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当ページでは、退職後にパワハラを告発できる場合と、必要な手続、注意点を解説します。
Contents
退職後でもパワハラは告発できる
一般的に、パワハラに関する告発を行うのは在職中の従業員ですが、退職でも告発することは可能です。
パワハラ告発の時効
パワハラを告発し、損害賠償請求を検討する場合、下記の選択肢があります。
不法行為に基づく損害賠償請求 | 損害 及び 加害者を知ったときから3年以内 かつ 不法行為の時から20年以内 |
人の生命 又は 身体の侵害による損害賠償請求 | 損害 及び 加害者を知ったときから5年以内 かつ 不法行為の時から20年以内 |
パワハラで会社が問われる法的な責任
パワハラにより、会社側は下記の責任を問われる可能性があります。
- 不法行為責任
- 使用者責任
- 債務不履行責任
1. 不法行為責任
不法行為責任の成立要件は、下記の通りです。
- 他人の権利 または 法律上保護される利益を侵害する行為をしたこと
- その権利等を侵害する行為が、故意 又は 過失にもとづくこと
- 損害が生じたこと
- 損害の発生が権利等 侵害行為によるものであること
2. 使用者責任
使用者責任の成立要件は、下記の通りです。
- 被用者が不法行為責任を負うこと
- 不法行為のとき、被用者と使用者に使用関係があること
- 不法行為が使用者の事業を執行するのに伴い、行われたものであること
3. 債務不履行責任
会社は、被用者に対し「安全配慮義務」という義務(債務)を負います。
パワハラ等の問題について、「相談窓口を設置する等の措置を講じなかったことが原因で、パワハラが起きた」と判断される場合、安全配慮義務を履行しなかったとして、債務不履行責任を問われる可能性があります。
パワハラを告発する方法
パワハラを告発する場合、下記の方法が考えられます。
- 自分で会社と交渉する
- 労働審判手続の申立て
- 弁護士等への相談・依頼
- 労働基準監督署に通報する
1. 自分で会社と交渉する
パワハラを告発する場合、退職先に連絡し、自分自身で交渉する方法があります。
この場合、交渉の前に、会社に何を求めるのか明確にしましょう。
例えば、
(1) パワハラで煩った疾病に対し、損害賠償を請求
(2) 受けた精神的苦痛に対する慰謝料請求
(3) 加害者である上司その他の本人に謝罪をさせる
等の選択肢があります。
着地点のない話し合いになると、会社側も何が言いたいのかわからず、取り合ってもらえない可能性があります。
自分ひとりでは意見・考えをまとめられない場合、労働審判を取り扱っている弁護士事務所への相談がオススメです。
2. 労働審判手続の申立て
退職先との交渉が決裂した場合や、直接話し合うことに抵抗がある場合、労働審判手続を申立てる選択肢があります。
労働審判とは、個々の労働者・事業者の間に起きた労働関係のトラブルについて、原則 非公開で行われる審判をいいます。
労働審判が確定した場合、裁判の和解と同じ効力があるため、決まった内容を相手方が履行しない場合には、強制執行を申立てることも可能です。
原則、訴訟は「公開」で行われますが、労働審判は非公開で行われ、かかる日数も短い特徴があります。
3.弁護士等への相談・依頼
退職先との直接交渉、労働審判の申立、いずれの場合も、弁護士が力になってくれる可能性があります。
人事労務のプロフェッショナルである「社会保険労務士」も相談に応じてくれる可能性がありますが、社会保険労務士は、単独で法定に立つことができないため、必ず弁護士にも相談する必要があります。
弁護士に相談される際は、なるべく早期がオススメです。
4.労働基準監督署への通報
退職先のパワハラについて、労働基準監督署に通報する選択肢があります。
ただし、労働基準監督署が行うのは、労働基準法等に違反しているかどうかの確認と、行政指導にとどまります。
このため、慰謝料請求等の民事事件には一切介入してくれない点に注意しましょう。
パワハラと併せて、残業代の未払、不当解雇、労災の隠蔽等がある場合は別です。
パワハラの告発に必要なもの
パワハラを告発する際は、下記を用意しましょう。
- 自分の希望を整理
- 在職中の証拠集め
パワハラを告発する際、つい目先の手続ばかりを優先してしまいがちですが、目的・希望を置き去りにしてしまっては、いつまで経っても解決することができません。
できる限り、自分の希望・目的を明確にして臨みましょう。
退職してからの証拠集めは至難の業なので、在職中から証拠は集めておくことをオススメします。
退職後のパワハラ告発に必要なもの、注意点 まとめ
当ページでは、退職後のパワハラ告発に必要なもの、注意点を解説しました。