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当ページでは、示談書に記載すべき事項、作成時の注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′) / 榊原行政書士事務所 代表行政書士 / 3級FP技能士 / やぎ座のO型 / 趣味は写真を撮ること、神社をめぐること
示談書とは
示談書とは、当事者間で合意に至った内容を文書化した書面を指します。
示談は、民事上の紛争について、当事者間の話し合いにより成立する「和解契約」なので、証明書のような位置づけです。
示談書を作成する目的
示談書は、下記の目的をもって作成されます。
被害者 | 損害賠償の金額、支払方法、期日を確定することで、支払を確保する |
加害者 | 示談で成立した内容を履行することで、それ以上の金銭、その他の要求に応じなくて良い |
示談書と合意書等との違い
示談書のほか、合意書、和解書、誓約書等の書類があります。
合意書は、当事者双方が合意に至ったことを示す書類で、和解書は、裁判が絡む場面で使用されることが多いものです。
誓約書は、何かを行う際に一定の約束をするもので、内容に大きな違いはありません。
重要なのは内容であって、題名(タイトル)や名称ではない点だけ覚えておきましょう。
示談書は公正証書がオススメ
公正証書とは、公証人が法律に従って作成する公文書をいいます。
公正証書作成のメリットは、示談書に記載された内容を相手が履行しないとき、わざわざ訴訟を提起することなく、強制執行の手続を行うことができる点にあります。
通常、相手が内容を履行しない場合、裁判を起こし、裁判所により強制執行を認め、実行してもらう必要がありますが、公正証書にすることでこの手間がかかりません。
示談書に記載する事項
示談書には、下記の事項を記載します。
- 当事者情報
- 事案の詳細
- 支払に関する事項
- 清算条項
- 作成年月日
- 当事者署名
1.当事者情報
示談では、当事者を確定するため、氏名(名称)、住所(居所)、生年月日等を記載します。
個人間で作成する場合、必ず、公的機関の発行する身分証明書等を確認しましょう。
2.事案の詳細
示談書には、示談の対象となる事案を特定できる情報を記載しましょう。
- 発生日時
- 発生場所
- 事案の内容
- 当事者
- 損害額など
3.支払に関する事項
示談書には、示談で確定した金額、支払方法、期日等を記載しましょう。
3-1.金額
一般的に、示談書に記載する際は「示談金」と表記しますが、「損害賠償」「慰謝料」等でも構いません。
金額について、原則、実損害に則した金額を定めますが、必ずしもこの金額と定められているわけではありません。
3-2.支払方法
示談金の支払について、「一括払い」「分割払い」の区別を定めましょう。
ほとんどの場合、銀行口座への振り込みになるかと思いますが、この場合、振込先となる金融機関、口座の種別、支店番号、口座番号、振込手数料の負担者等まで定めておくと安心です。
3-3.期日等
一括払い、分割払いのいずれにおいても、支払に期日を設けることをオススメします。
相手方の支払いを確保するため、示談金の支払が遅れた場合の「遅延損害金」等の懈怠約款も定めましょう。
懈怠約款とは、金銭消費貸借契約書でいう「利益の期限喪失」条項にあたります。
4.清算条項
清算条項とは、当事者間の合意で取り決めた内容以外に債権・債務がないことを確認し、蒸し返しを防止するために設ける条項をいいます。
例えば、「甲と乙は、本件に関する紛争を全て解決したものとし、本示談書に定めるほか、金銭その他の請求をしないことを相互に確認した。」といった文言が考えられます。
清算条項には、追加請求しない性質があるため、加害者(支払者)にはメリットとなりますが、被害者にとっては慎重に検討すべき条項です。自身で判断するのが難しい場合、弁護士等の専門家までご相談ください。
5.作成年月日
示談書には、和解した年月日 または 示談書作成年月日を必ず記載しましょう。
6.当事者署名
示談書に記載した内容について、当事者が合意していることを示すため、必ず、署名しましょう。
示談書の作成方法
原則、示談書は下記の方法で作成します。
- 原本作成
- 署名押印、契印
1.原本作成
示談書は、当事者の人数分を作成し、各自で保管する必要があります。
確定した内容を文書化し、一部ずつをホッチキス留めしたら、製本テープで綴じましょう。
2.署名捺印、契印
当事者各自で内容を確認し、署名押印します。
押印箇所は、製本テープを使用した場合はこれらにまたがるように、そうでない場合には、各ページをまたぐように押しましょう。
2-1.契印
最後に、原本を重ねて契印します。
示談書を電子書面で作成する場合、電子署名等を適切に行いましょう。
原則、示談書に収入印紙は不要
示談において決定する損害賠償金等は、被害を補塡する性質があることから、所得税等の税金が発生しません。
このため、収入印紙は不要です。
ただし、損害賠償が金銭ではなく、不動産、営業譲渡、既存の売掛債権に関する確認等である場合、収入印紙が必要な場合があります。
不安なときは、税務署 または 税理士までお問い合わせください。
示談書を作成する際の注意点
示談を行う際は、下記に注意しましょう。
- 示談は口約束でも成立する
- 受傷治癒後に行う
- やり直しはできない
1.示談は口約束でも成立する
示談は契約の一種であり、口約束でも成立します。
このため、事故発生直後に相手方から示談を持ちかけられた場合、安易に応じないでください。
2.受傷治癒後に行う
交通事故や傷害事件の場合、事故で負った怪我が治癒した または 症状固定後に示談を進めましょう。
治癒後に後遺症状がある場合、後遺障害等級認定を受けるかどうかを検討し、これらを基に損害額を算定することになります。
交通事故の損害賠償請求には、事故発生から5年(物損事故の場合は3年間)の時効期間が設けられているため、最低でもこれくらいの時間がかかることに注意しましょう。
3.やり直しはできない
示談は、当事者双方が合意に至った状態を指します。
このため、後から示談内容を覆すことは不可能とお考えください。
示談後の追加請求等が認められた事例は稀少で、かなり険しく、厳しい道のりとなります。
示談書の記載事項、作成時の注意点まとめ
当ページでは、示談書の記載事項、作成時の注意点を解説しました。