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当ページでは、マンションの相続放棄に必要な手続、放棄すると起きること、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′) / 榊原行政書士事務所 代表行政書士 / 3級FP技能士 / やぎ座のO型 / 趣味は写真を撮ること、神社をめぐること
マンションを相続する際の注意点
被相続人(死亡人)の相続財産にマンションが含まれている場合、相続 または 相続放棄・限定承認を検討しなくてはなりません。
このうち、相続を検討する際は、下記に注意しましょう。
- 所有するだけで費用がかかる
- 修繕等の対応に手間がかかる
- 管理組合の役員・理事等を頼まれる可能性がある
不動産は、所有するだけで固定資産税がかかるほか、管理費・修繕費等の支出も必須です。
また、マンション管理組合の役員・理事等をやらなくてはならないこともあり、一定の手間がかかることに留意しましょう。
マンションを相続放棄する際の注意点
いっぽう、マンションを相続放棄する場合は、次の点に注意しましょう。
- 相続放棄の期限
- 法定単純承認
1.相続放棄の期限
相続放棄をする場合、相続開始から3か月以内に家庭裁判所に対し、「相続放棄の申述」を行う必要があります(民法 第915条 第1項)
この期間内に相続放棄を決めかねる場合、家庭裁判所に期間伸長の申立を行い、熟慮期間を延長してもらう方法もありますが、決定権は裁判所にあるため、必ずしも延長できるとは限らない点に注意が必要です。
2.法定単純承認
原則、相続人には、相続に関して自由な選択権が与えられています。
しかし、相続財産について処分行為を行った場合、「法定単純承認」とみなされ、相続放棄をすることができなくなります(民法 第921条)
処分行為とは、相続財産の全部 または 一部を処分することをいいます。
典型的なのは、マンション内にあるものを勝手に処分する等です。
(法定単純承認)
第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
出典:民法 第921条「法定単純承認」|e-Gov法令検索
- 相続人が相続財産の全部 又は 一部を処分したとき。ただし、保存行為 及び 第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りではない。
- 相続人が第915条第1項の期間内に限定承認 又は 相続放棄をしなかったとき。
- 相続人が、限定承認 又は 相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部 若しくは 一部を隠匿し、又は 悪意でこれを相続財産目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人になった者が相続の承認をした後は、この限りではない。
相続放棄後に起きること
相続を放棄した相続人は、自分が相続放棄をしたことで新たに相続人となった人が相続財産(マンション等)を管理できるようになるまで、継続して、管理する義務をおいます(民法 第940条第1項)
その後、下記の流れで管理等を引き継ぎます。
1.他の相続人がマンションを相続した場合
他の相続人がマンションを相続する場合、当該相続人がマンションを管理するため、引継ぎを行いましょう。
2.自分がマンションを占有している場合
相続を放棄した相続人がマンションを占有している場合、他の相続人・相続財産清算人等が引き継ぐまでの間、当該マンションを保存する義務を負います(民法 第940条)
相続財産清算人を選任する場合、当該清算人に対し、相続財産から報酬が支払われますが、不足する場合、選任を申立てる相続人が予納金を納める必要がある点には注意しましょう。
3.マンションを占有していない場合
相続財産に含まれるマンションに関し、全く関与していない場合、相続放棄が整った時点で、全ての義務から解放される可能性があります。
この場合、他の相続人が管理 または 占有していることが求められる点には注意が必要です。
相続放棄後に管理費を請求された場合
相続放棄の後、マンションの管理費等を請求された場合、家庭裁判所から受け取る「相続放棄申述受理通知書」または「相続放棄受理証明書」等を提出し、相続放棄が成立したことを伝えましょう。
(1)抵当権が設定されている場合
当該マンションに抵当権が設定されている場合、債権者が抵当権を実行するため、相続財産管理人の選任を申立てる可能性があります。
相続財産清算人が選任されると、マンション管理組合は、滞納されている管理費等を請求することになりますが、負債が膨らんでいる場合、清算できないこともあります。
競売が成立すれば、競落者に滞納分を請求することになります。
原則、相続を放棄した相続人に対し、予納金以外の金銭が請求されることはありませんので、ご安心ください。
マンションの相続放棄に必要な手続、注意点 まとめ
当ページでは、マンションの相続放棄に必要な手続、注意点を解説しました。