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里親制度の種類、対象児童、注意点を解説

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当ページでは、里親制度の種類と対象児童、里親の登録要件、注意点を解説します。

里親制度とは

里親制度とは、親の病気、家出、離婚、その他の事情により家庭での養育が困難 または 受けられなくなった子に、温かな愛情と正しい理解をもつ家庭環境を与え、養育する制度をいいます。

端的に言えば、児童福祉法に基づき、里親を希望する人に子の養育を託す制度です。

里親の種類

里親とは、様々な事情により家庭で暮らせない子を迎え入れ、養育する人を指し、下記の種類に分けられます。

  1.  養育里親
  2.  専門里親
  3.  養子縁組里親
  4.  親族里親

1. 養育里親

養育里親とは、養子縁組を目的とせず、要保護児童を預かり養育する里親を指します。

原則、実親のもとで暮らせるようになるまで養育しますが、成人になるまで委託する場合もあります。

事前に研修を受け、有効期間を5年間とする登録を受け、里親になる類型です。

2. 専門里親

専門里親とは、虐待を受けた児童や、非行等の問題を抱える児童 および 心身に障害を抱える児童など、専門的な知識・サポートを必要とする児童を養育する里親を指します(児童福祉法 第27条第1項第3号)

家庭復帰・家族統合、自立支援を目的とし、専門的な研修の受講が必要です。

養育(委託)期間は2年間、必要に応じて延長がッ認められます。

3. 養子縁組里親

養子縁組里親とは、保護者のいない子や、家庭での養育が困難なことから実親が親権を放棄する意思を明確に示している場合に適している類型で、養子縁組が大前提となります。

児童が6歳未満の場合、特別養子縁組により実子扱いで入籍が可能です(民法 第817条の2)

特別養子縁組では、原則、父母の同意が必要ですが、父母が著しく子の利益を害する事由がある場合等においては、同意鳴なく、特別養子縁組を成立させることができる場合もあります(民法 第817条の6)

4. 親族里親

親族里親とは、3親等以内の親族が死亡、行方不明、拘禁、入院・疾患等により養育できない場合に児童を養育する里親を指します。

親族里親のうち、扶養義務のない叔父叔母等の親族の場合、里親手当が支給されます。

扶養義務とは、直系血族 及び 同居の親族は互いに扶けあうという民法の規定を指します。

里親制度の対象

里親制度の対象児童は、下記の通りです。

種類養育里親専門里親養子縁組里親親族里親
対象児童要保護児童次のうち、都道府県知事がその養育に関し、特に支援が必要と認めたもの
(1) 児童虐待等の行為により心身に有害な影響を受けた児童
(2) 非行等の問題を有する児童
(3) 身体・知的障害 又は 精神障害がある児童
要保護児童次の要件に該当する要保護児童
(1) 当該親族里親に扶養義務のある児童
(2) 児童の両親 その他 当該児童の監護者が死亡、行方不明、拘禁、入院等の状態になったことにより、これらの者による養育が期待きないこと
登録里親数11,853世帯715世帯5,619世帯610世帯
委託里親数3,774世帯171世帯353世帯565世帯
委託児童数4,621人206人384人808人
出典:里親制度の概要

里親に支給される手当等

里親には、下記の手当が支給されます(※令和4年度単価)

(1) 里親手当(月額)

養育里親90,000円(2人目以降:90,000円)
専門里親141,000円(2人目:141,000円)

(2) 一般生活費(月額)

一般生活費とは、食費、被服費等を指し、1人辺り 下記の金額が支給されます。

乳児60,390円
乳児以外52,370円

(3) その他

上記のほか、下記の金額が支給される場合があります。

  • 幼稚園費
  • 教育費
  • 入進学支度金
  • 就職支度金
  • 大学進学等支度費
  • 医療費
  • 通院費 など

里親登録(認定)要件

里親登録を受けるには、下記の要件を満たす必要があります。

  1.  要保護児童の養育についての理解 及び 熱意 並びに 児童に対する豊かな愛情を有していること
  2.  経済的に困窮していないこと(親族里親は除く)
  3.  里親本人 又は その同居人が次の欠格事由に該当していないこと
    ア 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は 執行を受けることがなくなるまでの者
    イ 児童福祉法等、福祉関係法律の規定により罰金の刑に処され、その執行を終わり、又は 執行を受けることがなくなるまでの者
    ウ 児童虐待 又は 被措置児童等虐待を行った者 その他 児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者

上記に加え、里親の区別ごとに下記の要件を満たすことが求められます。

1. 養育里親

養育里親として登録を受けるには、養育里親研修を修了する必要があります。

2. 専門里親

専門里親として登録を受ける場合、下記を満たす必要があります。

  1.  専門里親研修を修了していること
  2.  次のいずれかに該当すること
    ア 養育里親として3年以上の委託児童の養育経験があること
    イ 3年以上児童福祉事業に従事した者であり、都道府県知事が適当だと認めたこと
    ウ 都道府県知事がア または イに該当する者と同等以上の能力があることを認めた者であること
  3.  委託児童の養育に専念できること

3. 養子縁組里親

養子縁組里親として登録するには、養子縁組里親研修を修了する必要があります。

このほか、下記の事項を踏まえて検討されます。

  • 一定の年齢に達していること
  • 夫婦共働きであること
  • 特定の疾病に罹患した経験があること
  • 子の成長過程に応じ、必要な気力、体力、経済力等があること など

4. 親族里親

親族里親として認定を受けるには、下記を満たす必要があります。

  • 要保護児童の扶養義務者 及び その配偶者である親族であること
  • 要保護児童の両親等が死亡、行方不明、拘禁、疾病による入院等の状態になり、これらの者による養育が期待でない場合に養育を希望する者であること

里親委託ガイドラインでは、里親の年齢上限について明記していませんが、「子が20歳に達するとき、里親の年齢が概ね65歳以下であることが望ましい」としています。

里親研修と登録の流れ

里親登録を希望する場合、下記の流れで手続を行います。

  1.  講演会・説明会への参加
  2.  里親希望
  3.  児童相談所・里親支援機関によるガイダンス
  4.  基礎研修・実習
  5.  登録前研修・実習
  6.  修了証の交付
  7.  里親登録

里親登録の後、対象児童と面談を行い、里親として委託を受けることになります。

里親は、5年ごと(専門里親は2年)に更新研修を受講し、修了認定を受ける必要がある点に注意しましょう。

里親申請の方法

里親申請は、研修の修了証をもって、児童相談所にて行います。

申請後は児童福祉審議会で審議され、適格性を判断されることになります。

里親になるまでの流れ

申請から里親になるまでの流れは、下記の通りです。

  1.  児童紹介
  2.  面会
  3.  交流
  4.  委託
  5.  措置解除

児童は、児童相談所から紹介され、担当の児童福祉司による説明を受けた後、面会を重ねます。

面会交流は概ね1か月~3か月程度をかけ、段階的に行います。

外出、外泊等を行い、総合的に判断されます。

委託中は児童相談所からの定期的な訪問を受け、必要に応じて委託期間を更新・延長します。

委託の終了は、児童の家庭からの引取、満年齢を迎えたこといよる委託措置等によります。

里親に関するよくある質問(FAQ)

1. 施設より里親を優先する理由は?

施設の場合、集団生活に落ち着かない場合や、職員の入れ替わりにより子の精神的な支柱が失われる可能性があるうえ、乳幼児の「愛着障害」が懸念されます。

いっぽう、里親の場合は、同一の大人が一緒にいることで、子が人として外部に興味をもち、安心して成長できることが期待できるため、里親が優先されます。

2. 里親になるための資格は?

里親になるために特別な資格は不要ですが、所定の研修を受ける必要があります。

親族里親、養子縁組里親の場合、研修は必修ではありません。

3. 委託を受けた後での解除は可能か?

不可能ではありませんが、里親サロン等の会合に参加し、悩みを共有することや、里親支援機関への相談をすすめられることになります。

状況によりますが、子は、あなたが本当に自分を愛してくれるのか不安定な状態であり、子どもなりに精一杯行動している可能性があります。
このため、一次的な感情による解除は受け入れられない可能性が高いことに留意しましょう。

4. 里親手当は課税対象か?

里親手当は、「雑所得」として課税対象となります。

ただし、控除後の額が課税対象となるため、経費の支出内容は明確にしておくことを全国里親会は推奨しています。

また、委託を受ける児童は、原則、所得税法上の「扶養親族」とみなされ、扶養控除の対象となります(児童福祉法 第4条第1項、第31条第2項 等)

判定時点において、年齢が18歳未満である場合に限られる点と、今後の動向に注意しましょう。

5. 児童と里親はどのような関係になるか?

児童と里親は、戸籍上「縁故者」と記載されます。

親権は実親がもちますが、一次的な停止が認められる場合、この期間中は児童養護施設長、児童相談所が親権をもつことになります。

6. 児童が医療機関を受診する場合はどうなる?

児童は、里親の健康保険に加入することができないため、児童相談所が発行する「受診券」を提出します。

健康保険の範囲内であれば、里子に医療費はかかりません。

治療に同意を要するほどの手術・治療が必要な場合、通常は実親に同意を得ることになりますが、急を要する場合のほか、実親が手術に同意しないことにより生命に危険が及ぶ場合は、親権を停止し、対応することになります。

自治体により、里親用の身分証明書を交付するところもあり、これを提出することで各機関で手続を行うことができる場面も増えています。

7. 措置解除の際に必要な手続は?

子が満年齢を迎え、委託措置が解除になる場合には、下記の手続が必要です。

  1.  健康保険の手続
  2.  措置解除時の委託措置費に関する請求手続(就職支度費、大学進学等自立生活支度費等)
  3.  各種奨学金・助成金制度の手続
  4.  身元保証人制度の手続
  5.  パスポートの取得手続
  6.  通称名・戸籍上の名前に関する手続き
  7.  その他

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里親制度の種類、対象児童、注意点 まとめ

当ページでは、里親制度の種類と対象児童、里親の登録(認定)要件、注意点を解説しました。

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