当サイトの一部に広告を含みます。
当ページでは、旅館業の定義、開業時に必要な許可、注意点を解説します。
Contents
旅館業とは
旅館業とは、施設を設け、宿泊料をもらって、人を宿泊させる営業を指します(旅館業法 第2条)
各用語の定義は、下記の通りです。
用語 | 定義・判断基準 |
---|---|
宿泊 | 寝具を使用して施設を利用すること |
営業 | 施設の提供が社会性をもって継続反復されていることへの該当性で判断 |
人を宿泊させる営業 | 下記への該当性で判断 ① 施設の管理・経営業態を総合的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること ② 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠をもたないことを原則と し、営業しているものであること |
※旅館業法上、「宿泊料を受けること」が要件なので、宿泊料を徴収しない場合には旅館業法の適用 範囲外となります |
旅館業の種別
旅館業は、下記に分類されます。
1. 旅館・ホテル営業
旅館・ホテル営業とは、施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものを指します(旅館業法 第2条第2項)
2. 簡易宿所営業
簡易宿所営業とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものを指します(旅館業法 第2条第3項)
3. 下宿営業
下宿営業とは、施設を設け、1か月以上の期間を単位とする宿泊料を受け、人を宿泊させる営業を指します(旅館業法 第2条第4項)
4. 住宅宿泊事業(民宿)
住宅宿泊事業(民宿)とは、旅館業の営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業である、宿泊期間が1年間で180泊を超えないものを指します。
旅館業等の規制内容
旅館業等に関する規制は、下記の通りです。
旅館業 | 住宅宿泊事業 | |||
旅館・ホテル営業 | 簡易宿所営業 | 下宿営業 | ||
玄関帳場 (フロント) | ○ | × | × | × |
面積基準 | 7㎡以上/室 (寝台有の場合は9㎡以上/室) | ) 33㎡以上/室 (10人未満は3.3㎡以×人数 以上) | なし | 1人当たり3.3㎡以上 |
住専地域での実施 | × (ただし、条例により規制可能) | ○ | ○ (ただし、条例により規制可能) | |
許認可等 | 許可 | 届出 | ||
日数制限 | × | 年間180日以内 (ただし、条例により規制可能) | ||
住民とのトラブル 防止措置 | × | ○ 標識掲示、苦情対応 | ||
公衆衛生の確保 | (1) 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること (2) 当該施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の入浴設備、適当な規模の洗面設備、適当な数の便所を有すること | (1) 定期的な清掃及び換気 (2) 台所、浴室、便所、洗面設備等当該家屋を生活の本拠として使用するために必要な設備が設けられていること |
1. 客室面積の基準
客室面積について、「旅館・ホテル営業」の場合、原則7㎡以上必要ですが、ベッドを設置する場合はベッド(寝台)のスペースを考慮し、9㎡以上必要としています。
旅館業法に違反した場合の罰則
旅館業法に違反した場合、下記の罰則が科される可能性があります。
- 6か月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれを併科
- 50万円以下の罰金
1. 6か月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれを併科
旅館業法により、許可が必要にもかかわらず、無許可で営業した場合のほか、都道府県知事による許可取り消し、又は1年以内の営業停止命令に違反した場合、6か月以下の懲役 若しくは 100萬円以下の罰金、又は これらの併科となる可能性があります(旅館業法 第10条)
2. 50万円以下の罰金
下記に該当する場合、50万円以下の罰金に処される可能性があります。
- 正当な理由のない宿泊拒否 又は 宿泊名簿関連の義務違反
- 都道府県知事による報告の求めに応じず、若しくは虚偽の報告をし、立入検査を拒み、妨げ、忌避し、質問等に答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした場合
- 都道府県知事による措置命令違反
旅館業許可の申請手続
旅館業許可の申請は、下記の流れで行います。
- 事前相談
- 許可申請
- 審査・検査
- 許可証交付
1. 事前相談
旅館業許可について、営業所の所在地を管轄する保健所に対し、申請場所・構造設備等の図面を持参し、事前相談を行います。
1-1. 設置基準
旅館業を経営するには、旅館業法施行令で定められる構造設備基準に従わなければなりません。
その他、設置場所要件も設けられているため、事前相談時に確認しましょう。
1-2. 欠格要件
下記に該当する場合、許可申請が受け付けられません(旅館業法 第3条第2項各号)
- 心身の故障により旅館業を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
-
禁錮以上の刑に処せられ、又は 旅館業法 若しくは 旅館業法に基づく処分に違反して罰金以下の刑に処せられ、その執行を終わり、又は 執行を受けることがなくなつた日から3年を経過していない者
-
過去に旅館業営業許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
-
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員 又は 暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者
-
営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの
-
法人であって、その業務を行う役員のうちに第1号から第5号までのいずれかに該当する者があるもの
-
暴力団員等がその事業活動を支配する者
2. 許可申請
必要書類が整ったら、許可申請を行います。
2-1. 必要な書類
許可申請時には、下記の書類が必要です。
- 旅館業営業許可申請所
- 申告書
- 見取図
- 配置図、各階平面図、正面図、側面図
- 配管図
- 定款 又は 寄付行為の写し(法人の場合)
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 申請手数料
2-2. 施設完成後に必要な書類
施設完成後、建築基準法に基づく検査済証の写しを提出しましょう。
2-3. 関係機関への相談
申請書を受理された後、建築基準法や消防法等に関する手続きを記載した書面を交付されます。
これらを基に、施設の設置場所を管轄する消防署等への相談を行いましょう。
場合により、防災訓練を求められる場合もありますし、「構造設備意見書」という書類を求められる可能性もあるため、事前に確認しておくと安心です。
3. 審査・検査
審査は、施設が申請内容と一致しているか、許可基準を満たしているかを確認するために行われます。
施設により中間審査を実施する場合もありますが、竣工後の最終審査はすべての施設にて実施されます。
4. 許可証交付
申請内容・審査等により問題がなければ、検査から2週間ほどで保健所長より許可され、営業許可証が交付されます。
旅館業許可取得後の義務
旅館業許可取得後、下記の義務を負います。
定期報告 | 運営者は、地方自治体に対し、定期的な報告義務を負います |
衛生管理 | 宿泊施設について、客室・共有スペース、食堂等、施設全体について衛生管理を徹底する義務を負います 具体的には、定期的な清掃・消毒作業・害虫駆除、食品衛生法に基づく適切な衛生管理など |
従業員教育 | 運営者は、従業員に対し、消防訓練・応急処置・衛生管理・接遇等に関する教育・研修を定期的に実施する義務を負います |
施設の維持・修繕 | 宿泊施設は、建築基準法、消防法等の法令に基づき、老朽化対策、安全設備・防災設備の点検等を定期的に行う必要があります |
災害対策 | 運営者は、避難計画の策定、非常用品の備蓄、従業員への防災訓練等の対策を講じる必要があります |
変更・更新手続 | 申請内容・構造設備に変更が生じた場合、地方自治体に変更・更新手続を行う必要があります |
旅館業の定義、必要な許可、注意点まとめ
当ページでは、旅館業の定義と必要な許可、注意点を解説しました。