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定年者の再雇用を拒否できる場合、注意点を解説

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当ページでは、定年を迎えた高齢労働者の再雇用を拒否できる場合と、注意点を解説します。

定年後の再雇用とは

定年後の再雇用とは、定年を迎えたことにより退職した従業員について、雇用形態を変え、再雇用することを指します。

定年に関する義務

原則、就業規則・労働協約・労働契約等に「定年制」を定めている場合、労働者が定年に達することで、労働契約は終了します。

しかし、高齢者雇用安定法では、事業者に下記の義務を課しています(高齢者雇用安定法 第8条、第9条第1項)

  1. 定年の引き上げ
  2. 高年齢者が希望する場合、継続雇用制度の導入
  3. 定年の定めの廃止

再雇用の拒否は違法

継続雇用制度は、「勤務延長制度」「再雇用制度」に分類されます。

勤務延長制度とは、定年に達した労働者を退職させず雇用を継続する制度で、再雇用制度の場合は、いったん退職させた上で再雇用する制度です。

このうち、再雇用制度を導入している場合、原則、希望者全員の再雇用が義務であり、拒否すると違法の扱いを受ける可能性があります。

再雇用を拒否できる場合

ただし、下記に該当する場合は、再雇用の拒否が認められます。

  1. 定年退職者が希望しない場合
  2. 解雇事由・退職事由に相当する事由がある場合
  3. 会社が合理的な労働条件を提案するも、合意に至らなかった場合

1. 定年退職者が希望しない場合

定年退職者である本人が再雇用を希望しない場合、再雇用をしないことが認められます。

2. 解雇事由・退職事由に相当する理由がある場合

解雇事由・退職事由について、理不尽なものは違法とされるため注意が必要です。

下記に該当する場合、正当な解雇事由として認められる可能性が高いでしょう。

  1.  病気・怪我による就業不能にある場合
  2.  明らかな能力不足、成績不良の場合
  3.  頻繁な遅刻、欠勤、無断欠勤がある場合
  4.  業務命令違反をした場合

「2. 明らかな能力不足、成績不良」について、企業側が必要な指導・配置転換等を行ってもなお、勤務成績が改善しない場合のほか、業務を遂行するうえで求められる専門性がないことが明らかな場合が、これに該当すると考えられます。

数回程度の軽度なミスによる解雇は「不当解雇」と判断される可能性があるため、新調に検討しましょう。

上記の他、他の従業員と円滑に業務を遂行することが困難なほど、協調性がない場合も含まれます。

3. 会社が合理的な労働条件を提案するも、合意に至らなかった場合

再雇用制度について、定年による退職前と同一条件での雇用を義務づけられるものではありません。

このため、再雇用に際し、合理的な労働条件の変更は認められますが、定年退職者と合意に至らなかった場合には、再雇用の拒否も認められます。

再雇用を拒否した場合

再雇用の拒否が違法と判断された場合、下記の可能性があります。

  1. 再雇用の成立
  2. 損害賠償

1. 再雇用の成立

再雇用制度を設けている会社において、定年退職者が希望したのに再雇用を拒否した場合、再雇用が成立した場合と同様の状態になる可能性があります(津田電気計器事件最高裁-小平24.11.29判決)

ただし、定年後の再雇用契約は定年前の契約とは全くの別契約であり、再雇用の拒否そのものに問題があると判断された場合は、次の損害賠償の要否を争うことになります。

2. 損害賠償

再雇用の拒否が違法と判断された場合、不法行為に基づく損害賠償請求を求められる可能性があります。

損害賠償額は、地域別最低賃金を基に、概ね3年間で算出された事件がありますが(尾崎織マーク事件_京都地判平30.4.13)事案により異なる点には注意が必要です。

再雇用を拒否する際の手続

再雇用の拒否を検討する場合、下記の流れで進めましょう。

  1.  定年退職の通知・再雇用の意向確認
  2.  解雇事由・退職事由への該当性を確認
  3.  2.に該当する場合、再雇用拒否通知を送付
  4.  2.に該当しない場合、退職勧奨の検討
  5.  3、4に応じない場合、再雇用条件の提示
  6.  再雇用契約を締結

再雇用の拒否ができず再雇用が成立した場合、契約期間の満了を待ち、雇止めを検討する方法も考えられます。

退職勧奨とは

退職勧奨とは、労働者が自発的に退職を選択するよう促す活動を指します。

希望退職の場合、一定要件を満たす従業員全員が対象となりますが、退職勧奨では、特定の従業員のみが対象となる点で異なります。

退職勧奨の度が過ぎる場合、退職届が提出された後でも、心裡留保(民法 第93条)、錯誤(民法 第95条第1項)、詐欺・強迫(民法 第96条)により、取消される可能性がありますので注意しましょう。

退職勧奨の注意点

退職勧奨を行う場合、下記に注意しましょう。

  1.  就業時間内において、会議室等で面談形式で実施
  2.  面談を担当する際、人数は最小限に抑えること
  3.  面談は長くても1時間、週に1~2回程度を限度とすること
  4.  面談の内容は記録し、拒否された場合は退職勧奨を停止すること

退職について合意に至った場合、退職合意書を作成することをオススメします。

定年退職者の再雇用を拒否できる場合、注意点 まとめ

当ページでは、定年退職者の再雇用を拒否できる場合と注意点を解説しました。

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カテゴリー: 人事労務


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榊原沙奈
(さかきばら さな)
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