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当ページでは、キャバ嬢の確定申告の要否、メリット、注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
キャバ嬢とは
キャバ嬢とは、キャバクラ等の酒類を提供し、対面において接客を行う店舗で働く女性を指します。
ただし、キャバ嬢の中には、お店に雇われているわけではなく、業務委託契約が締結されている場合があります。
雇用契約の内容を確認しましょう。
キャバ嬢は個人事業主
ほとんどのキャバクラでは、お店がスタッフの所得額から税金を算出し、給与から源泉徴収を行っています。
源泉徴収とは、給与、報酬等の支払者(お店)が納めるべき所得税、法人税等の税金を給与等から差し引いて、国等に納付する制度をいいます。
会社員の場合、会社が実施する「年末調整」で1年間の所得税額を調整してもらいますが、下記に該当する場合、自分で確定申告を行う必要があります。
- 雇用契約を結んでいない場合
- 副業として雇用契約を結んでいる場合
1.雇用契約を結んでいない場合
お店と雇用契約を結んでいない場合、従業員ではなく、個人事業主として扱われます。
このため、お店が年末調整を行ってくれるわけではなく、自分自身で確定申告を行う必要があります。
雇用契約の代わりに「業務委託契約」を結ぶことがありますが、「雇用契約」とは異なる点に注意しましょう。
年末になると、お店側から「支払報告」「外注源泉」等の書類を渡されることがありますが、年末調整とは異なる場合が多いため、内容を確認しましょう。
2.副業として雇用契約を結んでいる場合
本業を抱え、副業としてキャバクラに勤務している場合、雇用契約を結んでいても確定申告が必要な場合があります。
「確定申告が必要な場合」とは、キャバ嬢としての所得額が年間20万円以上になったときを指します。
年間所得が20万円を下回るなら不要ですが、確定申告をすることで、所得税の還付が受けられることもあるので、きちんと確認しましょう。
キャバ嬢に確定申告義務がある場合
キャバ嬢が確定申告をするべき場合をまとめると、下記の通りです。
- 専業キャバ嬢:雇用契約なし+年間所得が38万円超
- 副業キャバ嬢:年間所得が20万円超
確定申告とは
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得に課税率をかけ、納めるべき所得税等の金額を申告・納税する制度をいいます。
所得とは、収入から収入を得るために支払った費用を差し引いた金額を指します。
「収入を得るために支払った費用」を、一般的に「経費」と呼びます。
経費が大きければ大きいほど、所得額がスリム化するため、支払う税金額が低くなります。
経費に算入できるもの
キャバ嬢の場合、下記の支出は経費として計上できる可能性が高いです。
- ドレス、靴等の衣装代
- ヘアメイク代
- スマホ代
- お店や同伴先までの交通費
- お客様へのプレゼント代
- 付き合いで飲みに行く場合の飲食費など
確定申告を怠った場合の罰則
確定申告をしなかった(無申告)、または、売上を実際より少なく申告した(過少申告)場合、刑事罰の対象となる可能性があります。
所得税の無申告、過少申告の場合
無申告や過少申告について、下記の罰則が定められています。
事例 | 刑事罰 | 行政罰 |
---|---|---|
正当な理由なく、期限内に確定申告をしなかった場合 | 申告書不提出罪 1年以下の懲役 または 50万円以下の罰金 | 無申告加算税 |
故意に、期限内に確定申告をしなかった場合 | 故意の申告書不提出による逋脱犯 5年以下の懲役 もしくは 500万円(場合により脱税額)以下の罰金 または 併科 | 無申告加算税 |
所得をごまかし、所得金額を少なく確定申告を行った場合 | 脱税犯 10年以下の懲役 もしくは 1000万円(場合により脱税額)以下の罰金 または 併科 | 重加算税 |
上記以外 | 過少申告加算税 |
無申告はバレる
確定申告は、一定額以上の所得がある人に課される義務であり、取引先、取引年月日、収支額等を記載します。
このため、お店側の確定申告時にはキャバ嬢への支払履歴が記載されており、記載内容から無申告、過少申告が発覚する場合があります。
国税庁が疑義を抱いた場合、最大5年間は遡って調査を行ったうえ、申告漏れがあれば、これに対応する利息等(延滞税、追徴課税等)まできっちり請求される可能性があります。
目先の手間や支払額を避けるために行った行為が、巡り巡って大損を招く可能性が高く、結果的に、正攻法が最も得をするケースも多いです。
キャバ嬢が確定申告をするメリット
キャバ嬢が確定申告をすることで、下記のメリットが得られます。
- 還付金を受け取れる
- 各種控除を受けられる
1.還付金を受け取れる
確定申告を行うと、払いすぎた所得税が還付される場合があります。
ほとんどの場合、お店側がキャバ嬢に支払う給与から源泉徴収を行い、国に税金を納付しています。
この際、お店は少し多めに見積もった金額を納付しているため、実際の所得額との差額分が還付(返金)されるのが一般的です。
ごくごく稀に、追加で納付しなければならない場合もありますが、稀少です。
2.各種控除を受けられる
確定申告では、自分の所得額を国に申告することになり、国や自治体は、この所得額をベースに市町県民税、国民健康保険料等を算定しています。
このため、申告時の所得額により恩恵を受けられる場合があります。
キャバ嬢が確定申告をする際の注意点
キャバ嬢が確定申告をする場合、下記に注意しましょう。
- 手間がかかる
- 保険料等が高くなる
1.手間がかかる
確定申告をする場合、1年間の収支を示す資料を適切に管理、保管し、日々の取引を記帳する手間がかかります。
記帳とは、取引を帳簿に記載する作業をいいます。
事務、会計作業に不慣れな場合、はじめのうちは戸惑うこともあるかと思います。
また、領収書や帳票類は、確定申告後も保管が必要な点に注意しましょう。
2.保険料等が高くなる
還付、控除目的で確定申告をしたのに、かえって保険料等が高くなる場合があります。
日本では「累進課税制度」を採用しており、たくさん稼ぐ人ほど納税額は高くなる傾向にあることが理由です。
トッププレイヤーでない限り、納付額の高額化を心配する必要はありませんが、必ずしも低くなるばかりでない点には注意してくださいね。
副業キャバ嬢はここに注意
副業でキャバクラに勤務しており、会社にばれたくない場合には「住民税」に注意しましょう。
住民税は、所得をベースに税額を決めるため、所得があがることで住民税が上がります。
会社に副業(所得の上昇)がばれないようにするには、確定申告時に副業分の住民税を自分で納付する方法が考え羅得ます。
具体的には、「給与所得以外の住民税の徴収方法の選択」欄で「普通徴収(自分で納付)」を選ぶことになります。
住民税の支払時期
住民税は「普通徴収」「特別徴収」に区分され、支払時期が異なります。
普通徴収は、納税義務者が自分で納付する方法で、毎年5月から6月に市区町村から納付書が届きます。
年4回の分納、一括納付を選択でき、口座振替も可能です。
いっぽう、特別徴収は会社が社員に支払う給与から住民税を徴収し、本人に代わって納付します。
給与明細の控除欄に「住民税」と記載がある場合、この特別徴収が採用されています。
会社員のほとんどは特別徴収になっているため、副業に関する所得については普通徴収に変更しましょう。この場合も、本業の住民税は給与から天引きされます。
確定申告の手順
キャバ嬢が確定申告をする場合、次の手順で行います。
- 日々の記帳
- 確定申告書類を作成
- 税務署に申告・納税
1.日々の記帳
確定申告に向け、日々の取引を仕訳して記帳します。
仕訳とは、すべての取引を対象に、それぞれの金額、該当する勘定科目に記載する方法をいいます。
取引とは、事業活動により資産が増減することをいいます。
要は、お金の動きを1件ずつ記録することです。
1-1.仕訳の基本ルール
仕訳は、取引内容に応じて下記のグループに分類します。
- 資産
- 負債
- 純資産
- 費用
- 収益
1-2.勘定科目
勘定科目とは、取引の内容に応じて分類する際、ラベルの役目を担います。
代表的な科目は下記の通りです。
1.資産 | 現預金、売掛金、受取手形、商品、固定資産等 |
2.負債 | 買掛金、未払金、借入金、支払手形等 |
3.純資産 | 資本金、繰越利益剰余金等 |
4.費用 | 仕入、給与、水道光熱費、消耗品費等 |
5.収益 | 売上、受取利息、受取配当金等 |
1-3.勘定科目【具体例】
キャバ嬢の確定申告において支出する費用(経費)は、「4.費用」に該当し、下記の科目に仕分けられます。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
衣装費 | (1)ドレス、スーツ (2)靴 (3)カラーコンタクト (4)アクセサリー (5)イベント用のコスチューム等 |
美容費 | (1)ヘアメイク (2)化粧品全般 (3)ネイル (4)エステ等 |
通信費 | (1)スマホ代 (2)インターネットプロバイダ (3)郵送費等 |
地代家賃 | 自宅のうち、事業のために使用している割合に応じて家事按分が可能 ※自宅の一室を衣装部屋にしている場合、この部屋の面積割合 |
旅費交通費 | (1)自宅から店までの交通費 (2)同伴、アフターに際する交通費等 |
接待交際費 | (1)同伴、アフターで支払った代金 (2)仕事が絡む食事等の代金等 |
研修費 または 新聞図書費 | 仕事に関する書籍、セミナー等に参加した際の受講費、テキスト代等 |
仕訳項目がわからない場合、税務署または税理士までご相談ください。
2.確定申告書類を作成
キャバ嬢が確定申告をする場合、事業年度は1月1日から12月31日の1年間で、申告期限は2月16日から3月15日です。
3月15日が土日祝日にあたる場合、翌日 または 翌々日が期限日になります。
インボイスに登録し、消費税の課税事業者となる場合、消費税申告は事業年度の翌年1月1日から3月31日までが期限となります。
2-1.申請方法
申請は、「窓口」「郵送」「電子申告(e-Tax)」のいずれかを選択することができます。
電子申告なら、24時間受け付けてくれますし、会計ソフトと紐付けておくとかなり楽なのでオススメです。
3.税務署に申告・納税
作成した確定申告書を提出し、下記の方法で納税します。
- 指定された金融機関の預貯金口座から振替納税
- ダイレクト納付(e-Taxによる電子納税)
- インターネットバンキング等
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付
- コンビニ納付(QRコード)
- 金融機関 または 税務署で現金納付
令和5年(2023年)分の確定申告納期限は、下記の通りです。
- 所得税等:令和6年(2024年)3月15日
- 消費税及び地方消費税:令和6年(2024年)4月1日
- 贈与税:令和6年(2024年)3月15日
振替納税を利用している場合、令和6年(2024年)は
(1)所得税等:4月23日(火)
(2)消費税及び地方消費税:4月30日(火)
の振替予定です。
キャバ嬢が確定申告をするメリット、注意点まとめ
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