---|---|---|---|
建設業 製造業 運輸業 宿泊業・娯楽業 不動産業 農業 | 20人以下 | 可 | 可 |
卸売業・小売業 サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 | ||
企業組合 協業組合 | 20人以下 | 不可 | |
農事組合法人 | |||
士業法人 (弁護士、税理士等) | 5人以下 |
加入できない場合
下記に該当する場合、小規模企業共済に加入することはできません。
- 給与所得のある会社員
- 個人事業の事業専従者、従業員
- 医療法人、学校法人、社団法人、NPO法人等の非営利法人の役員
- 登記簿謄本に役員登記されていない役員
- 生命保険外務員
- 学業を本業とする全日制高校生 など
小規模企業共済とiDeCoの違い
iDeCo(確定拠出年金)とは、私的年金を指します。
iDeCoの場合、会社員や公務員も加入できるいっぽうで、小規模企業共済は、個人事業主や中小企業の役員でなければ加入できない点で異なります。
また、小規模企業共済は中途解約可能ですが、iDeCoは60歳まで支払を受けることができない点でも異なります。
小規模企業共済と厚生年金・国民年金の違い
厚生年金は、社会保障の一環年、会社員・役員全員に加入義務が課される制度を指します。
国民年金は、20歳以上の国民全員に加入義務が課される制度です。
いずれも、保険料が全額所得控除の対象となる点は小規模企業共済と同様ですが、小規模企業共済の加入は任意であり、運用益が加算される点が異なります。
小規模企業共済のメリット
小規模企業共済に加入する場合、下記のメリットがあります。
- 毎月の掛金を所得控除に算入できる
- 掛金の月額を増減できる
- 受取りについて、一括・分割を選択できる
- 低金利で貸付制度を利用できる
- 老後資金を積み立てられる
1. 毎月の掛金を所得控除に算入できる
小規模企業共済では、支払った金額を全額所得控除にて差し引くことができます。
このため、現在の税金を抑えることができます。
2. 掛金の月額を増減できる
小規模企業共済の掛金は、1,000円から70,000円までの範囲内において、500円単位で自由に設定することができます。
これは、加入後にも変わらないため、経営状態が芳しくない場合には減額するほか、一次的に支払を止めることも可能です(「掛け止め」といいます)
3. 受取りについて、一括・分割を選択できる
小規模企業共済の掛金について、退職・廃業時に受け取ることができます。
保険等のように、満期等が設けられているわけではなく、加入者自身で「一括」「分割」のいずれか、または両方を選択することができます。
一括の場合は退職所得、分割の場合は雑所得となる点に注意しましょう。
4. 低金利で貸付制度を利用できる
小規模企業共済に加入している場合、それまでの掛金に応じ、下記のような貸付を受けることができます。
- 一般貸付
- 緊急災害時貸付
- 創業転業時・新規事業展開等貸付
- 福祉対応貸付
- 緊急経営安定貸付
- 事業承継貸付
- 廃業準備貸付
上記の利率は、年0.9~1.5%と良心的な特徴がありますが、借入金の返済が滞った場合には、年利14.6%の延滞利息が発生する点に注意が必要です。
5. 老後資金を積み立てられる
個人事業主や中小企業の経営者の場合、原則、廃業時・承継による退任時に退職金をもらうことはできません。
このため、現役の間に自身で老後資金を積み立てなければなりません。
小規模企業共済は、このような人達の老後に備えるために発足した制度で、一定要件を満たすことで、廃業時や引退等のタイミングでまとまった金銭を受け取ることができます。
会社員の場合、勤務先から退職金等を受け取ることも可能ですが、個人事業主には、このような制度がなく、自分で積み立てる必要があります。
小規模企業共済に加入する際の注意点
小規模企業共済に加入する場合、下記に注意しましょう。
- 資金が長期間ロックされる
- 受取り時に課税される
1. 資金が長期間ロックされる
小規模企業共済では、掛金納付月数が一定期間に満たない場合、共済金や手当金等を受け取ることができません。
また、掛金納付月数が20年(240月)未満で任意解約した場合、受け取る金額を掛金合計額が上回るため、元本割れとなる点に注意が必要です。
2. 受取り時に課税される
小規模企業共済の掛金は、全額控除の対象となりますが、受け取る際は「退職食徳」「雑所得」のいずれかが課税されます。
ただし、退職所得の場合は他の所得と分離され、重税とはなりません。
小規模企業共済の貸付制度
小規模企業共済には、「共済契約者貸付」として、各種貸付制度が設けられています。
1. 貸付限度額
借入の限度額は、掛金の範囲内において、5万円単位で設定されます。
区分 | 借入条件 | 限度額 | 利率/年 |
---|---|---|---|
一般貸付 | 事業資金を迅速に借り入れる場合 | 10-2,000万円 | 1.5% |
傷病災害時貸付 | 疾病・負傷による入院 災害等により被害を受けた場合 | 50-1,000万円 | 0.9% |
創業転業時・新規事業展開等貸付 | 新規開業・転業に際し、事業多角化に資金が必要な場合 | ||
福祉対応貸付 | 共済契約者または同居親族の福祉向上に資金が必要な場合 | ||
緊急経営安定貸付 | 経済環境の変化等により、資金繰りが困難な場合 | ||
事業承継貸付 | 事業承継に際し、事業用資産または株式等の取得に資金が必要な場合 | ||
廃業準備貸付 | 個人事業の廃止、または会社の解散を円滑に行う場合 |
2. 借入期間
各制度の借入期間は、下記の通りです。
区分 | 借入期間 | |
---|---|---|
一般貸付 | 100万円以下 105-300万円 305-500万円 505万円以上 | 6か月、12か月 6か月、12か月、24か月 6か月、12か月、24か月、36か月 6か月、12か月、24か月、36か月、60か月 |
傷病災害時貸付 | 500万円以下 505万円以上 | 36か月 60か月 |
創業転業時・新規事業展開等貸付 | ||
福祉対応貸付 | ||
緊急経営安定貸付 | ||
事業承継貸付 | ||
廃業準備貸付 | 12か月 |
3. 返済方法
借入金の返済方法は、下記の通りです。
区分 | 借入期間 | |
---|---|---|
一般貸付 | 借入期間が6か月または12か月の場合:期限一括償還 24か月、36か月、60か月の場合:6か月ごとの元金均等割賦償還 | |
傷病災害時貸付 | 6か月ごとの元金均等割賦償還 | |
創業転業時・新規事業展開等貸付 | ||
福祉対応貸付 | ||
緊急経営安定貸付 | ||
事業承継貸付 | ||
廃業準備貸付 | 期限一括償還 |
(1) 期限一括償還
期限一括償還とは、返済期日に一括で借入金を返済する方法を指します。
利息は、借入時に一括前払となるため、返済時には元金と同額の資金を支度する必要があります。
(2) 元金均等割賦償還
元金均等割賦償還とは、元金と利息の合計額が返済期間内を通して金等となる返済方式を指します。
毎月の返済額のうち、元金だけを毎月一定額とし、残りの元金に対して利息を計算することになります。
小規模企業共済に加入する際の手続
小規模企業共済に加入するには、代理店窓口にて手続が必要です。
1. 窓口一覧
小規模企業共済の加入は、下記の窓口にて手続を行いましょう。
- 各種金融機関
- 商工会議所・商工会
- 青色申告会
- 中小企業中央会
- 中小企業の組合 など
2. 加入時に必要なもの
加入時には、下記が必要です。
個人事業主の場合 | 確定申告書の控え、または開業届の控え 身分証明書 印鑑 |
会社 役員の場合 | 役員であることを確認できる登記簿謄本 身分証明書 印鑑 |
個人事業主の共同経営者の場合 | 共同契約書 確定申告書の控え 身分証明書 印鑑 |
3. 掛金の支払方法
小規模企業共済の掛金は、銀行口座振替申出書を金融機関に提出し、引落しにて支払います。
引落しのタイミングは、初回は加入月の2か月後ですが、申込時に限って一括支払も可能です。
小規模企業共済のメリットと注意点、加入方法まとめ
当ページでは、小規模企業共済に加入するメリットと注意点、加入方法を解説しました。