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特定調停の流れ、必要書類、注意点を解説

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当ページでは、特定調停の流れ、必要書類と注意点を解説します。

特定調停とは

特定調停とは、債務の返済が難しい債務者の経済的再生を図るために、債権者との利害調整を行う手続を指します(出典:特定調停申立てQ&A|裁判所

端的に言えば、将来発生する利息をカットし、毎月の返済額を下げる方法です。

特定調停のメリット

特定調停を利用する場合、下記のメリットがあります。

  1. 不動産・自動車等の財産が手元に残る
  2. 強制執行を止められる
  3. 調停委員が間に入ってくれる

1. 不動産・自動車等の財産が手元に残る

債務整理のうち「自己破産」を利用する場合、原則、債務者の所有する財産は一部を除いた全てが処分対象となります。

いっぽう、特定調停の場合は、不動産・自動車等の財産を回収される可能性は低く、その後の処分・回収を回避することも可能です。

2. 強制執行を止められる

特定調停を申立てた場合、裁判所から債権者に対し「申立受理通知」が送付されます。

通知を受け取った債権者のうち、貸金業者については、貸金業法により取り立てが禁止されるため、取り立てが止まるメリットがあります。

他の債権者についても、差押え・競売等の強制執行手続を停止される可能性が高いため、なるべく早期の申立がオススメです(特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律 第7条)

3. 調停委員が間に入ってくれる

特定調停は、裁判官・調停委員2名で構成される「調停委員会」により行われます。

調停の申立て手続は自分で行うことも可能ですが、債権者との交渉を自分自身で行う必要がないため、債務整理が初めてでも安心して臨むことができます。

また、裁判の場合は公開の法廷で行われますが、調停は原則非公開で行われるため、当事者のプライバシー保護にも繋がります。

個人再生・自己破産の場合は官報に掲載されますが、特定調停はこうした心配もありません。

特定調停の注意点

特定調停を行う際は、下記に注意しましょう。

  1. 手続に手間がかかる
  2. 信用情報機関ブラックリストに登録される
  3. 過払い金の回収はできない
  4. 強制執行の可能性が高まる

1. 手続に手間がかかる

特定調停を利用する場合、裁判所に赴き、手続を行う必要があります。

調停期日は平日となるため、必要に応じ、仕事を調整しなくてはなりません。

債権者が複数いる場合は出廷回数も多くなるため、すべて自分で行う場合には注意が必要です。

2. 信用情報機関ブラックリストに登録される

特定調停を申立てた場合、信用情報機関に事故情報が登録されることになります。

事故情報は、一般的に「完済から5年」は消えず、クレジットカードの新規契約、商品の分割購入が難しくなる等の影響が考えられる点に注意しましょう。

3. 過払い金の回収はできない

一定要件を満たす債務については、過払い金として返還請求を行うことができますが、特定調停とは別の手続が必要な点に注意が必要です。

過払い金を請求するには、貸金業者から取引履歴を取り寄せて調査した後、交渉する必要がありますが、特定調停とあわせて手続をすることはできません。

いっぽう、任意整理・個人再生・自己破産等の方法を選んだ場合には、過払い金返還請求も同時に行えるため、債務整理の方法を選ぶ際には、慎重に検討しましょう。

4. 強制執行の可能性が高まる

特定調停を利用する場合、「調停証書(債権名義)」が作成されます。

債権名義がある場合、債務者が調停証書に記載された内容を履行しない場合、直ちに差押え等の強制執行を申立てることができる等、債権者にとっては大きなメリットがある一方、債務者にとってはデメリットだといえます(民事執行法 第22条)

特定調停の流れ

特定調停は、下記の流れで行われます。

  1. 申立書類の作成
  2. 特定調停の申立て
  3. 事情聴取期日
  4. 調整期日
  5. 成立 または 不成立

1. 申立書類の作成

1-1. 必要な書類

特定調停の申立てには、下記の書類が必要です。

  1. 特定調停申立書
  2. 財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料
  3. 関係権利者一覧表
  4. 申立手数料(収入印紙)
  5. 予納郵便切手
  6. 資格証明書(法人の場合、現在事項全部証明書または代表者事項証明書)

2. 特定調停の申立て

2-1. 申立先

特定調停の申立ては、債権者の住所・居所、営業所、事務所の所在地を管轄する簡易裁判所に行います。

2-2. かかる費用

特定調停の申立てにおいて、相手方1人について、500円分の収入印紙が必要です。

予納郵便切手は、申立先の裁判所により異なる場合があるため、事前に確認しましょう。

3. 事情聴取期日

申立てから約1か月後、事情聴取期日という最初の調停が開かれます。

当日は、申立人である債務者だけが出席し、調停委員に生活状況や収入、今後の返済計画・方法について希望を伝えることになります。

4. 調整期日

事情聴取期日から2週間から1か月後、調停期日が開かれます。

当日は、申立人と相手方が出席し、調停委員を交え、返済方法等について話し合いが行われます。

相手方が裁判所に出頭しない場合、調停委員が相手方と電話で調整を行い、提出された契約書や債権額計算書をもとに、申立人との総債務額を確定することになります。

申立人が返済可能な弁済計画案を立てた後、申立人・相手方の双方から意見を聴いた上、公正かつ妥当な返済方法を調整してもらいます。

5. 成立または不成立

調整の結果、合意に達した場合は、調停成立により手続が終了し、合意内容に従って返済していくことになります。

いっぽう、折り合いが付かない場合は合意ができないまま特定調停終了となり、債務者は特定調停以外の債務整理を検討することになります。

債権者が訴訟を提起する可能性もありますので、特定調停前から弁護士に相談されることをお勧めします。

5-1. 特定調停後の消滅時効

特定調停を利用した場合、消滅時効は更新されます。

通常、貸金業者や金融機関からの借入金(借金)の時効期間は5年間のところ、特定調停後の時効期間は10年間となります。

特定調停の流れ、必要な書類、注意点まとめ

当ページでは、特定調停の流れ、必要な書類、注意点を解説しました。

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カテゴリー: ADR(調停)


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榊原沙奈
(さかきばら さな)
ヲタク行政書士®
やぎ座のO型、平成弐年式
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