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当ページでは、減価償却資産の耐用年数、計算方法を解説します。
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減価償却とは
減価償却とは、資産価値は時間の経過とともに低減することを前提とし、耐用年数に応じ、購入費を各年に配分し、経費計上する会計処理方法をいいます。
高額な資産を1度に経費計上すると、その年度のみ費用が増加し、正しい業績を把握しづらくなることから設けられている制度です。
耐用年数とは
耐用年数とは、固定資産を通常の用途(用法)に使用した場合の使用可能年数をいいます。
耐用年数は「会計上」「税務上」に区分され、一般的には、後者の税務上定められている(法定)耐用年数にて計算します。
減価償却の対象となる資産
減価償却の対象となるのは、耐用年数1年以上、かつ、取得額が10万円以上のものです。
ただし、一定要件を満たす場合には、取得価額30万円まで1度に経費計上できる場合があります。
時間が経過しても価値が変動しないものについては、減価償却の対象外です。
減価償却の計算方法
減価償却は、「定額法」「定率法」のいずれかで算定します。
(1)定額法
定額法とは、毎年同額の減価償却費を計上する方法をいいます。
計算式は「取得価額×償却率」で、原則、個人事業主は定額法にて算出することになります。
法人の場合、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェア以外について、定率法にて算出します。
(2)定率法
定率法とは、償却期間の開始から終了時期にかけ、徐々に減価償却費を減少させる方法をいいます。
計算式は「未償却残高×償却率」から、償却額が償却保証額を下回った時点で「改訂取得価額×改訂償却率」にて算出します。
償却保証額は、「取得価額×耐用年数の保証率」にて算出します。
主な減価償却資産の種類、耐用年数一覧
減価償却資産の種類、耐用年数は、国税庁ホームページにて確認できます。
下表は、主な減価償却資産と耐用年数です。
主な減価償却資産
- 建物
- 建物附属設備
- 機械・運搬具
- 工具
- 器具・備品
- 機械・装置
構造・用途と耐用年数
(1)建物
建物の場合、下表の通りです。
構造・用途 | 細目 | 耐用年数 (年) |
---|---|---|
木造、合成樹脂造 | 事務所用 店舗・住宅用 飲食店用 旅館・ホテル・病院・車庫用 公衆浴場用 工場・倉庫用(一般) | 24 22 20 17 12 15 |
木骨モルタル造 | 事務所用 店舗・住宅用 飲食店用 旅館・ホテル・病院・車庫用 公衆浴場用 工場・倉庫用(一般) | 22 20 19 15 11 14 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 | 事務所用 店舗・住宅用 飲食店用 a.延面積のうち、木造内装部分の面積が30%超 b.その他 旅館・ホテル・病院・車庫用 a.延面積のうち、木造内装部分の面積が30%超 b.その他 公衆浴場用 工場・倉庫用(一般) | 50 47 34 a.41 b.31 39 a.39 b.38 31 38 |
れんが造、石造 ブロック造 | 事務所用 店舗・住宅用 飲食店用 旅館・ホテル・病院・車庫用 公衆浴場用 工場・倉庫用(一般) | 41 38 36 34 30 34 |
金属造 | 事務所用 骨格材の肉厚が a.4mm超 b.3mm超、4mm以下 c.3mm以下 店舗・住宅用 a.4mm超 b.3mm超、4mm以下 c.3mm以下 飲食店用 a.4mm超 b.3mm超、4mm以下 c.3mm以下 旅館・ホテル・病院・車庫用 a.4mm超 b.3mm超、4mm以下 c.3mm以下 公衆浴場用 a.4mm超 b.3mm超、4mm以下 c.3mm以下 工場・倉庫用(一般) a.4mm超 b.3mm超、4mm以下 c.3mm以下 | a.38 b.30 c.22 a.34 b.27 c.19 a.31 b.25 c.19 a.29 b.24 c.17 a.27 b.19 c.15 a.31 b.24 c.17 |
(2)建物附属設備
建物附属設備の場合、下記の通りです。
構造・用途 | 細目 | 耐用年数 (年) |
---|---|---|
アーケード 日よけ設備 | 主として金属製 その他のもの | 15 8 |
店用簡易設備 | 3 | |
電気設備 (照明設備を含む) | 蓄電池電源設備 その他のもの | 6 15 |
給排水、衛生設備、ガス設備 | 15 |
(3)車両・運搬具
車両運搬具について、下表の通りです。
構造・用途 | 細目 | 耐用年数 (年) |
---|---|---|
一般用のもの (特殊自動車・下記以外) | 自動車(2輪、3輪を除く) 1.小型車(排気量0.66L以下) 2.貨物自動車 a.ダンプ式 b.その他 3.報道通信用 4.その他 2輪・3輪自動車 自転車 リヤカー | 1.4 2-a.4 2-b.5 3.5 4.6 3 2 4 |
運送事業用 貸自動車業用 自動車教習所用 | 自動車(2輪・3輪自動車を含み、乗合自動車は除く) 1.小型車(貨物の場合は積載量2t以下、その他は総排気量2L以下) 2.大型車(総排気量3L以上) 3.その他 乗合自動車 自転車、リヤカー 被牽引車その他 | 1.3 2.5 3.4 5 2 4 |
(4)工具
構造・用途 | 細目 | 耐用年数 (年) |
---|---|---|
測定工具、検査工具 (電機・電子を利用するものを含む) | 5 | |
治具、取付工具 | 3 | |
切削工具 | 2 | |
型(型枠を含む) 鍛圧工具、打抜工具 | プレスその他の金属加工用金型、合成樹脂、ゴム・ガラス成形用金型、鋳造用型 その他 | 2 3 |
活字、活字に常用される金属 | 購入活字(活字の形状のまま反復使用するものに限る) 自製活字、活字に常用される金属 | 2 8 |
中古資産の場合
中古資産を取得し、減価償却する場合、法定耐用年数ではなく、使用時点からの使用可能期間として見積もった年数にて計算します。
ただし、使用可能年数の見積もりが難しい場合、「簡便法」にて算出します。
簡便法による計算
簡便法には、下記の計算方法があります。
法定耐用年数を完全に経過した中古資産 | 法定耐用年数×20% |
法定耐用年数の中途にある中古資産 | 法定耐用年数-経過年数+経過年数×20% |
いずれの場合にも、算定期間が2年未満の場合には「2年」にて計算し、2年以上の場合、1年未満の期間を切り捨てて構いません。
中古資産の耐用年数は、使用開始年度のみ算出可能なため、翌年度以降は通常通り処理しましょう。
減価償却の耐用年数、計算方法まとめ
当ページでは、減価償却の対象資産の耐用年数、計算方法を解説しました。