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当ページでは、公共工事入札の参加要件、注意点を解説します。
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公共工事入札とは
公共工事入札とは、国、地方自治体等が請負工事を受注する目的で、複数の事業者が見積価格を提示し、各社比較衡量のうえ、公共工事の受注事業者を決定する方法をいいます。
入札の種類
公共工事入札は、下記の種類に分けられます。
- 一般競争入札
- 指名競争入札
- 随意契約
1.一般競争入札
一般競争入札とは、入札資格をもつすべての事業者が参加できる入札方法です。
入札参加者のうち、最も有利な条件を提示した業者が選ばれる傾向にあるため、利益より公共性が強くなる特徴があります。
2.指名競争入札
指名競争入札とは、発注者が事前に指名した事業者のみが入札に参加する方法です。
選定基準は事業者の資力、実績等となるため、実績が少ない事業者に声がかかる可能性が低い方法です。
3.随意契約
随意契約とは、事業者同士での入札を行うのではなく、発注者が事業者を選定する方法です。
緊急性が高い場合、特定の事業者でなければ施工が厳しい場合に用いられる方法で、予定価格が少額となります。
入札制度
入札には、下記の制度が存在します。
- 最低価格自動落札制度
- 総合評価制度
- 最低制限価格制度
- 低入札価格調査制度
- 予定価格制度
1.最低価格自動落札制度
最低価格自動落札制度とは、発注側が用いる審査項目が価格のみの制度です。
このため、最安値を提示した事業者が選ばれます。
最安値を提示した事業者が複数在る場合、くじで落札者を決定することになります。
2.総合評価制度
総合評価制度とは、契約の正室等に応じ、価格その他の条件が最も有利な事業者と契約する方法です。
発注者が国の機関である場合、あらかじめ、財務大臣と協議を行わなければなりません。
3.最低制限価格制度
地方公共団体が発注者となる公共工事において、必要に応じ、最低制限価格を設定することができます。
具体的には、価格の上限値(予定価格)、下限値(最低制限価格)を決め、枠から外れた事業者は入札前に失格となります。
4.低入札価格調査制度
契約の相手方となるべき事業者の入札価格が、一定水準以下の場合、適切な履行可能性を調査し、調査結果に応じて契約相手を選定する制度です。
採算度外視の価格設定は、市場全体に悪影響を及ぼすため、このような制度が設けられています。
5.予定価格制度
予定価格制度とは、発注者があらかじめ設定した予定価格を超えた事業者は失格となる制度です。
会計法上、予定価格は公開しないこととされ、稀に、落札者ゼロとなる案件もあります。
公共工事入札の参加要件
公共工事入札に参加するには、下記の要件を満たす必要があります。
- 建設業許可の取得
- 経営事項審査を受ける
- その他
1.建設業許可の取得
公共工事入札に参加するには、建設業許可の取得が必要です。
建設業許可とは、500万円(建築一式工事の場合、1,500万円または150㎡以上の木造住宅工事)以上の工事を請負う事業者に対し、取得が義務づけられている許可です。
公共工事入札に必要な「経営事項審査」を受けるには、建設業許可取得が要件となっています。
建設業許可の取得には、手間と時間がかかるため、公共工事入札を検討されている事業者様は、早めの準備が必要です。
2.経営事項審査を受ける
公共工事入札に参加するには、経営事項審査を受ける必要があります。
経営事項審査とは、建設事業者を評価し、数値化することで、技術力や経営状況等を可視化するものです。
発注側が必ずしも建設業に詳しいわけではないこと、複数の事業者を比較する際の便宜を図るため、このような制度が設けられています。
3.その他
公共工事入札に参加するには、下記の欠格要件に当てはまらないこと、税金等に滞納・未納分がないことが求められます。
- 破産し、復権を得ないもの、成年被後見人
- 被保佐人であり、契約締結に必要な同意を得ていないもの
- 営業許可を受けていない未成年の場合、契約締結に必要な同意を得ていないもの
- 公正な競争の執行を妨げた、または、公正な価格を害し、もしくは、不正な利益を得るために連合したもの
- 落札者が契約を結ぶこと、または、契約の履行を妨げたもの
- 経営状況が著しく不健全だと認められるもの
- 入札参加資格審査申請において、虚偽の申請をし、または、重要事項について記載しなかったものなど
公共工事入札までの流れ
- 年次報告の提出
- 経営状況分析を受ける
- 経営事項審査の受ける
- 入札参加資格申請
- 入札説明会に参加
- 入札
1.年次報告の提出
建設業許可について、決算日から4か月以内に決算報告(年次実績報告)を行う必要があります。
建設業許可制度上、決算報告が遅れても罰則規定等はありませんが、入札を行うには忘れず行わなければなりません。
2.経営状況分析を受ける
経営状況分析機関により、経営状況分析を受けます。
このときに通知される結果は、経営事項審査の際に必要となるため、大切に保管しましょう。
3.経営事項審査の受ける
主たる営業所の所在地を管轄する都道府県庁において、経営事項審査を受けます。
4.入札参加資格申請
国の機関、地方自治体、その他の団体等に対し、入札資格申請をします。
実施機関ごとに受付方法や内容が異なるため、下記について、事前に確認しましょう。
- 申請要件
- 申請方法
- 受付時期、期間
- 資格の有効期間
- 必要書類等
5.入札説明会に参加
入札情報サイト等を活用し、参加したい入札案件を見つけたら、入札説明会に参加しましょう。
入札説明会とは、入札案件の内容に関する資料を配付し、概要を説明する場ですが、場合によっては当該説明会への参加が入札要件となる場合があります。
入札価格を検討する際、正しい内容を把握しておく必要がありますので、事前調査は念入りに行うことをオススメします。
6.入札
入札価格を決定し、入札を行います。
落札できた場合、発注者と正式に契約を締結することになります。
公共入札に参加する際の注意点
1.入札案件調査は慎重に
公共工事の入札案件を選定する際は、下記に注意しましょう。
- 業務範囲
- 現場
- 取引実績等
発注内容は、「建設工事」「建設関連業務」「物品・役務」に分類されますが、自社で取扱っていない業務を落札できても、適切な処理ができなければ本末転倒です。
また、営業所から現場が遠すぎると、どこかで無理が生じる可能性もあります。
発注者が地方自治体の場合、地元事業者を優先的に選定する傾向が強いため、自社の取引実績等を確認することをオススメします。
2.参加要件等を確認
公共工事入札の場合、発注者により、入札参加資格が異なる場合があります。
このため、入札を希望する公共工事につき、新たに許認可を取得、または、資格者の採用等を検討しなければならない場合も出て来る可能性があります。
入札要件等を読み込む余裕がない場合や内容が難しく感じる場合には、行政書士等の専門家までご相談ください。
公共工事入札の参加要件、注意点まとめ
当ページでは、公共工事入札の参加要件、注意点を解説しました。