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当ページでは、不正登記防止申出の要件、不正登記がされた場合について解説します。
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不正登記防止申出とは
不正登記防止申出とは、登記識別情報が記載された登記識別情報通知、印鑑登録証明書等を盗まれた場合、これを取得した人が本人になりすまし、不正に移転登記をすることを防止する目的で、法務局に申出を行う制度です。
不正登記防止申出から3か月以内に、当該申出に係る登記申請があった場合、申出人にその旨が通知されます。
あわせて、登記官は当該申請について、申請者が正当な権限が持っているかを調査します。
登記識別情報とは、不動産の登記完了時、新たな名義人に通知される12桁の符号で、旧登記済権利証に代わるものをいいます。
不正登記防止申出ができる要件
不正登記防止申出を行うには、申出人が申出を行うに至った原因に対応する措置をとっていることが求められます。
具体的には
(1)書類の盗難について警察に被害届を提出している
(2)第三者による印鑑登録証明書の不正交付について、交付した市区町村役所において印鑑登録証明書の無効手続を行っている
(3)自己所有の不動産が、無断で第三者取引の対象となっていること場合は、警察その他関係機関への告発等を行っている
などが挙げられます。
無断で名義変更された場合の所有権
万が一、他人により無断で名義変更をされた場合、これを理由に本来の所有者が所有権を失うことはありません。
しかし、本来の所有者名義へと変更登記を行う際には、新たな名義人の協力が不可欠であり、場合によっては裁判手続を要します。
不動産の名義変更は簡単?
登記識別情報さえ取得できれば、簡単に名義変更を行えるかというと、そうではありません。
不動産の所有権移転登記(名義変更)を行うには、登記識別情報、登記名義人の印鑑登録証明書、その他の書類を求められます。
このため、登記識別情報のみを取得されたからといって、すぐに名義変更が行われる可能性はありませんが、通知等を盗まれた場合には、他の措置と併せ、当制度の利用を検討しましょう。
不正登記防止申出の流れ
不正登記防止申出手続は、次の流れで行います。
- 申出人が法務局に出頭
- 申請書に記名押印し、添付書類と共に登記官へ提出
1.申出人が法務局に出頭
不正登記防止申出ができるのは、当該不動産の所有者、相続により不動産を取得した相続人、法人の場合は代表者です。
申出先は、目的となる不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)です。
2.申請書に記名押印し、添付書類と共に登記官へ提出
不正登記防止申出では、下記の書類が必要です。
- 不正登記防止申出書
- 印鑑登録証明書
- 代表者の資格を証する書面(法人の場合)
- 代理人の権限を証する書面(代理人の場合)
申出要件の確認
不正登記防止申出があった場合、登記官は次の点を確認します。
- 申出人が間違いなく本人であること
- 警察等への被害届、相談、告発、市区町村長への手続依頼等の措置をとっていること
ただし、申出に緊急性がある場合、事前に上記の措置をとっていることは必要なく、申出は受理されます。
不正な登記申請があった場合
不正登記防止申出から3か月以内に、当該申出に係る登記申請が行われた場合、必ずしも登記申請が却下されるわけではありません。
登記官が不正登記防止申出の内容が相当だと判断した場合、申請者の本人確認を行います。
本人確認の際、申請者が申請者としてふさわしくないと判断すると、申請を却下し、申出人にその旨を通知します。
不正登記防止申出を活用する際の注意点
不正登記防止申出は、必ず申請を却下してもらえる制度ではありません。
このため、登記官による本人確認において、問題がないと認められた場合には登記が行われます。
また、不正登記防止申出の有効期間は3か月です。
この期間を経過した後も、不正登記が行われる可能性がある場合、改めて申出手続を行うことで延長することができます。
不正登記防止申出の効果、注意点まとめ
当ページでは、不正登記防止申出の効果と注意点を解説しました。