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当ページでは、BCP策定の必要性と作成方法を解説します。
Contents
BCPとは
BCP(Business Continuity Planning)とは、災害等の緊急事態における企業・団体の事業継続計画のことを指します。
BCPの目的
BCPは、下記の目的を達成するための手段として策定が推奨されるものです。
- 重要業務の継続・早期復旧
- 事業資産への被害拡大を最小限にとどめる
【参考】事業継続の取組みの特徴
企業が必要な検討を行い事業継続計画を策定・訓練・計画の見直しを行うという取組みは、下記の特徴をもっています。
- 事業に著しいダメージを与えかねない重大被害を想定して計画を作成する。
- 災害後に活用できる資源に制限があると認識し、継続すべき重要業務を絞り込む。
- 各重要業務の担当ごとに、どのような被害が生じるとその重要業務の継続が危うくなるかを抽出して検討を進める。結果としてあらゆる災害が想定される。
- 重要業務の継続に不可欠で、再調達や復旧に時間や手間がかかり、復旧の制約となりかねない重要な要素(ボトルネック)を洗い出し、重点的に対処する。
- 重要業務の目標復旧時間を設定し、その達成に向け知恵を結集し事前準備をする。
- 緊急時の経営や意思決定、管理などのマネジメント手法の1つに位置づけられ、指揮命令系統の維持、情報の発信・共有、災害時の経営判断の重要性など、危機管理や緊急時対応の要素を含んでいる。
(出典:平成25年9月4日付医政指発0904第2号「BCPの考え方に基づいた医療機関災害対応計画作成の手引き」平成25年3月)
(出典:企業等の事業継続・防災評価検討委員会 内閣府防災 担当 「事業継続ガイドライン 第一版 ― わが国企業の減災と災害対応の向上のために ―」平成19年3月)
BCP作成の流れ
BCPは、下記の流れで策定します。
1 | 方針 | BCP策定の目的・方針 |
現状の把握 | ||
2 | 計画 | 検討対象とする災害の特定 |
影響度の評価 | ||
重要な要素の抽出 | ||
3 | 対策 | 必要資源の特定 |
課題の明確化、対策の検討 | ||
改善計画の立案 |
1. 方針
1-1. BCP策定の目的・方針
BCPを策定する際、災害時の事業継続に関する計画作りに取り組むこと、その目的を洗い出し、方針を決定する必要があります。
どの企業・団体でも共通するのは、「緊急時でも事業を継続できる体制を整え、利害関係者に価値を提供し続けること」を目的としていますが、ここから更に踏み込んだ方針を策定しましょう。
1-2. 現状の把握
BCPの策定において、基本方針に沿った活動を行うため、必要な予算・要因等の経営資源と照らし合わせる必要があります。
このため、現在の経営資源等の状態を正確に把握しておくことが不可欠です。
2. 計画
2-1. 検討対象とする災害の特定
BCPは、どのようなリスクが現実化しても、重要な業務を継続することを目的として策定します。
リスクがわからなければ対策を講ずることもできないため、検討対象となる災害を特定しましょう。
2-2. 影響度の評価
BCP策定において、理由を問わず、事業が停止した際に企業に与える影響を評価し、耐えうる時間をはかることで、復旧時間の設定時の目安にすることができます。
具体的には、下記の項目について検討します。
- 生産量の減少
- 利益損失
- 賠償責任金額
- 信用失墜
- 資金繰りの悪化 など
影響度の評価が目的なので、精緻な分析までは不要です。
2-3. 重要な要素の抽出
通常、大規模災害の発生時に業務を行うことは難しいため、重要な業務から優先順位をつけて継続を検討することになります。
このため、想定した災害を念頭に、企業として優先的に継続させるべく重要業務を検討し、決定する必要があります。
停止期間・対応力の見積もりを踏まえ、
(1) 人命への影響
(2) 利益の大きさ
(3) 供給先に与える影響
等を基準に決定するのがオススメです。
重要業務が受けるであろう被害規模に基づき、そこが復旧しない限り再開できない生産・業務等の資源を把握したうえ、いかに復旧日数を短縮するかを検討していきます。
3. 対策
3-1. 必要資源の特定
事業継続のために重要資源を特定し、目標復旧時間までに回復させることを前提に事業継続計画を策定します。
具体的には、下記の通りです。
- 指揮命令系統の明確化
- 重要拠点の機能確保
- 対外的な情報発信・情報共有
- 情報システムのバックアップ
- 製品・サービスの供給
3-2. 課題の明確化、対策の検討
具体的には、下記を明確化し、対策を検討します。
1. 指揮命令系統の明確化 | (1) 災害時の組織体制について、各部門の対策実施本部等を組織化するのが理想 (2) 災害時には日常と異なる業務が発生するため、部門を超えた動員体制の構築が望ましい (3) 災害対策責任者に連絡がつかない場合や、不在時の権限委譲・代位順位をあらかじめ決定する |
2. 重要拠点の機能確保 | (1) 被災地での業務再開のほか、被災地での業務継続を検討 (2) 遠隔地の文書・電子データ保存サービスの活用 (3) 時差を考慮する (4) 自治体等の各種制度・防災隣組の機能等、地域資源の活用 |
3. 対外的な情報発信・情報共有 | (1) 情報収集・伝達、広報体制の確立 (2) 関係当局、周辺住民、サプライチェーン等の関係者との連絡体制の構築 (3) 通信・情報連絡手段の確保 |
4. 情報システムのバックアップ | (1) 守るべき重要業務、情報システムの関係を明確化 (2) バックアップ稼働・切り替え計画、復帰計画の策定 (3) 自家発電装置、電源・回線等の各種設備二重化対策の実施 (4) 遠隔地の文書・電子データ保存サービスの活用 |
5. 製品・サービスの供給 | (1) 被災工場の早期復旧以外に、被災地以外の工場・拠点での代替生産を検討 (2) 部品・材料の供給源となる会社の被災状況予想、代替性の確保、関連会社と協力して事業継続計画を作成するのが望ましい (3) サプライチェーン発注元・発注先の協力を得ておく (4) OEMの実施・同業他社との応援協定を利用 (5) 適正在庫の考え方を見直す |
3-3. 改善計画の立案
業務の迅速な復旧・継続について、非常時優先業務の中でも災害時に発生する固有業務、応援が必要となる業務には、その担当部門がマニュアルを作成しておくと安心です。
マニュアルを作成することで業務を標準化することができ、訓練・研修をしておくと更に安心ですね。
BCP策定後の実施・運用
BCPを策定後、然るべき予算の確保、計画に沿った対応を実施する必要があります。
広域災害時の備え
大規模災害時には、下記の機材を備えておくのが理想です。
- バール
- のこぎり
- スコップ
- ハンマー
- 番線カッター
- ジャッキ
- 簡易ウインチ
- ロープ
- はしご
- 防塵マスク など
計画書・マニュアルの作成
計画は、実践されなければ意味がないため、既存の計画をいかに目標通りに実施・更新していくかがポイントとなります。
1. 計画書・マニュアル
計画書・マニュアルには、下記の内容を記載しましょう。
計画書 | 重要業務を目標復旧時間内にどうやって復旧するかの方法論を記載 |
マニュアル | 対応方針、対応策の社内での確認・周知 人事異動時におけるノウハウの承継、日常の勉強用 |
2. チェックリスト
いくら精緻なマニュアルを作成しても、災害時に開く時間はありません。
そのため、責任者が最低限の実施項目・進捗管理を行うのに必要な手順を定めたチェックリストを作成しておきましょう。
3. 財務手当
被災した場合、事務所・事業所等の損壊の復旧、財務面における信用維持のために資金が必要な場合があります。
これらに対応するため、必要に応じて保険や、金融機関の災害時融資予約等を検討するほか、災害発生後の災害時ローン等を検討しましょう。
4. シミュレーション
計画通り内容が実現可能かどうかの確認、シミュレーションを行いましょう。
5. 教育・訓練
事業継続を実現するには、経営者だけでなく、従業員全員が事業継続の重要性について共通認識をもち、文化として定着することが必要です。
これらを実現するには、日常的に下記のような教育・訓練を継続的に実施するのが効果的・不可欠だといえます。
- 机上訓練
- 意思決定訓練
- 避難訓練
- 消防訓練
- バックアップシステム稼働訓練 など
6. 点検・是正措置
策定したBCPは、定期に取組状況を評価する必要があります。
この中で実施できていないところを把握し、日常業務の中で取り組める点は、都度改善するのが望ましく、評価・改善内容は経営者と従業員との間で共有しましょう。
BCPの必要性、策定手順まとめ
当ページでは、BCPの必要性と策定手順を解説しました。