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当ページでは、グランピング施設の開業に必要な許可と手続、注意点を解説します。
Contents
グランピングとは
グランピングとは、テント・コテージ等の宿泊施設があらかじめ用意されているキャンプ施設を指します。
グランピング開業に必要な許可
グランピング施設を経営するには、原則、旅館業法の許可が必要です。
旅館業法とは
旅館業法とは、施設内に宿泊できる場所・寝具等を用意し、不特定多数の人に公告・宣伝し、利用料金をもらって継続的に宿泊してもらう際に適用される法律を指します。
このため、下記に該当する場合には、旅館業法の許可は不要だと考えられます。
- 家族や友人を時々泊める
- 広告宣伝をせず、知人を泊める
- テント・寝袋等を貸し出すのみにとどめ、顧客自身に設置してもらう
- 日帰りのみを対象とする
- 宿泊・利用料を徴収しない
旅館業許可の種類
取得すべき許可は、下記から選択することになります。
区分 | 面積基準 | 定義 |
---|---|---|
旅館・ホテル営業 | 7㎡以上/室 (ベッドがある場合は9㎡/室) | 施設を設け、人を宿泊させる営業 |
簡易宿所営業 | 33㎡/室 (10人未満は3.3㎡×人数 以上) | 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備をメインとする施設を設け、人を宿泊させる営業 |
下宿営業 | 面積基準なし | 施設を設け、1か月以上の期間を単位として宿泊刺せる営業 |
上表より、ほとんどのグランピング施設は簡易宿所営業に該当すると思われますが、宿泊棟の数・規模により、旅館・ホテル営業の許可取得が必要な場合もあるため、注意が必要です。
簡易宿所営業許可 取得要件
簡易宿所営業許可を取得するには、下記を満たす必要があります。
- 人
- 設置場所
- 構造設備
1. 人
下記に該当する場合、簡易宿所営業許可申請を行うことはできません(旅館業法 第3条第2項各号)
- 心身の故障により旅館業を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくはこの法律に基づく処分に違反して罰金以下の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者
- 第八条の規定により許可を取り消され、取消しの日から起算して三年を経過していない者
-
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から起算して五年を経過しない者(第八号において「暴力団員等」という。)
-
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
-
法人であつて、その業務を行う役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
-
暴力団員等がその事業活動を支配する者
2. 設置場所
グランピング施設を設置する場所について、原則、下記の法令による規制を受けます。
- 旅館業法
- 都市計画法
- 農地法
- 建築基準法
- 消防法 など
2-1. 旅館業法上
簡易宿所営業許可申請に係るグランピング施設を設置する場所が、下記の施設の周囲から概ね100mの区域内にある場合、グランピング施設の設置により、当該施設の清純な施設環境が著しく害するおそれがあると認められると、簡易宿所営業許可を受けることができません(旅館業法 第3条第3項各号)
- 学校 及び 幼保連携型こども園(大学を除く)
- 児童福祉施設
- 社会教育に関する施設で、都道府県が条例で定めるもの
2-2. 都市計画法
グランピング施設の設置場所について、旅館業法のほか、都市計画法で定められる用途地域による規制対象となります。
グランピング施設を設置する場所は、下記の用途地域内に限られる点に注意しましょう。
- 第1種住居地域
- 第2種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 無指定地域
2-3. 農地法
都市計画法の対象外となる地域であっても、グランピング施設の設置・営業は可能です。
ただし、農地法で定める農地に該当する土地を利用することはできない点にも注意が必要です。
農地を買い上げ、グランピング施設に供する場合、あらかじめ農地転用許可申請が必要となります。
2-4. 建築基準法
グランピング施設の設置について、建築物の敷地・構造・設備・用途に関する基準を定める建築基準法の規定に従う必要があります。
グランピングに使用する宿泊施設が、解体・移動可能なテントの場合、建築確認がいらない場合も多いのですが、場合によっては必要となるため、グランピング施設を設置する場所を管轄する土木事務所等に事前確認を行いましょう。
2-5. 消防法
原則、グランピング施設について簡易宿所営業許可申請を行う際、消防法令に適合することを証す「消防法令適合通知書」の提出が必要です。
消防法令適合通知書とは、管轄の消防本部に消防設備の配置図等を持参し、事前協議を経て、現地調査を受けることで交付される書類です。
営業予定地が防火地域・準防火地域に該当する場合、使用する素材等の規制が厳しくなりますので、早めの確認がオススメです。
3. 構造設備
グランピング施設の構造設備について、下記の要件を満たす必要があります(旅館業法施行令第 1条)
- 客室の延床面積は、33㎡(宿泊者の数を10人未満とする場合、3.3㎡に当該宿泊者の数を乗じて得た面積)以上であること
- 階層式寝台を有する場合、上段と下段の間隔は、おおむね1m以上であること
- 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること
- 当該施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き、宿泊
者の需要を満たすことができる規模の入浴設備を有すること - 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること
- 適当な数の便所を有すること
- その他都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること。
3-1. 客室面積
グランピング施設について簡易宿所営業許可申請を行う場合、客室の数に制限はありません。
ただし、利用者数1人について3.3㎡以上の面積が必要な点には注意しましょう。
例えば、5人で利用する場合は16.5㎡、10人での利用は33㎡が必要ですね。
3-2. 入浴設備・洗面設備・トイレ
入浴設備・洗面設備・トイレについて、明確な数値は示されていません。
一般的には、設置する棟数の3分の1から半数程度が理想とされています。
水回りが綺麗な施設は利用者も嬉しいポイントですよね。
簡易宿所営業許可申請の流れ
簡易宿所営業申請は、下記の流れで行います。
1. 事前相談
グランピング施設の設置について、営業予定地を管轄する消防署、土木事務所、保健所に事前相談を行います。
2. 許可申請
2-1. 必要な書類
簡易宿所営業許可申請では、下記の書類が必要です。
- 旅館業営業許可申請書
- 定款 若しくは 寄付行為の写し 又 は登記事項証明書(法人の場合)
- 営業施設の敷地周辺の見取り図
- 営業施設の配置図
- 営業施設の平面図面及び立面図
- 玄関帳場の展開図(旅館・ホテル営業の場合)
- 水質検査成績書(水道水以外を使用する場合)
- 構造設備の基準の特例に該当する場合には、特例に該当することを確認するために必要な事項が記載された書類
- その他都道府県知事等が公衆衛生上又は善良の保持上必要があると認める書類
必要書類は自治体により異なる場合も多いため、事前確認でしっかり抑えておきましょう。
2-2. 申請先
申請先は、営業予定地を管轄する保健所です。
3. 施設検査
構造設備要件について、基準に適合するかを確認するため、保健所や消防署等の職員が立入検査を行います。
各自治体の定める条例により満たすべき基準が異なりますので、指摘事項は真摯に受け止め、早急に補正しましょう。
4. 許可・営業開始
許可申請の内容、検査内容に問題がなければ許可されます。
併せて取得したい許可
グランピング施設において、フードやアルコールを提供する場合、下記の許可も検討しましょう。
グランピング施設開業に必要な許可、手続まとめ
当ページでは、グランピング施設を開業する際に必要な許可と手続を解説しました。