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当ページでは、iDeCoの年末調整と確定申告の流れ、注意点を解説します。
Contents
iDeCoとは
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、政府が導入した年金積立制度の1つで、個人の将来的な安定を確保するための貯蓄手段の1つです。
(出典:iDeCoの仕組み|iDeCo公式サイト)
iDeCoの特徴
iDeCoには、下記の特徴があります。
- 掛け金は全額「所得控除」対象
- 税制優遇を受けられる
- 運用先を自分で選択できる
1.掛金は全額「所得控除」対象
iDeCoは、1か月あたりの掛け金を5,000円~68,000円の範囲において、1,000円単位で設定することができます。
上限金額は加入資格に応じて異なります。
第1号被保険者 (任意加入被保険者) | 自営業者等 | 月額6.8万円 (年額81.6万円) | |||
第2号被保険者 | 会社員 | (1) 企業型DCの事業主掛金上限 | 5万円以下 | 2万2,500円以下 | |
(2) iDeCoの掛金 | 月額5,000円以上 上限2万円 | 月額5,000円以上 上限1万2,000円 | 月額上限 2万3,000円 | ||
(1)+(2) 合計金額 | 月額5万5,000円以下 | 月額2万7,500円以下 | 月額上限 2万3,000円以内 | ||
公務員等 | 月額1万2,000円 | ||||
第3号被保険者 | 専業主婦(夫)等 | 月額2万3,000円 |
1-1. 令和6年(2024年)12月 iDeCo掛金上限額が引き上げられる
令和6年(2024年)12月、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金・石炭鉱業年金基金・私立学校教職員共済等の他制度に加入している場合を対象に、iDeCoの掛金上限額が下記のように引き上げられます。
現行 | 改正後 | |
---|---|---|
企業型DCのみ加入 | 月額5万5,000円ー企業型DCの事業主掛金 | 月額5万5,000円ー(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金額) 月額上限2万円 |
月額上限2万円 | ||
企業型DC+DC等他制度に加入 | 月額2万7,500円ー企業型DCの事業主掛金 | |
月額上限1万2,000円 | ||
DB等の他制度のみ加入 (公務員を含む) |
1-2. 所得税・住民税が安くなる
iDeCoの掛け金は全額、所得控除の「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
端的にいえば、支払った金額と同額の課税所得が減るため、所得税・住民税が安くなります。
所得税・住民税は「累進課税」の仕組みを利用しており、所得が多い人ほど税額は高くなる一方で、所得控除の範囲が広がることで課税所得が減り、所得税・住民税の節税につながります。
課税所得は、「給与所得(給与収入-給与所得控除)-所得控除」で算出され、納付額の算定時に用いられます。
2. 税制優遇を受けられる
iDeCoに適用される優遇措置は、「所得控除」「運用益非課税」「受取り時」に大別されます。
運用益非課税とは、通常、運用益にかかる20.315%の税率が0%となる制度を指します。
受取時の控除とは、iDeCoを60歳から老齢給付金として受け取る際、「一時金」「年金」「一時金・年金の併用」のいずれを選択しても控除対象となる制度を指します。
2-1. 受取時の控除
iDeCoを受け取る際の控除枠は下記のとおりです。
受け取る方法 | 適用される措置 |
---|---|
一時金 | 退職所得控除 |
年金 | 公的年金控除 |
一時金・年金の併用 | 退職所得控除・公的年金控除 |
3.運用先を自分で選択できる
iDeCoでは、定期預金、投資信託等の方法により、金融機関ごとに運用商品が異なります。
このため、被保険者は、あらかじめ用意される商品から好きなものを選んで投資することができます。
ただし、運用方法、投資先により大きく増える場合もあれば、元本割れすることもあるでしょう。
iDeCoの節税効果
iDeCoによる節税の効果は、年収・掛金により異なります。
下記公式サイトより試算することができますので、iDeCoへの加入を検討する際は試算してみましょう。
(1) 年収500万円・賞与80万円の会社員の場合
年収500万円・賞与80万円の会社員の場合、月額23,000円でiDeCoに加入した場合が下記のとおりです。
iDeCo未加入 | iDeCo加入 | 差額 | |
---|---|---|---|
所得税 | 139,400円 | 111,800円 | 27,600円 |
住民税 | 236,900円 | 209,300円 | 27,600円 |
合計 | 376,300円 | 321,100円 | 55,200円 |
年末調整とは
原則、会社員・公務員等の第2号被保険者がiDeCoの所得控除を受けるには、年末調整での申告が必要です。
年末調整とは、会社が従業員の所得税を精算する手続きを指します。
従業員のiDeCo加入状況について、従業員本人から申告がない限り会社が把握することはできないため、年末調整時には必ず申告しましょう。
毎年10月末頃に届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を提出しましょう。
確定申告とは
確定申告とは、所得税・復興特別所得税額の過不足の清算手続きを指します。
自営業、無職、その他給与所得が2,000万円を超える会社員や、副業等による雑収入が20万円を超える場合、自ら確定申告を行う必要があります。
iDeCoの年末調整の流れ
1. 「小規模企業共済等掛金払込証明書」を保管
毎年10月から11月頃、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届きます。
私のところにも先日(10月下旬)届きました💌
この原本がなければ申告できませんので、必ず保管してください。
証明書では、年間の積立金が証明され、自身が受けられる控除額を計算する際に必要です。
2.「給与所得者の保険料控除申告書」を記入
会社員の場合、年末調整の書類を会社から受取り、提出することになります。
この際、iDeCoに加入している人は「給与所得者の保険料控除申告書」と共に「小規模企業共済等掛金払込証明書」を提出します。
「給与所得者の保険料控除申告書」の右下に小規模企業共済掛金控除の枠があるので、このうち「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に、証明書通りの額面を記載してください。
その年の10月以降にiDeCoに加入された方は、11月末以降に証明書が届くようです。
会社が指定する提出期限に間に合わなければ、翌2月から3月の間に自分で確定申告をしましょう。
3. 期限内に担当者へ提出
必要事項を記入したら、会社の指定期限までに書類を提出しましょう。
間に合わなければ2月以降、ご自身で確定申告を行って下さい。
iDeCoの確定申告(個人事業)の流れ
自営業者は、ご自身で確定申告を行うことになるため、この時に併せて手続を行います。
確定申告書の第一表「所得から差し引かれる金額>小規模企業共済掛金控除」の欄に払込金額を記入したら、国民年金基金連合会から受け取った「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して提出しましょう。
iDeCoの掛金を申告することで、所得税が減額されます。
e-Taxで申告される場合、画面で指示されるとおりに入力して下さいね。
所得税の還付方法
所得税について、勤務先の年末調整終了時期により異なりますが、早ければ12月中、遅くとも翌年1月中には還付を受けられます。
還付の受け取り方法は、手渡し、給与とあわせて振込、または分けて振り込まれる方法があり、こちらも勤務先により異なります。
勤務先が発行する給与明細等を確認しましょう。
確定申告の場合、4月から5月にかけて指定口座に還付されます。
住民税の場合
住民税の場合、所得税とは異なり、還付されることはありません。
所得控除に対応する部分については、翌年6月以降の住民税に反映され、5月から6月頃に「住民税決定通知書」により知ることになります。
確定申告を行った場合、個人あてに「納税通知書」「納付書」が送付されるため、金融機関にて一括・分割(4期)にて住民税を納付しましょう。
iDeCoの年末調整・確定申告の流れまとめ
当ページでは、iDeCoの年末調整と確定申告手続きの流れを解説しました。