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当ページでは、農地に住宅を建てる際に必要な手続、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′) / 榊原行政書士事務所 代表行政書士 / 3級FP技能士 / やぎ座のO型 / 趣味は写真を撮ること、神社をめぐること
農地に住宅を建てる際に必要な手続
不動産登記上、地目が「田」「畑」になっている場合、住宅を建設する前に、農地転用手続が必要です。
農地転用ができるかを確認
農地について規制する法律に、農業振興地域の整備に関する法律(農振法)、都市計画法、農地法等があります。
これらのうち、対象農地がどのように扱われているかにより、農地転用ができない可能性があるため、農地の所在地を管轄する市区町村役所の担当窓口にて確認しましょう。
法律 | 確認事項 | 担当窓口 |
---|---|---|
農業振興地域の整備に関する法律 (農振法) | 白地、青地の区分 | 農業政策課 |
都市計画法 | 都市計画区域の内外 区域内の場合、線引きの有無 | 都市計画課 |
農地法 | 農地区分 | 農業委員会 |
農振法による区分
農振法では、農振地域を「白地」「青地」に区分し、下記のような違いがあります。
白地 | 場合により転用可能 |
青地 | 農業目的以外での転用不可 |
(1)白地の場合
白地の場合、下記に該当する場合は転用について、原則 不許可とされます。
- 甲種農地
- 第1種農地
反対に、第2種農地、第3種農地の場合は、比較的 転用許可が下りやすいと言えます。
白地の場合、農業従業者のために農家住宅を建設することが許可されているなど、規制は緩やかだと言えます。
(2)青地の場合
青地の場合、下記の要件を全て満たすことで転用可能です(農振法 第13条第2項)
- 農用地等以外の用途に供することが必要かつ適当であること
- 農用地区域以外の区域内の土地では代替が困難なこと
- 農地の集団性、農作業の効率化、その他 農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと
- 効率的かつ安定的な農業経営を営む人に対し、農地の利用集積に支障を及ぼすおそれがないこと
- 農用地区域内の土地改良施設の機能に支障を及ぼすおそれがないこと
- 土地改良事業等の工事が完了し、8年を経過した土地であること
実務上、青地に指定された農地を宅地に転用するのは難しいですが、可能性はゼロではないため、担当課 または 農地関連業務に強い行政書士までご相談ください。
都市計画法による区分
都市計画法において、計画的に開発を行う区域を「都市計画区域」と定め、一定の規制を設けています。
都市計画区域には、「市街化区域」「市街化調整区域」があり、両者の間には線引きがされています。
農地に宅地を建設する場合、市街化区域では農地転用の届出のみで足りる一方、市街化調整区域の場合、農地転用許可申請が必要なほか、場合により、農地転用が認められないこともあります。
都市計画法第34条11号の区域指定
都市計画法第34条11号とは、県や市が条例により指定し、地域の実情に応じ、一定要件を満たす区域を指定することで、自己用一戸建て住宅の建築が可能となります。
要件は、各市区町村ごとに異なるため、事前調査と担当者への相談が不可欠です。
農地法による区分
農地法において、農地は下記のように区分されます。
区分 | 概要 |
---|---|
農用地区域内農地 (青地) | 市町村が定める農業振興地域整備計画において、将来にわたり、農業のために利用すべき土地(農用地区域)として指定された農地 |
甲種農地 | 市街化調整区域内にある特に良好な営農条件をもつ農地で、下記のいずれかに該当するもの 1.おおむね10ha以上の一段の農地区域内にあり、その区画の面積、形状、傾斜、土性が高性能農業機械による営農に適する農地 2.特定土地改良事業等の施工に係る区域内にある農地で、工事完了年度の翌年度から8年以内の農地 |
第1種農地 | 良好な営農条件を備える農地で、下記のいずれかに該当するもの 1.おおむね10ha以上の規模の一団の農地 2.特定土地改良事業等の施工に係る区域内にある農地 3.高生産性農地 |
第2種農地 | 第3種農地に近接する区域 その他市街化が見込まれる区域内にある農地で、下記のいずれかに該当するもの 1.道路、下水道 その他の公共施設 または 鉄道駅 その他の公益的施設の整備状況からみて、第3種の内の場合における公共施設等の整備状況の程度に該当することが見込まれる区域内にある農地で、①または②に該当する農地 ① 相当数の街区を形成している農地(街区形成区域内農地) ② 次のア~ウの施設の周囲 おおむね500m以内にある農地 ア 鉄道駅、軌道(路面電車)の停車場、船舶の発着場 イ 県庁、市役所、町村役場(支所を含む) ウ その他 上記に類する施設(高速道路の出入り口など) 2.次の①および②に該当する規模が10ha未満の小集団農地 ① 宅地化の状況が、第3種の内の市街地内農地、宅地進行化区域内農地、用途地域内農地に該当することが見込まれる区域 ② 宅地化の状況が、第種の内の市街地内農地に掲げる程度に達する区域に近接する区域内にある農地であること |
第3種農地 | 市街地の区域内 または 市街地化の傾向が著しい区域内にある農地で、下記のいずれかに該当する農地 1.道路、下水道 その他の公共施設 または 鉄道駅 その他の公益的施設の整備状況が①②に掲げる程度に達する区域 ① 水管、下水道管またはガス管のうち2種類以上が埋設されている道路の沿道の区域であって、容易にこれらの施設の便益を享受することができ、かつ、おおむね500m以内に2以上の教育施設、医療施設その他の公共施設または公益的施設が存すること(公共施設便益区域内農地) ② おおむね300m以内に、いずれかの施設があること(公共施設至近距離区域内農地) • 鉄道の駅、軌道(路面電車)の停車場、船舶の発着場 • 高速自動車国道(高速道路)の出入口 • 県庁、市役所、町村役場(支所を含む) • その他上記に類する施設(バスターミナルなど) 2.宅地化の状況が①から③に掲げる程度に達している地域 ① 住宅、事業用店舗または公共施設、公益的施設が、50m以内の間隔でおおむね50戸以上連たんしており、それらの施設の外縁部を結んだ線の内側に存する農地であること(市街地内農地) ② 街区(道路、鉄道または河川、水路等によって区画された地域のこと)の面積に占める宅地面積割合が40%を超えていること(宅地進行化区域内農地) ③ 土地区画整理事業の施行に係る区域にあること(土地区画整理域内農地) |
住宅を建築する場合、第3種農地に該当すれば、原則、農地転用許可が取得できるいっぽうで、第2種以上に該当すると、農地転用許可の取得がぐっと難しくなるため、農地転用を専門とする行政書士までご相談ください。
農地に住宅を建てる際に必要な手続、注意点まとめ
当ページでは、農地に住宅を建てる際に必要な手続と注意点を解説しました。