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当ページでは、36協定による残業時間の上限、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′) / 榊原行政書士事務所 代表行政書士 / 3級FP技能士 / やぎ座のO型 / 趣味は写真を撮ること、神社をめぐること
36協定とは
36協定とは、労働基準法第36条に定められた労使協定のことで、正式には「時間外労働・休日労働に関する協定」といいます。
労働基準法において、原則、労働時間は1日8時間、週40時間以内、休日は毎週少なくとも1回と定められています。
この法定労働時間を超えて労働させる場合、「1日」「1か月」「1年」ごとに時間外労働の上限を定め、使用者と労働者との間で協定を締結し、労働基準監督署に届出る必要があります。
36協定による残業時間の上限
36協定を締結し、労働基準監督署に届出を行った場合、原則、月45時間、年360時間まで時間外労働が可能になります。
36協定の有効期間は1年間で、毎年更新する必要がある点に注意しましょう。
また、労働基準監督署に届け出た内容は、いつでも労働者が確認できよう掲示し、周知する必要があります。
特別条項による上限拡大
特別条項付の36協定を締結した場合、臨時的、特別な事情がある場合、通常の36協定を上回る労働が可能となります。
ただし、この場合においても下記を守る必要があります。
- 時間外労働、休日労働の合計が月100時間未満であること
- 時間外労働、休日労働の合計を、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月とそれぞれ平均した場合、すべてにおいて、1月あたり80時間以内になること
- 時間外労働が年720時間以内であること
- 時間外労働が45時間を超える月が年6か月以内であること
36協定の適用外となる労働者
下記に該当する場合、36協定の適用外となります。
未成年者 | 18歳未満は年少者とされ、原則、36協定の適用外 ※ただし、満15歳以上で満18歳以上に満たない場合には例外規定有り※ |
妊産婦 | 妊産婦から請求があった場合、時間外労働 および 休日労働禁止 |
育児・介護中の労働者 | (1)3歳に満たない子を養育する労働者、要介護状態の家族がいる労働者から請求があった場合、原則、所定時間外労働禁止 (2)未就学児を養育する労働者、要介護状態の家族がいる労働者から請求があった場合、原則、月24時間、年150時間を超える時間外労働禁止 |
管理監督者 | 管理監督者の場合、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用外 |
36協定を違反しないための注意点
36協定に違反しないよう、下記に注意しましょう。
- 労働時間の徹底管理
- 従業員への周知徹底
1.労働時間の徹底管理
使用者は、労働者の労働時間を把握し、適切に管理する義務を負います。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、労働時間の状況把握につき、具体的な措置が示されています。
2.労働者への周知徹底
労務管理は使用者の義務ですが、労働者自身にも36協定における時間外労働の上限規制について周知をはかり、協力を仰ぎましょう。
36協定は、対象期間の終了から5年間(当分の間は3年間)保存する必要があります。
36協定に違反した場合の罰則
下記に該当する場合、罰則対象となる可能性があります。
- 36協定を締結せず、労働者に時間外労働、休日労働をさせた場合
- 36協定を締結したが、行政官庁に届出を行っていない場合
- 36協定の上限規制を超えて労働させた場合
- 特別の事情がないのに、上限規定を超えて労働させた場合
- 特別の事情がある場合でも、上限規定を超えて労働させた場合
36協定に違反した場合、労働基準法に基づき、6か月以下の懲役 または 30万円以下の罰金に処される可能性があります。
また、悪質性が高いと判断され、書類送検された場合、企業名や概要等が公表される可能性もあります。
36協定による残業時間の上限、注意点まとめ
当ページでは、36協定による残業時間の上限、注意点を解説しました。